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「遺言書が出てきた」開けないで|検認の手続きと費用

相続・空家

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

結論を先にお伝えします。封がしてある遺言書を家族が勝手に開けてしまうと、5万円以下の過料(罰金のようなもの)の対象になります。そして自宅で保管されていた遺言書は、家庭裁判所の「検認(けんにん)」という手続きを済ませないと、実家の名義変更(相続登記)などに使えません。「実家を片付けていたら、引き出しの奥から遺言書らしい封筒が出てきた。どうすればいいの?」という方のために、やるべきことを順番に整理します。

まず、絶対に開けないでください

民法1005条では、遺言書を家庭裁判所に出さずに執行したり、家庭裁判所以外の場所で封印を開けた人は、5万円以下の過料に処すると定められています。封がしてある遺言書は、家庭裁判所で相続人などが立ち会ったうえで開けるのがルールです。

安心していただきたいのは、うっかり開けてしまっても、遺言そのものが無効になるわけではないという点です。ただし「中身を書き換えたのではないか」と他の相続人から疑われるきっかけになります。見つけたら、そのまま触らずに保管してください。

検認が必要な遺言書・不要な遺言書

遺言書は3種類あり、検認が必要なものと不要なものに分かれます。

遺言書の種類 検認 探し方
自筆証書遺言(自宅などで保管) 必要 自宅の金庫・仏壇・貸金庫などを探す
自筆証書遺言(法務局に預けたもの) 不要 法務局で「遺言書保管事実証明書」を請求(1通800円)
公正証書遺言(公証役場で作ったもの) 不要 公証役場の「遺言検索システム」で全国を無料照会

法務局の保管制度(令和2年7月10日開始)に預けられた遺言書と、公証役場で作られた公正証書遺言は、家庭裁判所の検認が要りません。公証役場での検索は電話やメールではできず、相続人が戸籍謄本と身分証明書を持って窓口に行く必要があります。

検認の流れ

①
開けずに保管
→
②
家庭裁判所へ申立て
→
③
相続人へ期日の通知
→
④
検認期日に立ち会う
→
⑤
検認済証明書をもらう
→
⑥
相続登記へ

申立て先は、亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所です。遺言書を預かっていた人、または見つけた相続人が申立てをします。申立てから検認の日までは1か月前後かかるのが一般的で、戸籍を取り寄せる時間も含めると、全体で1か月以上は見ておくと安心です。

検認は「遺言書が今こういう状態で存在しました」と裁判所が記録する手続きで、遺言の内容が有効か無効かを判断する手続きではありません。ここは誤解の多いところです。

申立てに準備するもの

  • ☐ 家事審判申立書(裁判所のホームページから入手できます)
  • ☐ 遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
  • ☐ 相続人全員の戸籍謄本
  • ☐ 収入印紙800円(遺言書1通につき。封書の場合は封書1通につき)
  • ☐ 連絡用の郵便切手
  • ☐ 検認済証明書の申請用に、収入印紙150円と申立人の印鑑

戸籍を郵送で取り寄せる場合は、届くまでに1〜2週間かかることがあります。必要な戸籍の種類は相続登記の必要書類は?戸籍謄本の集め方と過料10万円とほぼ重なるので、まとめて多めに取っておくと二度手間になりません。

遺言書があると、その後の手続きが変わります

有効な遺言書で「実家は長男に」と決まっていれば、相続人全員で話し合う遺産分割協議をしなくても、その内容で名義変更ができます。逆に、協議がまとまってから遺言書が出てくると、やり直しになることもあります。協議を始める前に、遺言書の有無を確認するのが正しい順番です。

そもそも親がどこに不動産を持っていたか分からない場合は、「親の不動産」を全部調べる3つの方法|名寄帳と新制度を参考に、先に不動産の全体像をつかんでおきましょう。

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よくある質問

Q. もう開けてしまいました。どうなりますか?
A. 遺言書が無効になることはありません。開けた状態のまま家庭裁判所に提出し、検認を受けてください。他の相続人には、状況を正直に伝えておくのが安全です。

Q. 検認をしないまま、実家の名義を変えられますか?
A. 自筆証書の遺言書で相続登記をする場合、原則として検認済証明書が付いたものが必要です。検認を省くことはできません。

Q. 遺言書があるかどうかも分からないのですが、調べる方法はありますか?
A. あります。公正証書遺言なら公証役場の遺言検索システムで無料照会でき、法務局に預けられた遺言書なら「遺言書保管事実証明書」(1通800円)で確認できます。自宅保管のものは探すしかありません。

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