貸付不動産の相続税評価「5年ルール」2027年変更の画像

貸付不動産の相続税評価「5年ルール」2027年変更

不動産管理

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

2027年1月1日以後の相続・贈与から、買ってまだ5年たっていない賃貸用の不動産は、これまでの評価方法ではなく、市場価格に近い金額で評価されることになりました(財務省「令和8年度税制改正の大綱」令和7年12月26日閣議決定)。相続税対策も視野に区分マンション投資を考えているサラリーマン投資家にとって、「いつ買うか」がこれまで以上に大切になります。

なぜ賃貸用不動産を買うと相続税が下がっていたのか

相続税は、亡くなった方の財産に応じてかかる税金です。財産が現金1億円ならそのまま1億円として計算されますが、同じ1億円を賃貸マンションに変えて人に貸すと、税金の計算に使う評価額は市場価格よりかなり低くなるのが一般的でした。他人に貸している土地・建物は、自由に使えない分だけ評価を下げる仕組みがあるためです。この仕組みを使って「賃貸不動産を買うほど相続税が安くなる」という節税方法が広まっていました。

しかし、評価額と実際の市場価格の差があまりに大きいケースについて、2022年4月19日に最高裁判所が「行き過ぎた節税だ」と判断したことをきっかけに、国は評価方法の見直しを進めています。分譲マンションはすでに2024年から新しいルールで評価されており、今回はアパートや一棟マンションなど「貸付用不動産」が対象になりました。

「5年ルール」の中身

新しいルールでは、亡くなった方や贈与した方が、相続や贈与の時より前の5年以内に買ったり新しく建てたりした賃貸用不動産は、市場価格に近い「通常の取引価額」で評価されます。ただし、税務上問題がなければ、買ったときの金額をもとに地価の変動などを考慮した金額の80%で評価できる緩和も用意されています。さらに、不動産クラウドファンディングなど「不動産小口化商品」を通じて間接的に持っている場合は、買ってから何年たっていても、常に市場価格に近い評価が適用される点に注意が必要です。

保有の形5年ルールの対象になるか
賃貸不動産を直接購入・新築(5年以内)対象(市場価格ベース、条件付きで80%評価の緩和あり)
賃貸不動産を直接購入(5年超保有)原則、従来どおりの評価方法
不動産小口化商品(クラウドファンディング等)取得時期を問わず、常に市場価格ベース

(出典:財務省「令和8年度税制改正の大綱」令和7年12月26日閣議決定)

ポイント:相続税対策としての賃貸不動産投資は、健康で時間の余裕があるうちに始めないと間に合わなくなります。5年という時間の壁を必ず考慮しましょう。

サラリーマン投資家が今、意識しておきたいこと

このルールが意味するのは、「相続税対策としての賃貸不動産投資は、健康で時間の余裕があるうちに始めないと間に合わなくなる」ということです。体調を崩してから慌てて物件を買っても、5年以内に相続が起きれば節税効果はほとんど働きません。大阪でも区分マンション投資は根強い人気がありますが、節税だけを目的に急いで物件を増やす場合は、この5年という時間の壁を必ず考慮する必要があります。

なお、この記事の執筆時点(2026年8月)では、細かい適用範囲を定める国税庁の通達はまだ公表されていません。実際に対策を検討される際は、最新の公式情報を必ず確認してください。

「節税」をしていない人にも関わる話です

ここまでは投資による節税の話でしたが、実は今回のルールとは別に、もっと身近なリスクもあります。相続税は、財産を受け継いだ人が原則として現金で一括払いするのがルールです。ところが、親から実家や土地を受け継いだだけで、手元にまとまった現金がない、というケースは珍しくありません。この場合、納める税金の分だけ、急いで土地を売って現金化せざるを得なくなることがあります。買い手を探す時間がなければ、本来の価値より安い金額で手放すことにもなりかねません。

これは、投資として賃貸不動産を持っている方だけの話ではなく、実家の土地を持つご家族すべてに関わる問題です。親が元気なうちに、財産の分け方や納税資金の準備(生命保険の活用や、一部を売却しておくことなど)を話し合っておくことが、いざというときに「売りたくなくても売る」事態を避ける一番の備えになります。

不動産投資のご相談はこちら

大阪エリアでの区分マンション投資や相続を見据えた不動産の買い時についてお悩みのサラリーマン投資家様、実家の土地の相続や納税資金の準備についてご不安のある方、どちらも株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。

TEL:06-6195-8209

お問い合わせフォームはこちら

よくある質問

Q. 5年ルールはいつから始まりますか?
A. 2027年(令和9年)1月1日以後に発生する相続・贈与から適用される見込みです。詳細は今後公表される国税庁の通達を確認する必要があります。

Q. すでに5年以上前に買った賃貸マンションはどうなりますか?
A. 原則としてこれまでどおりの評価方法が使えると考えられていますが、土地と建物で取得時期が異なる場合は、建物だけが対象になることもあります。

Q. 不動産クラウドファンディングで相続税対策はできなくなりますか?
A. 小口化商品は取得時期にかかわらず市場価格に近い評価になるため、これまでのような評価差を利用した節税効果は期待しにくくなります。

Q. 投資をしていなくても、実家の土地だけで相続税はかかりますか?
A. 財産の合計額によってはかかります。現金が少ない場合、税金を払うために土地を急いで売る事態になることもあるため、早めの準備が大切です。

関連記事

参考

”不動産管理”おすすめ記事

  • マンション修繕費、借金頼み58%増 オーナーの確認点の画像

    マンション修繕費、借金頼み58%増 オーナーの確認点

    不動産管理

  • 大阪オフィス空室率3.24%に上昇 家主が今すべきことの画像

    大阪オフィス空室率3.24%に上昇 家主が今すべきこと

    不動産管理

  • 相続土地を手放す最終手段「申請5,863件」の実態の画像

    相続土地を手放す最終手段「申請5,863件」の実態

    不動産管理

  • 大阪市老朽住宅解体補助「最大170万円」に拡充 相続空き家の注意点の画像

    大阪市老朽住宅解体補助「最大170万円」に拡充 相続空き家の注意点

    不動産管理

  • エアコン「2027年問題」管理会社の提案どう判断の画像

    エアコン「2027年問題」管理会社の提案どう判断

    不動産管理

  • 大阪市「特区民泊」新規停止、空室活用オーナーの次の一手の画像

    大阪市「特区民泊」新規停止、空室活用オーナーの次の一手

    不動産管理

もっと見る