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飲食店の洗浄費|大阪の相場と安い見積もりの正体

飲食経営

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

「清掃代って、うちは払いすぎなんじゃないか」と気になったときに、まず知っておきたいことがあります。洗浄費の金額は、店の広さよりもどこまで洗うか(作業範囲)でほぼ決まります。同じ「ダクト清掃」でも、フードまわりだけなら3万〜8万円、立上りダクトや排気ファンまで開けると9.6万〜33万円です。ネットで見かける1万円台の金額は、たいてい範囲の狭い作業の値段です。ここでは項目別に、作業範囲とセットで相場を並べます。

厨房ダクト洗浄:値段の差は「どこまで開けるか」

作業範囲 料金の目安(1回)
グリスフィルターのみ 3,000〜10,000円
換気扇・レンジフード 8,000〜25,000円
厨房フード+ダクトの分解・高圧洗浄 30,000〜80,000円
+立上りダクト・防火ダンパー・排気ガラリ 95,920円〜
+排気ファン・ファンベルト交換まで 148,280円〜
ダクト全体のフル清掃 330,000円〜

いずれも目安で、店の構造・汚れの程度・業者や契約内容により異なります。下3段はダスキンの公表標準料金(税込)です。飲食店のダクト清掃全体の相場としては、6万〜20万円(税抜)というレンジを示している業者もあります。小規模店なら3万〜7万円、中型店舗やカフェで6万〜15万円という大阪府内の業者の目安もあり、実務的にはフードまわりだけで済ませるか、ダクト本体まで入れるかが金額の分かれ目です。

追加費用の代表例も押さえておきましょう。

  • ■ 点検口がない場合:7,942円〜(ダスキン)
  • ■ 排気フードが12㎡を超える場合:1㎡あたり3,311円を加算(ダスキン)
  • ■ 高所作業・分解を伴う場合:10,000〜30,000円

東京消防庁も、排気ダクトは普段目が届きにくく、内部に多量の油脂がたまって火災の通り道になるおそれがあると注意を呼びかけています。頻度の目安は業者の案内で、焼肉店が3〜6か月ごと、居酒屋が6〜12か月ごと、カフェが12か月ごとです。なお清掃頻度は全国一律で決まっているものではなく、火災予防条例や所轄の消防署の指導で扱いが変わります。

グリストラップ清掃:容量と「頻度」で決まる

容量 単発で呼んだ場合(大阪の集計) 定期契約・月1回(業者の公表価格)
〜100L 14,800〜16,500円 9,800円〜
101〜200L 19,800〜22,000円 13,800円〜
201〜300L 28,000〜30,000円 17,800円〜(200〜350L)
301L〜 35,000〜42,000円 要見積もり

左列は大阪府の見積もり集計値(2026年10月12日更新)、右列はグリストラップ専門業者が公表している定期契約の価格(税別)です。税の扱いも業者も違うので単純比較はできませんが、同じ容量帯で3〜4割の差が出る例もあります。この業者の表では、月1回で13,800円の容量帯が、3か月に1回だと19,800円に上がります。回数を減らすほど汚れが固まり、1回の作業が重くなるためです。

単発(スポット)は幅も大きく、専門業者で250L以下で19,000〜35,000円という例もあります。値段の差は手抜きとは限りません。バキューム車の手配、油脂汚泥の持ち帰り、産業廃棄物管理票(マニフェスト=廃棄物の行き先を記録する伝票)の発行まで含むかで、原価そのものが変わります。

ここは値段より手続きに注意が必要な項目です。大阪市も、産業廃棄物は許可を持つ業者に委託する必要があり、他人に委託しても排出した事業者の責任は終わらないと明記しています。極端に安い業者に任せきりにせず、許可番号と処分先を確認しておきましょう。

排水管の高圧洗浄:つまってからでは遅い

  • ■ 一室または50坪以内の店舗、作業一式:25,000円(税別)
  • ■ 薬品洗浄(追加):8,000円
  • ■ トーラー機(ワイヤーでつまりを削る機械):12,000円〜
  • ■ 大阪府の飲食店向けの相場表示:30,000〜60,000円
  • ■ グリストラップ業者に排水管清掃を追加した場合:33,000円という例

半年〜1年に1回が一般的な目安です。つまってから緊急で呼ぶと、休業や近隣への漏水が重なって被害額が跳ね上がります。

室内・床:面積と「剥離するか」、そして最低基本料金

項目 料金の目安
床面洗浄+ワックス(〜50㎡) 18,000〜30,000円
床面洗浄+ワックス(〜100㎡) 20,000〜35,000円
床の剥離洗浄+ワックス(〜100㎡) 30,000〜50,000円
フロア清掃(一般) 12,000〜50,000円
厨房クリーニング 25,000〜80,000円
業務用エアコンの分解洗浄 35,000〜50,000円前後
100㎡前後の店(フロア+厨房セット) 40,000〜80,000円前後

いずれも目安で、床材や汚れの程度、業者・条件により異なります。床の101㎡以上は1㎡あたり170〜250円(剥離込みなら300〜450円)という単価制が一般的です。厨房クリーニングは、一般的な飲食店で2.5万〜4万円前後、油汚れがひどい場合やダクト洗浄を含む場合は6万〜8万円になります。

覚えておきたい前提:どの会社にも「最低基本料金」があります

清掃の原価は、材料費ではなく人工代(にんくだい=作業員1人が現場で1日動くための費用)が中心です。そのため、面積が小さくても料金は一定のラインより下がりません。私の経験では、どの会社にも最低料金があると考えて間違いありません。(あくまで目安で、物件・業者・契約内容により異なります)

実際に、床洗浄の単価を1㎡あたり150円としながら、最低基本料金を30,000円に設定している業者もあります。「うちは10㎡だけだから1,500円で済むはず」という計算は成り立たない、ということです。小さい面積の作業を安く上げたいときは、金額を値切るのではなく、他の作業とまとめて1日分の人工に収めるほうが現実的です。

「安い見積もり」が安い理由は5つに絞られます

前の項目で書いたとおり、清掃の原価は人工代が中心です。つまり人工代を下回る金額は構造的に出せません。相場より明らかに安い見積もりが来たときは、安くできる理由がどこかにあります。値段を疑う前に、次の5点を確認してください。たいていどれかが抜けています。

  • ☐ 作業範囲がフード表面だけになっていないか(立上りダクト・ダンパー・ファンが入っているか)
  • ☐ 点検口を開ける作業が含まれているか、ない場合の費用が明記されているか
  • ☐ グリストラップの油脂汚泥を持ち帰るのか、槽に戻していないか
  • ☐ 産業廃棄物の収集運搬・処分の許可番号と、マニフェスト発行が明記されているか
  • ☐ 税別表記・夜間割増・出張費・駐車場代が後出しになっていないか

見積もりを比べる前にそろえる情報

  • ☐ グリストラップの容量(図面か実測)
  • ☐ 厨房フードの面積と点検口の有無
  • ☐ 床の面積と床材、前回のワックス時期
  • ☐ 希望する作業時間帯(営業時間外なら割増の有無)
  • ☐ 定期契約にした場合の1回あたり単価

年間の洗浄費は「予算化」すると安くなります

①
現状と容量を把握
→
②
項目ごとに頻度を決める
→
③
範囲をそろえて3社見積もり
→
④
年間予算に組み込む
→
⑤
実施記録を残す

洗浄費が高くつく店は、たいてい「汚れが固まってから単発で呼ぶ」パターンです。定期契約にすると1回あたりの単価は下がります。また、清掃の実施記録を残しておくと、衛生管理の記録としても使えますし、退去時に「汚れを放置していた」と言われたときの反論材料にもなります。

退去・閉店のときに、まとめて請求されることがあります

ダクトやグリストラップの汚れを放置したままだと、退去時の原状回復(借りた部屋を元の状態に戻すこと)の見積もりに、洗浄費が上乗せされて出てくることがあります。日々の清掃を適正価格で回しておくほうが、最後にまとめて払うより安く済むのが実情です。見積もりの読み方は店舗の原状回復見積もり「スケルトン戻し」の落とし穴とは、退去前の確認事項は鍵を返す前に|飲食店の退去前チェックリストで解説しています。

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株式会社不動産スペース(店舗市場)は、大阪で「不動産×飲食店」に特化して、新しい出店先をお探しの飲食店様と、計画的な移転・閉店・居抜き売却をお考えの飲食店様の双方をお手伝いしています。設備の状態を踏まえた物件のご提案や、退去時の原状回復・洗浄費の見通しについてもご相談ください。

洗浄・清掃についても、お店の状況に合わせて複数社をご紹介できます。作業範囲をそろえた相見積もりを取りたいときは、お気軽にお声がけください。

お電話:06-6195-8209

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よくある質問

Q. ネットで見た金額より見積もりが高いんですが、ふっかけられていますか。
A. 作業範囲が違う可能性が高いです。ダクトはフードだけか本体まで開けるかで金額が数倍変わります。範囲をそろえた見積もりで比べてください。

Q. グリストラップの汚泥は、普通のゴミとして捨てられませんか。
A. 捨てられません。産業廃棄物にあたるため、許可を持つ業者への委託とマニフェストでの管理が必要です。

Q. ダクト清掃は何か月に1回が正解でしょうか。
A. 全国一律の決まりはありません。油の使用量で変わり、焼肉店なら3〜6か月、カフェなら12か月ごとが業者の目安とされています。

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