
ラーメン店市場8855億円で過去最高も利益半減171億円、まぜそばブームの裏側と家主が知るべきテナント選び
ラーメン店市場は過去最高8855億円、でも利益は半減しています
全国のラーメン店市場は2025年度、過去最高の8855億円に達する見通しとなりました。ところが業界全体の儲け(純損益)は前年度の356億円からほぼ半減し、171億円にとどまっています(帝国データバンク調べ、2026年7月1日発表)。「売れているから安心」とは言い切れない状況が、いま飲食業界で広がっています。
「売上」と「儲け」は別物です
まず言葉の説明からです。「市場規模」とは、全国のお店の売上をぜんぶ足した金額のことです。「利益」とは、そこから材料費や人件費、光熱費などの経費を引いた、本当の儲けのことをいいます。
帝国データバンクの調査によると、2025年度のラーメン店市場(事業者の売上高ベース)は10年前(2015年度)の5418億円から63.4%も増え、集計可能な2010年度以降で過去最高を更新しました。このペースが続けば、早ければ2027年度にも1兆円に届く可能性があるといいます(帝国データバンク調べ)。
ところが業界全体の利益は171億円と、前年度の356億円からほぼ半減しました。原材料費や光熱費、人件費の値上がりが続き、儲けを圧迫しているのです。前年度から売上が伸びた店は38.8%にとどまり、過去のピークだった2023年度(56.3%)から2年連続で下がっています(同調査)。
大阪でも同じ構図が起きていると考えられます
大阪市内には福島や肥後橋、西中島南方など、昔からラーメン店が集まる激戦区が複数あります。今回の調査に大阪府だけの内訳は公表されていませんが、全国と同じように「お店は増えているのに、1軒あたりの儲けは厳しくなっている」という状況は、大阪でも起きていると考えるのが自然でしょう。
「まぜそば」人気の裏側にあるコスト事情
ここ数年、スープのない「まぜそば」や「油そば」の人気が続いています。もちろん一番の理由は、麺とタレがしっかり絡む濃い味わいがお客様に支持されていることです。ですが、この人気の裏側には、お店側の事情も重なっていると考えられます。
通常のラーメンは、豚骨や鶏ガラなどを何時間も煮込んでスープを作ります。この工程には大きなガスの火力と、それを扱う仕込みの手間が必要です。前述のとおり原材料費・光熱費・人件費が軒並み値上がりするなか、スープ作りのコストは店の経営を圧迫する大きな要因になっています。
一方、まぜそばや油そばはスープを炊く必要がなく、ゆでた麺にタレと具材を和えるだけで一杯が完成します。ガス代や仕込みにかかる時間・人手を抑えやすいため、利益率を確保しやすいメニューだといわれています。つまり、「濃い味わいを楽しみたい」というお客様側のニーズと、「コストを抑えて利益率を確保したい」というお店側の事情が、ちょうど重なって生まれたのが今の「まぜそば」ブームだといえそうです。
家主が次のテナントを選ぶときに見るべきこと
空きテナントに飲食店の出店希望が来たとき、「今、人気の業態だから」というイメージだけで判断するのは危険です。大切なのは、その候補者が今のコスト環境でも家賃を払い続けられるだけの資金力と事業計画を持っているかどうかです。売上が伸びていそうな業態でも、利益まで伸びているとは限らないからです。
- 資金力・事業計画の確認:売上の勢いだけでなく、コスト高でも家賃を払い続けられる体力があるかを見極めましょう。
- 設備条件の確認:ラーメン店はスープの炊き出しに対応できる大きめのガス容量、十分な水道・排水設備が必要になることが多いです。まぜそば・油そば専門店であれば、スープの炊き出しがない分、必要なガス設備の規模が小さくて済む場合もあります。
- 下駄履きマンションの注意点:1階が店舗・上階が住居の物件では、排気・排煙工事が上階とのトラブル要因になりやすく、高層階ほど工事費がかさみテナントが決まりにくくなります。
立地の良い物件ならテナント側が設備費用を負担してでも入りたいと考えますが、立地に強みが少ない物件では、家主側であらかじめインフラを整えておくことが、次の借り手を呼び込むカギになります。
なお、地価や家賃相場が上がっている局面では、テナントの退去は必ずしも悪いことではなく、家賃を今の相場に見直す好機にもなります。次の借り主選びでは、前のテナントが辞めた理由そのものよりも、新しい借り主の資金力や事業計画を重視することをおすすめします。
表:全国「ラーメン店」市場の主な指標(2025年度)
| 項目 | 2025年度 | 前年度との比較 |
|---|---|---|
| 市場規模(売上高ベース) | 8855億円 | 過去最高、10年前から63.4%増 |
| 業界利益(純損益合計) | 171億円 | 前年度356億円からほぼ半減 |
| 主要チェーンの店舗数 | 6305店 | 前年度比+183店(+3.0%)、過去最多 |
| 倒産件数 | 55件 | 過去最多だった23年度(75件)から2年連続減 |
(出典:帝国データバンク「全国『ラーメン店』市場動向調査(2025年度)」2026年7月1日発表)
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よくある質問
Q. ラーメン店の出店希望が来たら、家主にとって有利な話だと考えてよいですか?
A. 市場全体は伸びていますが業界の利益率は低下傾向です。売上だけでなく資金力や事業計画の確認が欠かせません。
Q. ラーメン店を誘致する物件に必要な設備はありますか?
A. スープの炊き出しに対応できる大きめのガス容量と、十分な水道・排水設備が一般的に必要とされます。
Q. テナントが退去したら、すぐに家賃を下げて次を探すべきですか?
A. 地価・家賃相場が上昇している局面では、退去はむしろ家賃を市場水準に見直す好機になり得ます。
Q. まぜそば・油そば専門店はラーメン店より出店しやすいのですか?
A. スープの炊き出しが不要な分、必要なガス設備の規模が小さくて済む場合があり、物件によっては誘致しやすくなります。
