
飲食店の閉店「電気・ガス・水道」止める順番と期限
「閉店日にぜんぶ止めていいのかな…」と迷う店主さんは、貸主への解約予告期間で引き渡し日を決めてから、原状回復の工事で電気や水を使うかを確認し、止める日を決めましょう。水道は、大阪市では使用中止日の5日前までに届け出るよう案内されています。窓口ごとに期限が違うので、引き渡し日から逆算して動くのがおすすめです。
① 先に、貸主への解約予告期間と引き渡し日を決める
電気・ガス・水道を止める日は、部屋を貸主へ返す日(引き渡し日)が決まらないと決められません。まず契約書で、貸主への解約予告期間(解約を伝えてから部屋を明け渡すまでの決まった期間)を確認します。確認の仕方は飲食店の「解約予告期間」トラブルと対処法にまとめています。
閉店日・引き渡し日を決めるときは、縁起のいい日カレンダーも参考に
契約・開業・閉店に向く日を月別にまとめています。ただし、縁起は気持ちの問題です。日程は、解約予告期間・家賃の発生日・原状回復の工期を優先してください。
止めるまでの流れ
引き渡し日を決める
自店の契約を確認する
電気と水を残す期間を決める
止める申込をする
ごみ・残置物を片づける
② 自店の契約の形を確認する
電気・ガス・水道が、自店の名義で電力会社・ガス会社・水道局と直接契約しているものか、ビルの管理会社がまとめて契約し、あとで精算する形かを、検針票(使用量のお知らせ)や賃貸借契約書で確認します。大阪市水道局は、民間マンションの中には水道局と一括して契約している建物があり、その場合は水道局への連絡が不要なことがあると案内しています。店舗ビルでも同じ形がありうるため、貸主か管理会社へ先に聞いておくと安心です。
③ 電気と水は、いつまで残すか決める
私の経験から:居抜きで売るなら、引き渡し日まで電気は切らない
私の経験では、居抜き売却(設備をそのまま次の店に引き継ぐ売り方)で気をつけたいのが電気です。5年以上使っている冷蔵庫などの電化製品は、電気を切ったあとに急に動かなくなることがあります。居抜きは、設備が使えることを前提に買い手と条件を決めるため、止めたあとに動かなくなると、その前提が崩れかねません。だから私は、居抜きで売るなら、買い手に引き渡す最終日まで電気の契約を残しておくことをおすすめしています。あくまで目安で、機器・契約内容により異なります。譲渡の契約で決めておく項目は居抜き「造作譲渡契約書」で損しない7つの確認項目にまとめています。
居抜きでなく、原状回復の工事(借りたときの状態に戻す工事)をする場合も、私は、閉店日の夜に電気と水道をすべて止めるのは早すぎることがある、と考えています。ダクト・グリストラップ(油をためる装置)の清掃や床の洗浄では、電気や水を使う場合があるからです。工事の範囲と見積もりの見方は店舗の原状回復見積もり「スケルトン戻し」の落とし穴とは、清掃の範囲は飲食店の洗浄費|大阪の相場と安い見積もりの正体で整理しています。
止める日の聞き方
買い手(居抜きの場合)、工事業者、貸主(管理会社)に「いつまで電気と水を使いますか」と聞いてから、止める日を決めましょう。残しておく間は基本料金が発生する場合があるため、あわせて確認します。
④ 止める申込の期限は、窓口ごとに違う
| 種類 | 申込先 | 期限・注意点(出典の案内) |
|---|---|---|
| 水道 | 大阪市水道局 | 原則として使用中止日の5日前まで。メーターの取り外しは平日の9時から17時までで、夜間・土日祝はできません |
| 電気(低圧) | 契約先の電力会社 | 申込期限の記載は、公式ページでは確認できませんでした。関西電力の場合、契約の廃止は法人向けのコンタクトセンター(0800-777-8810、平日9時から18時)へ連絡します。閉店日が決まったら早めに連絡しましょう |
| 電気(高圧・特別高圧) | 契約先の電力会社 | 関西電力の法人向けFAQでは、原則として希望日の3か月前までに申し出るとされ、契約内容によっては精算金がかかります |
| ガス | 契約先のガス会社 | 大阪ガスの家庭向けFAQでは、立会いが必要かはメーターの場所で決まります。施錠された屋内やオートロックの建物の中にある場合は必要で、屋外などで作業員だけで入れる場合は不要です。事業用の扱いは窓口で確認してください |
水道のメーター取り外しは平日だけなので、引き渡し日が土日祝なら、その前の平日に中止日を置く必要があります。なお、大阪市水道局の電話・FAXの案内には、取り外しの終了を17時30分とする注記もあり、案内の中で表記が分かれています。この記事では、早いほうの17時を目安にしました。実際の受付は、お客さまセンターで確認してください。
ガスの閉栓(元栓を閉めて使えなくする作業)の立会いは、鍵を開けられる人なら代理人でも構わないと案内されています。電気の「3か月前」は、高圧・特別高圧の契約向けの案内で、低圧の店には当てはまりません。自店が低圧か高圧かは、検針票(使用量のお知らせ)の契約種別で確認し、分からなければ電力会社へ聞きましょう。
日付の例(仮の例です)
居抜き売却で、買い手への引き渡し日を11月30日(月)と仮定します。電気は引き渡し日まで残し、水道とガスも同じ日に止める想定です。
| 日付 | やること | 根拠・注意点 |
|---|---|---|
| 8月末まで(3か月前) | 高圧・特別高圧の契約なら、電気の廃止を申し出る | 関西電力の法人向けFAQ(原則)。精算金がかかる場合あり |
| 11月20日(金)ごろ | 電気・ガスを申し込む。ガスの立会い担当を決める | 公式ページに期限の記載がないため、私の目安です |
| 11月25日(水)まで | 水道の使用中止を届け出る | 大阪市水道局(使用中止日の5日前まで) |
| 11月30日(月) | 電気の停止、水道の中止、ガスの閉栓 | 水道のメーター取り外しは平日の日中のみ |
高圧の契約の場合は、閉店を決めてからでは間に合わないことがあります。契約種別は、早めに確認しておきましょう。
⑤ ごみ・残置物は「出した店」の責任
閉店のときは、厨房の機械、机、椅子、食材の包装など、ふだんより多くのものが出ます。廃棄物処理法の第3条第1項は、事業者が事業活動で出した廃棄物を自分の責任で適正に処理するよう定めています(大阪市環境局のQ&Aが引用)。
大阪市環境局の案内では、事業活動で出たごみは、事業系一般廃棄物と産業廃棄物のどちらかに分けるとされています。産業廃棄物は、法令で決められた品目に当たるものです。品目は、素材と、どんな業種から出たかの両方で判断され、それ以外が事業系一般廃棄物になります。素材だけでは決まらない場合があるため、注意が必要です。
飲食店でよく出るものの例を、大阪市の案内から挙げます。
| 区分 | 例 |
|---|---|
| 事業系一般廃棄物 | 厨芥ごみ(調理くずや残飯)、木製の机・椅子・棚 |
| 産業廃棄物 | スチール製の机・椅子、食品トレイやラップ類、空き缶、空きびん |
同じ机でも、スチール製は産業廃棄物、木製は事業系一般廃棄物です。複数の素材でできた機械などは、区分が分かりにくいため、大阪市環境局か許可業者に確認しましょう。
事業系一般廃棄物は、大阪市の許可を受けた一般廃棄物収集運搬業者へ委託します。産業廃棄物は、その品目を扱える産業廃棄物処理業者へ委託します。産業廃棄物は、あらかじめ書面で委託契約を結ぶ必要があり、マニフェスト(産業廃棄物の行き先を記録する伝票)は契約書の代わりになりません(大阪市環境局のQ&A)。
リース品の厨房機器は自店の持ち物ではないので、勝手に捨てず、先に「厨房機器のリース解約」違約金交渉のコツと注意点を確認します。食材・在庫の処分と税金の扱いは「閉店の税務」除却損と在庫処分・消費税の注意点にまとめています。
止め忘れ・止めすぎを防ぐチェックリスト
- ☐ 貸主への解約予告期間を契約書で確認した
- ☐ 引き渡し日を決めた
- ☐ 電気・ガス・水道が、自店の直接契約かビル一括かを確認した
- ☐ 工事業者に、工事中に電気と水を使うか聞いた
- ☐ 居抜き売却なら、買い手への引き渡し日まで電気の契約を残す
- ☐ 水道の中止日を、引き渡し日の前の平日に置いた(5日前までに届出)
- ☐ 電気の契約種別(低圧か高圧か)を検針票で確認し、契約先へ連絡した
- ☐ ガスの閉栓に立会いが要るか確認した
- ☐ 厨房機器のうち、リース品と自店の持ち物を分けた
- ☐ ごみを事業系一般廃棄物と産業廃棄物に分け、許可のある業者へ委託する段取りをつけた
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よくある質問
Q. 水道は、いつまでに「やめます」と連絡すればいいですか?
A. 大阪市水道局では、原則として使用中止日の5日前までの届出が案内されています。メーター取り外しは平日の日中のみなので、早めに申し込みましょう。
Q. 閉店したその日に電気を止めて、困ることはありますか?
A. 原状回復の工事や清掃で電気や水を使う場合があります。居抜き売却なら、引き渡し日まで電気を残すほうが安心です。止める日は、工事業者・買い手・貸主(管理会社)に確認してから決めましょう。
Q. 店の机や厨房の機械を、普通のごみで出してもいいですか?
A. 事業で出したものは、出した店が責任をもって処理します。大阪市は、許可を受けた業者への委託を案内しています。同じ机でも、木製とスチール製で区分が変わるため、大阪市環境局か業者に相談しましょう。
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