
飲食店倒産8月80件、大阪個人店主の「攻めの閉店」術
2026年8月の「飲食業」倒産は80件で、前年同月比42.8%増(東京商工リサーチ調べ、2026年9月4日発表)。8月としては2009年を上回り、過去30年間で最多を記録しました。「頑張ってきたけど、もう限界かもしれない」――そう感じながら踏ん張っている大阪の個人店主も、決して少なくないはずです。
※本記事は2026年8月4日にお伝えした「大阪の飲食店『2026年サバイバル戦略』最低賃金1,231円・倒産473件からわかること」の続報です。前回は帝国データバンクの上半期データを扱いましたが、今回は東京商工リサーチが発表した最新の8月単月データをもとに、特にどの業態で倒産が増えているかを掘り下げます。
8月データの中身、個人店に集中する倒産
今回の調査で目を引くのは、倒産が「町の馴染みの店」に集中していることです。資本金別では個人企業が30件(前年同月比100%増)と全体の4割近く(37.5%)を占めました。
| 業種 | 8月の倒産件数 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 居酒屋(酒場、ビヤホールなど) | 16件 | 300.0%増 |
| 日本料理店 | 6件 | 200.0%増 |
| ラーメン店 | 8件 | 166.6%増 |
| 食堂、レストラン | 18件 | 100.0%増 |
出典:東京商工リサーチ「2026年8月の『飲食業』倒産動向」
原因別では「販売不振」が65件で全体の8割超(81.2%)を占めます(東京商工リサーチ調べ)。インバウンド需要で賑わう有名店や観光地の店がある一方、接待需要がコロナ前に戻らず、インバウンドの恩恵も届かない「町の飲食店」が、食材費・光熱費・人件費の上昇に耐えきれなくなっている構図です。1〜8月の累計は701件(前年同期比8.8%増)に達しており、このペースが続けば、過去最多だった前年(1,002件)を上回る可能性も出てきました(東京商工リサーチ調べ)。
なぜ「町の店」ばかりが苦しいのか
原価や光熱費(コストの元になるお金)が上がっても、客離れが怖くて値上げに踏み切れない――これが小規模店に共通する悩みです。大阪でも客単価(お客様1人あたりの支払い額)が2.4%上がった一方で客数の伸びは0.8%にとどまるという状況が報告されており(客単価2.4%上昇でも客数0.8%増 大阪飲食店の次の一手)、原価上昇分をすべて価格に転嫁しきれていない実態がうかがえます。
「潰れる前に」―攻めの閉店・居抜き譲渡という選択肢
赤字を垂れ流しながら続けるだけが選択肢ではありません。設備や内装をそのまま次のテナントに引き継ぐ「居抜き譲渡」を使えば、店を解体して更地に戻す「原状回復」(借りたときの状態に戻す義務)の費用を大きく抑えられます。むしろ、体力があるうちに計画的に閉店・移転を決めた方が、結果的に手元にお金が残るケースも少なくありません。「まだ大丈夫」と先延ばしにするほど、原状回復費用の負担だけが重くのしかかる点には注意が必要です。
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よくある質問
Q. うちの店、儲かってないけどまだ畳むタイミングじゃない気がします。どう判断すればいいですか?
A. 毎月の赤字額と、閉店時にかかる原状回復費用を比べてみましょう。赤字が続くほど原状回復費用を賄う体力も減るため、早めの相談が選択肢を広げます。
Q. 居抜き譲渡と普通の閉店は何が違うのですか?
A. 居抜き譲渡は厨房設備や内装を残したまま次の借り手に引き継ぐ方法で、解体費用がかからない分、閉店にかかる負担を大きく減らせます。
Q. なぜ居酒屋やラーメン店ばかり倒産が増えているのですか?
A. 客単価が低く少額決済が多い業態ほど、食材費や人件費の上昇分を価格に転嫁しにくいためと分析されています(東京商工リサーチ調べ)。
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