
10月1日施行「売りませんか」DMが減る仕組み
10月1日、法務局の帳簿から情報が消えました
2026年10月1日、法務局が備えている「登記受付帳」に記録される情報が減りました(不動産登記規則の一部を改正する省令/令和7年法務省令第49号)。これまで不動産会社は、この帳簿から「相続の登記があった物件」「住宅ローンを完済した物件」を見つけて、所有者の方へ「売りませんか」というDMを送っていました。今回の改正で、こうした営業は大きく減ると見られています。相続で実家や物件を引き継いだ直後、「知らない会社から急にDMが山ほど届いて気味が悪い」と感じた方は多いのではないでしょうか。ただ、オーナーの立場で見ると、良いことばかりではありません。
「登記受付帳」とは何だったのか
登記受付帳とは、法務局が「いつ、どんな登記の申請を受け付けたか」を順番に書き留めた帳簿です。手数料を払えば誰でも見ることができます。
これまでは、ここに「登記の目的」(相続なのか、抵当権=住宅ローンの担保の抹消なのか、など)と「不動産所在事項」(その物件がどこにあるか)まで書かれていました。つまり、「◯月◯日に、◯◯町の物件で相続の登記が出された」ということが外から分かる状態だったのです。不動産会社の営業は、ここを入口にしていました。
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10月1日で何が変わったのか
改正によって、受付帳の記載事項から「登記の目的」と「不動産所在事項」が削除されました。残るのは、受付の年月日と受付番号だけです。
| 受付帳の記載事項 | 2026年9月30日まで | 2026年10月1日以降 |
|---|---|---|
| 受付の年月日 | 記載あり | 記載あり |
| 受付番号 | 記載あり | 記載あり |
| 登記の目的(相続・抵当権抹消など) | 記載あり | 記載なし |
| 不動産所在事項(物件の所在地) | 記載あり | 記載なし |
(法務局「不動産登記受付帳の様式の変更について(お知らせ)」より)
この改正は2025年10月10日に公布され、2026年10月1日から施行されました。背景にあるのは、登記事務のデジタル化で2つの項目が受付帳に必要なくなったことと、個人情報保護の考え方です。
誤解しやすい点
登記簿そのもの(登記事項証明書)は、これまでどおり誰でも取得できます。変わったのは「どの物件で、どんな動きがあったか」を一覧で探せなくなった、という点です。DMが完全にゼロになるわけではありません。
オーナーにとっての「良いこと」と「困ること」
今回の改正は不動産業界に向けたニュースですが、オーナーの皆様にとっても他人事ではありません。
良いことは、はっきりしています。相続した直後、まだ家族の話し合いも終わっていない時期に、知らない会社から次々と連絡が来る、という状況が減ります。身内しか知らないはずのことを把握されている不気味さは、精神的な負担でもありました。
一方で困ることもあります。情報が取れなくなるのは、しつこい会社だけではありません。地域の事情をよく知る、まともな会社も同じです。これまでは「向こうから声をかけてくれた」ことがきっかけで、空室対策や売却の相談が始まっていた面があります。今後は、オーナー側から相談先を見つけておく必要が強まります。
特に、親や祖父母が持っていた物件を相続で急に引き継いだ方は、「何から手をつければよいか分からない」という状態になりがちです。これまでなら届いたDMの中から相談先を選ぶこともできましたが、これからはその入口が細くなります。
賃料収入を途切れさせないための点検
オーナーにとって一番大事なのは、賃料収入が毎月きちんと入り続けることです。そのためには、何かが起きたときにすぐ相談できる相手を、平時のうちに確保しておくことが効きます。ご自分の管理会社について、次の点を確認してみてください。
- ☐ 名義が変わったとき(相続・贈与)の手続きを案内してくれるか
- ☐ 入居者が退去したとき、何日以内に次の募集条件を提案してくれるか
- ☐ 周辺の家賃相場を、数字で示して説明してくれるか
- ☐ 修繕の見積もりを、内訳まで出してくれるか
- ☐ 1階の店舗部分について、ガス容量や排水・排気の条件まで把握しているか
最後の項目は、1階が店舗・上層階が住居という「下駄履きマンション」をお持ちの場合に特に重要です。飲食店を次に呼び込めるかどうかは、建物側の設備条件で決まる部分が大きいからです。排気や排煙の工事は一般にテナント負担ですが、高層階になるほど工事費が膨らみ、テナントが決まりにくくなります。
なお、管理会社の実力は規模の大小だけでは測れません。大手は担当者一人が動ける時間に制約があり、小規模な会社は経営者とオーナーが同世代でIT化が進みにくい、という事情がそれぞれあります(詳しくは大手88%増・小規模39%、大阪家主が管理会社を点検すべき理由をご覧ください)。
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管理会社との契約内容の確認や管理会社選び・見直しでお悩みのオーナー様はもちろん、ご実家や親族の家を相続したものの何から手をつければよいか分からないという方も、株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。
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よくある質問
Q. 10月1日以降、不動産会社からのDMは本当に来なくなるのでしょうか?
A. 大きく減ると見られていますが、ゼロにはなりません。登記簿そのものは引き続き誰でも取得できるほか、他の名簿や過去に集めた情報を使った営業は続く可能性があります。
Q. すでに届いたDMは、どうしたらいいですか?
A. すぐに返事をする必要はありません。会社名と免許番号を確認し、複数社の話を聞いてから判断するのが安全です。急かす会社ほど慎重に見てください。
Q. 相続した物件、まず何から手をつければいいですか?
A. 相続登記(名義変更)が済んでいるかの確認が先です。そのうえで貸すのか売るのかを決めます。地域の事情に詳しい不動産会社に早めに相談すると、判断材料が揃いやすくなります。
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