ラーメン店倒産56件、業歴10年以上が64%の現実の画像

ラーメン店倒産56件、業歴10年以上が64%の現実

飲食経営

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

倒れているのは「10年以上続いた店」でした

2026年1〜9月のラーメン店の倒産は56件で、前年(2025年)の年間件数60件に迫るペースになりました(帝国データバンク、2026年10月1日公表)。そして一番おどろくのは、倒れている店の内訳です。業歴10年以上の店が36件・64.3%を占めています。「10年続いたから、もううちは大丈夫」とは言えない数字です。原価も人件費も上がり続け、「もう限界かもしれない」と感じている店主の方に、この数字の読み方と今できることを整理します。

数字で見る2026年のラーメン店倒産

項目 2026年1〜9月の数字 補足
倒産件数 56件 前年(2025年)の年間件数60件に迫るペース
業歴10年以上の倒産 36件(64.3%) 前年同期までの累計25件を上回る
主な要因 食材価格の高騰と同業間の競争激化による販売不振 原材料費・人件費を販売価格へ十分に転嫁できなかったケースが多い

(いずれも帝国データバンク「『ラーメン店』の倒産動向(2026年1-9月)」調べ)

2024〜2025年は、開業して間もない小さな個人店の倒産が目立っていました。ところが2026年は様子が違います。一定の知名度があり、複数の店を出してきた中堅クラスの会社が相次いで行き詰まっているのです(帝国データバンク調べ)。

「千円の壁」が老舗ほど重い理由

ラーメンには昔から「1杯1,000円を超えると客足が止まる」と言われる価格の壁があります。これが「千円の壁」です。長くやってきた店ほど、この壁が重くのしかかります。理由は3つあります。

  • 常連さんの記憶に前の値段が残っている
    10年通ってくれたお客様は「前は750円だった」ことを覚えています。値上げの説明がより丁寧に必要になります。
  • 多店舗展開のスケールメリットが効きにくい
    店舗数を増やしても、人手不足で人件費が下がらず、仕入れの値引き効果も原材料の高騰に飲み込まれてしまいます。
  • 設備が同時に寿命を迎える
    10年たつと、厨房機器も空調も内装も、まとめて更新時期が来ます。

つまり、売上が落ちたから倒れるのではなく、「売上は横ばいなのに利益だけが消えていく」形で追い込まれるのです。実際、ラーメン業界は市場規模が過去最高を更新しながら業界全体の利益が半減した年もありました(詳しくはラーメン店市場8855億円で過去最高も利益半減171億円、まぜそばブームの裏側と家主が知るべきテナント選びもご覧ください)。

まず見るべきは「店ごとの利益」です

多店舗で経営されている場合、全体の売上だけを見ていると手遅れになります。次の3ステップで、店ごとの数字を分けてみてください。

①
店ごとに売上と経費を分ける
→
②
家賃・人件費・原価を1杯あたりに換算
→
③
赤字の店に期限を決める

③の「期限を決める」が特に大事です。「あと半年で黒字にならなければ移転か譲渡を考える」と先に決めておくと、体力が残っているうちに動けます。

今日からできる点検チェックリスト

  • ☐ 直近3か月の原価率を、月ごとに出してみた
  • ☐ ラーメン1杯あたりの粗利(売値から原材料費を引いた額)を把握している
  • ☐ 10月からの大阪府の最低賃金1,231円で人件費を再計算した
  • ☐ 家賃が売上の何%になっているか計算した(一般に飲食店は10%前後が目安とされます)
  • ☐ 店ごとの損益を、少なくとも月に1回は確認している

大阪は梅田・難波・十三など、ラーメンの激戦区がいくつもあります。競争が激しい分、値上げに踏み切る判断も難しくなりがちです。それでも、人件費は10月1日から確実に上がります(参考:大阪の最低賃金「1,231円」に正式決定、10月までの備え)。価格転嫁をためらっているうちに利益が消える、というのが今年の倒産の形です。

「たたむ」も立派な経営判断です

数字を見て「この場所では無理だ」と分かったなら、閉店や移転、居抜きでの売却も選択肢です。体力が残っているうちなら、設備や内装に値段がつき、次の人に引き継げます。倒産まで待ってしまうと、その価値はほとんど残りません。

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TEL:06-6195-8209

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よくある質問

Q. 10年以上やっている店の倒産が増えているのは、味が落ちたからでしょうか?

A. 帝国データバンクは主な要因として食材価格の高騰と競争激化による販売不振を挙げています。味ではなく、原価や人件費の上昇を価格に反映しきれなかったことが背景です。

Q. 値上げしたら常連さんが離れそうで怖いのですが、どうすればいいですか?

A. 一度に大きく上げるより、看板商品は据え置き、トッピングやサイドメニューで調整する方法があります。原材料の値上がりを具体的な金額で伝えると、納得されやすくなります。

Q. 赤字の店を閉めるタイミングの目安はありますか?

A. 「あと何か月で黒字化できなければ動く」と期限を先に決めておくのが現実的です。体力が残っている段階なら、居抜き譲渡で設備費を回収できる可能性があります。

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