
「親の不動産」を全部調べる3つの方法|名寄帳と新制度
亡くなった親の不動産を調べるには、①固定資産税の納税通知書を探す ②市区町村で「名寄帳(なよせちょう)」を見る ③2026年2月2日に始まった「所有不動産記録証明書」を法務局で取る、の3つを組み合わせるのが確実です。結論として、この3つを順にたどれば、実家以外に持っていた土地の見落としをかなり防げます。
「実家以外にも何か持っていたらしいけれど、どこに何があるのか本人しか知らなかった」。相続の現場で本当によくあるお悩みです。不動産を1つでも見落とすと、相続登記のやり直しや、数年後に突然届く固定資産税の通知で慌てることになります。
調べる流れは5ステップ
納税通知書を探す
名寄帳を取る
所有不動産記録証明書を取る
登記事項証明書で確認
相続登記へ
①まずは家の中を探す
いちばん手がかりになるのは、毎年4月〜6月ごろに市区町村から届く固定資産税の納税通知書です。親が持っていた土地・建物が一覧で載っています。
次のものも探してみてください。
- ☐ 固定資産税の納税通知書(直近1年分でよい)
- ☐ 権利証、または「登記識別情報通知」と書かれた封筒
- ☐ 火災保険・地震保険の証券(建物の所在地が分かります)
- ☐ 通帳の引き落とし記録(固定資産税や管理費の支払先)
- ☐ 遺言書、エンディングノート、不動産会社からの手紙
ただし納税通知書には弱点があります。固定資産税がかからない土地(私道や一定の墓地など)は載らないことがあり、また市区町村ごとに別々に届くため、1通だけ見つけても全部とは限りません。
②市区町村で「名寄帳」を見る
名寄帳とは、その市区町村にある不動産を「所有者ごとにまとめた一覧表」です。正式には固定資産課税台帳といい、大阪市では「固定資産課税台帳の閲覧」という名前で手続きを受け付けています。手数料は大阪市の場合1件につき200円で、市税事務所の窓口で申請します。
相続人も申請できますが、本人確認書類に加えて、亡くなったことや相続関係が分かる書類を求められるのが一般的です。必要書類は自治体によって違うので、行く前に電話で確認すると二度手間になりません。
注意点は、あくまでその市区町村の分しか分からないことです。親が大阪市と、生まれ故郷の田舎に土地を持っていたなら、それぞれの役所に請求する必要があります。
③2026年2月に始まった「所有不動産記録証明書」
2026年(令和8年)2月2日から、全国の不動産をまとめて一覧にできる「所有不動産記録証明制度」の運用が始まりました。
法務局に請求すると、その人が所有権の登記名義人として記録されている不動産の一覧を、証明書として出してもらえます。相続登記の義務化(2024年4月1日スタート)によって、相続人が「どの不動産を登記すればよいのか」を把握しやすくするために作られた制度です。請求できるのは、登記名義人本人と、その相続人などです。全国どこの法務局でも請求でき、オンライン請求もできます。
手数料は検索条件1件につき、1通あたり次のとおりです。
| 請求のしかた | 手数料 |
|---|---|
| 窓口・郵送(書面請求) | 1,600円 |
| オンライン請求+郵送で受け取り | 1,500円 |
| オンライン請求+窓口で受け取り | 1,470円 |
便利な制度ですが、万能ではありません。法務省も次の点に注意するよう案内しています。
- 検索は、氏名の前方一致と住所(市区町村まで)の一致で行われるため、登記簿上の住所・氏名が古いままだと出てこないことがあります(引っ越し前の住所も検索条件に加えられます)
- 同じ名前の別人の不動産が混ざることがあります
- 登記簿がコンピュータ化されていない古い不動産は対象外です
- 該当なしでも手数料は戻りません
つまり、名寄帳と所有不動産記録証明書は「どちらか片方」ではなく、両方使って突き合わせるのが安全です。
3つの方法の違い
| 方法 | 調べられる範囲 | 請求先 |
|---|---|---|
| 納税通知書 | その市区町村の課税対象のみ | 自宅で探す |
| 名寄帳 | その市区町村にある不動産 | 市区町村(市税事務所など) |
| 所有不動産記録証明書 | 全国(登記名義人として記録されたもの) | 全国の法務局 |
一覧が出たら、最後に各不動産の登記事項証明書を取り、面積・持ち分・抵当権が残っていないかを確認します。ここまで終われば、相続登記に進めます。必要書類は相続登記の必要書類は?戸籍謄本の集め方と過料10万円で詳しく説明しています。
なお、売却や解体を考えている土地が出てきた場合は、あわせて土地の境界も早めに確認しておくと安心です。進め方と費用の目安は相続した実家の「境界」が不明?測量費用と進め方でまとめています。
見落としを放置すると、空き家の管理不足を問われたり、空き家の固定資産税が6倍に?「住宅用地特例」除外の仕組みで解説したような税金の負担増に気づくのが遅れたりします。早めの洗い出しが結局いちばん安く済みます。
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よくある質問
Q. 親が持っていた不動産が分からないまま、放っておいたらどうなるの?
A. 相続登記をしないままだと、相続人がさらに亡くなって権利者が増え、話し合いが難しくなります。固定資産税の通知が届かず滞納になることもあります。
Q. 所有不動産記録証明書があれば、名寄帳はもう要りませんか?
A. 併用をおすすめします。登記簿上の住所が古いと証明書に出てこない不動産があり、名寄帳で補える場合があります。
Q. 遠方の役所まで行けません。郵送でも頼めますか?
A. 名寄帳の郵送請求に応じる自治体もありますが、取り扱いは自治体ごとに異なります。事前に電話で確認してください。
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