
「閉店のあと」再出店・転業・就職の3つの道
飲食店を閉めたあとの進路は、大きく分けて「再出店」「転業」「就職」の3つです。「もう一度やりたいのか、もうやりたくないのか、自分でも分からない」という方は、先にお金と手続きを整理し、そのあとで道を選ぶと迷いが減ります。
お金と手続きを整理
3つの道を比べる
再出店を考える
転業・就職を考える
① まず、お金と手続きを整理する
進路を考える前に、閉店の手続きを終わらせます。順番は、貸主への解約予告期間を先に確認するのが基本です。くわしくは飲食店の「解約予告期間」トラブルと対処法をご覧ください。個人事業主の方は、閉店した年も確定申告が必要です(「閉店した年の確定申告」個人事業主の4ステップ)。
もし「小規模企業共済」(個人事業主の退職金にあたる国の制度)に入っていたなら、個人事業を廃業したときに共済金を請求できます。一括で受け取ると、税金のうえでは退職所得(退職金と同じ扱い)になります。請求には廃業届の写しや退職所得申告書などが要ります(中小機構:事業主が個人事業を廃業した場合)。
② 3つの道を比べる
| 道 | 向いている人 | 先に確認すること | 相談先の例 |
|---|---|---|---|
| 再出店 | 前の店の失敗の原因を説明できる人 | 資金計画、前の店の債務の整理 | 日本政策金融公庫、不動産会社 |
| 転業 | 飲食以外の仕事に関心がある人 | 初期費用と、生活費をまかなえる期間 | 商工会議所、専門家 |
| 就職 | 安定した収入を先に確保したい人 | 失業手当を受けられるか | ハローワーク |
※どの道が合うかは、お店の状況や家計で変わります。上の表はあくまで考え方の目安です。
③ 再出店:前の店の原因を先に言葉にする
もう一度店を持つなら、前の店がうまくいかなかった理由を、数字で説明できるようにします。「家賃が重かった」「原価が上がった」など、原因が分かれば、次の物件選びの条件に変えられます。日本政策金融公庫には、廃業した経験のある方の再挑戦を支える融資制度があります。対象の条件や金額は変わることがあるため、申し込み前に公庫の窓口や公式ページで確認してください(日本政策金融公庫:再挑戦支援資金)。国の補助金にも、廃業や再挑戦を後押しする枠が設けられた例があります(飲食店の『戦略的閉店』に国補助金、4つの枠を解説)。
④ 転業・就職:経験を次の仕事につなぐ
飲食店の経験は、お客様対応、仕入れ、人の管理など、ほかの仕事でも役立つ場面があります。ただし、転業は初期費用がかかる場合があるので、生活費を何か月まかなえるかを先に計算しておきます。
就職を選ぶ場合は、ハローワークで求職の申込みをします。失業手当(基本手当)は、離職日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あることなどが条件です(厚生労働省ハローワーク)。ご自身が経営者として加入できていたかどうかは、ハローワークで確認してください。
動き出す前のチェックリスト
- ☐ 貸主への解約予告期間と、原状回復の範囲を確認した
- ☐ 小規模企業共済や共済金など、受け取れるお金を確認した
- ☐ 前の店がうまくいかなかった理由を、数字で書き出した
- ☐ 生活費を何か月分まかなえるか計算した
- ☐ 再出店・転業・就職のうち、相談する窓口を決めた
「このまま何もしないと、時間だけが過ぎてしまう」と感じたときは、1つだけ選んで窓口に電話してみてください。店を閉じる前の選択肢としては、「事業承継」で店を残す道|親族・従業員への引き継ぎ方法も参考になります。
よくある質問
Q. 閉店したら、すぐに次の店を探したほうがいいですか?
A. 急ぐ必要はありません。解約や届出、確定申告を整理し、前の店の原因を確認してからのほうが、次の計画が立てやすくなります。
Q. 店をたたんだあと、気持ちが切り替えられません。どうすれば?
A. 数字の整理から始めると、気持ちが落ち着く場合があります。まず売上と支出を書き出し、できたことと課題を分けてみてください。
Q. 経営者でも失業手当はもらえますか?
A. 雇用保険の加入状況や離職の理由で変わります。ご自身が対象かどうかは、ハローワークに確認してください。
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※制度の条件・金額は変わることがあります。最終的な判断は、各窓口にご確認ください。
