
長雨で、玉ねぎが主役になる秋
2026年10月、レタスの卸売価格は平年の2.3倍、はくさいは1.77倍。いっぽうで玉ねぎは平年の74%、トマトは85%と安く出回っています(農林水産省「今週のお手頃野菜」10月1日時点)。「またレタスが高い、どうしよう」という月ですが、葉物を1品落として玉ねぎの一品を入れるだけで、原価はかなり戻せます。そしてこれは、本部のメニュー表に縛られないお店だからできる動き方です。
高いのは「関東と長野の雨」のせい
今回の高値は、大阪の事情ではありません。9月に東日本で長雨と日照不足が続いたことが原因です。主な産地の9月の気象は、過去10年の平均と比べて降水量が約294%、日照時間は約35%でした(ウェザーニュース調べ)。
レタスとはくさいは、秋のあいだ長野・群馬・北海道 → 茨城と産地をリレーしていきます。その長野・群馬で生育不良と歩留まりの低下が起き、続く茨城産も日照不足で遅れています(農林水産省調べ)。大阪市中央卸売市場に並ぶレタスも、この時期は長野・茨城産が主力です。だから「関東の雨」が、そのまま大阪の仕込みに跳ね返ってきます。
反対に、玉ねぎとじゃがいもは北海道産です。こちらは出荷が順調で、出荷数量は平年を上回り、価格は平年を下回る見通しです(農林水産省調べ)。
今月の考え方
天候にやられた産地(関東・長野)の野菜から、豊作の産地(北海道)の野菜へ寄せる。これが素直な答えになります。
10月1日時点の卸売価格(平年比)
| 品目 | 平年比 | 主な産地(この時期) |
|---|---|---|
| レタス | 230% | 長野・群馬 → 茨城 |
| はくさい | 177% | 長野・群馬 → 茨城 |
| キャベツ | 149% | 長野・群馬 → 茨城 |
| トマト(大玉) | 85% | 各地(施設栽培) |
| たまねぎ | 74% | 北海道 |
(農林水産省「今週のお手頃野菜」令和8年10月2日更新・10月1日時点。東京都中央卸売市場の卸売価格を、過去5か年の旬別平均と比べた数字です。「平年比230%」は「いつもの年の2.3倍」という意味になります)
にんじん・ねぎ・さといもは、おおむね平年並みの見通しです(農林水産省)。葉物の中で置き換えようとしても全体が高いので、効果は薄くなります。
大事な注意:10月の玉ねぎは「新玉ねぎ」ではありません
ネットで見つかる玉ねぎの人気レシピは、春の新玉ねぎを使ったものが多いです。10月に出回るのは北海道産の貯蔵玉ねぎで、生のままだと辛みがかなり強く、新玉ねぎと同じようには使えません。
そこで、次の2方向で考えると失敗しません。
- しっかり加熱して甘みを出す…丸ごと焼き、スープ、揚げ物
- 塩もみ・酢で辛みを抜く…マリネ、南蛮漬け、サラダ
玉ねぎを主役にする一品(日替わり枠に1つ)
丸ごと系──見た目で単価が取れる
丸ごとのオーブン焼き、丸ごとスープ。電子レンジで下蒸ししてから焼くか煮るだけで、中まで甘くなります。原価は玉ねぎ1個ぶん。皿に丸ごと1個のっている絵は写真に残りやすく、SNSにも上げてもらいやすい一品です。
揚げ物系──ドリンクが出る
オニオンリング、そして玉ねぎを丸ごと花の形に切って揚げる「オニオンブロッサム」。ビールやハイボールと一緒に出ます。仕込みは切って衣をつけるだけで、スタッフの手が取られません。
冷菜系──レタスのサラダの代わりに
トマトと玉ねぎのサラダ。トマトも平年比85%で安い月なので、2品とも安い食材で組めます。薄切りを塩もみして水にさらし、酢で締めると貯蔵玉ねぎの辛みが抜けます。酢玉ねぎや南蛮漬けにして作り置きにすれば、提供も早くなります。
付け合わせ系──じゃがいもと組む
玉ねぎとじゃがいものポテトサラダ。じゃがいもも北海道産で安い月です。付け合わせを「葉物の添え」から「ポテトサラダ」に替えるだけでも、1皿あたりの原価は下がります。
葉物の一品を
1つ外す
玉ねぎの一品を
日替わり枠に
加熱か酢で
辛みを処理
作り置きできる
形にする
全部やる必要はありません。レタスのサラダを1品落として、上のどれか1つを入れる。それだけで今月は乗り切れます。
仕込み前のチェックリスト
- ☐ 今週の献立から、レタス・はくさい・キャベツを使う品を書き出した
- ☐ そのうち1品を、玉ねぎかじゃがいもの一品に差し替えた
- ☐ 貯蔵玉ねぎの辛み対策(加熱・塩もみ・酢)を決めた
- ☐ 日替わりの黒板に書く名前を決めた(「丸ごと」「北海道産」は目を引きます)
- ☐ 大阪市中央卸売市場の日報で、今週の実勢を確認した
いつまで高いのか
9月下旬の市場価格はレタス469.8円/kg、白菜173.0円/kgでした。10月は産地リレーが進んで入荷が増えるため、レタスは350〜390円/kg程度、白菜は135〜155円/kg程度まで下がると予測されていますが、それでも高い水準が続く可能性があります(ウェザーニュース調べ)。
つまり、10月いっぱいは組み替えで走る前提で考えるのが安全です。レタスは11月以降に兵庫・香川産へ産地が切り替わります。関西の店にとっては、近場の産地に戻ってくるタイミングです。
価格を上げる前にできること
飲食店は値上げを売価に反映しにくい業種です(飲食店の価格転嫁率28.7%、全業種最下位クラスの理由と対策)。献立で守れるうちは献立で守る。これができるのは、メニューを自分で決められる個人店の強みです。
いっぽうで、コメは値下がりが続いています(阪の米価6週連続安、2年ぶり2,934円「大盛り復活」勝算は)。上がるものと下がるものを並べて見ると、どこで調整できるかが見えてきます。
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まとめ
レタス230%・はくさい177%の原因は、関東と長野の9月の長雨です。大阪の店も同じ産地から仕入れているので、同じく高くなります。いっぽう北海道産の玉ねぎは74%、じゃがいもも安い月です。葉物を1品落として玉ねぎの一品を入れる。この組み替えが、今月いちばん効く手です。
よくある質問
Q. レタスの代わりに、別の葉物に替えればいいんじゃないですか?
A. 今月は葉物全体が高いため、効果は小さくなります。葉物を減らし、玉ねぎ・じゃがいもといった北海道産の野菜に寄せるほうが確実です。
Q. 10月の玉ねぎでも、ネットの人気レシピはそのまま使えますか?
A. 新玉ねぎ向けのレシピは、生で甘いことが前提です。10月は貯蔵玉ねぎなので、加熱するか、塩もみ・酢で辛みを抜いてから使ってください。
Q. 大阪の仕入れ値は、国の発表と同じと考えていいですか?
A. 値動きの方向はおおむね同じですが、水準はずれます。大阪市中央卸売市場の日報で実勢を確認するのが確実です。
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