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飲食店の価格転嫁率28.7%、全業種最下位クラスの理由と対策

飲食経営

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

飲食店の価格転嫁率は28.7%、業種の中でも下位

飲食店が原価の上昇分を価格に転嫁できている割合は、全業種平均39.9%に対してわずか28.7%と、旅館・ホテル(23.0%)に次ぐ低さであることが、帝国データバンクの調査(2026年7月時点、8月28日発表)で分かりました。「値上げしたらお客さんが離れるんじゃないか」「もう限界かもしれないけど、言い出しにくい」——そんな不安を抱える大阪の飲食店経営者の方に向けて、今回のデータから見える「値上げの伝え方」のヒントをお届けします。

「価格転嫁」とは、原材料費や人件費などのコスト上昇分を、商品の値段にどれだけ反映できているかということです。帝国データバンクが全国2万2,350社に尋ねた調査(有効回答1万518社)によると、業種別の価格転嫁率は次のようになっています。

業種価格転嫁率
化学品卸売63.2%
各種商品小売(食品スーパー)33.1%
全業種平均39.9%
飲食店28.7%
不動産25.9%
旅館・ホテル23.0%

出典:帝国データバンク「価格転嫁に関する実態調査(2026年7月)」(2026年8月28日発表)

調査には、兵庫県の飲食店経営者から寄せられた「価格転嫁すると集客できなくなるのではないかという不安から、値上げに踏み出せない」という生の声も紹介されていました(帝国データバンク調べ)。まさに多くの経営者が抱える本音ではないでしょうか。

なぜ飲食店だけ上げにくいのか:費目別に見る差

同じ調査では、コストの項目別(原材料費・人件費・物流費・エネルギーコスト)にも転嫁率を出しています。全業種平均では、原材料費が47.3%ともっとも転嫁しやすく、次いで物流費34.5%、人件費32.0%、エネルギーコスト29.6%の順でした。原材料費は仕入れ先からの値上げ通知書や市況データなど、コスト上昇を示す「根拠」を示しやすいのに対し、人件費や光熱費は複数のメニューにまたがって発生するため、「このメニューにいくら乗せればいいか」が説明しにくいのです。飲食店の価格転嫁率が低いのは、まさにこの人件費・光熱費への依存度が高いことも一因と考えられます。

今日からできる「値上げの伝え方」


コスト上昇の
記録を残す

メニューごとに
根拠を整理

POPやひと言で
理由を伝える

一部メニューから
試す

値上げ前に確認したいチェックリスト

  • ☐ 仕入れ先からの値上げ通知書やレシートを保管しているか
  • ☐ メニューごとの原価(材料費・人件費配分)を最近見直したか
  • ☐ 値上げの理由をひと言でお客様に伝える準備があるか(POP・SNSなど)
  • ☐ 全メニュー一斉ではなく、一部メニューからの値上げも検討したか
  • ☐ 「量を減らす」「素材を変える」など値上げ以外の選択肢も比較したか

以前お伝えした大阪「ミシュラン店」はなぜ破産?30店舗拡大に学ぶ閉店判断でも触れたとおり、価格転嫁の遅れは経営を静かに圧迫し、気づいたときには手遅れになりかねません。9月値上げ4923品目、大阪の飲食店に必要な「原価防衛」術でご紹介した原価管理の視点とあわせて、値上げの「伝え方」まで一歩踏み込んで準備しておくことが、これからの飲食店経営には欠かせません。

なお、原価が上がる局面では、家賃を含めた固定費全体の見直しも重要な選択肢になります。「潰れる前に」動けるかどうかが、経営者としての分かれ道です。移転や居抜き物件への切り替えでコスト構造そのものを見直したいという場合は、私たち不動産会社にもご相談いただけます。

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大阪での出店をご検討中の飲食店経営者様、原価構造の見直しから計画的な移転・閉店・居抜き売却をご検討中の飲食店経営者様、どちらのご相談も株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。

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電話:06-6195-8209

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よくある質問

Q1. うちの店も値上げした方がいいのか、正直よく分かりません。どう判断すればいいですか?
A1. まずは仕入れ値・人件費・光熱費がどれだけ上がったかを数字で把握し、それが利益をどれだけ圧迫しているかを確認することから始めましょう。感覚ではなく数字で判断することが大切です。

Q2. 値上げすると常連客が離れてしまいそうで怖いです。
A2. 一斉値上げではなく、原価上昇が大きい一部メニューから始める、理由をひと言添えるなど、伝え方を工夫することで受け入れられやすくなるケースが多く見られます。

Q3. 人件費の値上げ分はどう転嫁すればいいですか?
A3. 人件費は複数メニューにまたがるため直接の対応が難しい費目ですが、全体の原価率から逆算して、メニュー横断的に一定割合を上乗せする方法が現実的です。

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