
相続した実家の「境界」が不明?測量費用と進め方
相続した実家を売る・解体する前に、必ず確認しておきたいのが土地の「境界」です。結論から言うと、まず法務局で図面を取り寄せ(1通500円)、現地に境界のしるしが見つからない場合は土地家屋調査士に「確定測量」を依頼するのが基本の流れになります。話し合いでまとまらないときは、法務局の「筆界特定制度」という公的な手続きも使えます。
「ブロック塀のどこまでがうちの土地なのか、親が元気なうちに聞いておけばよかった」。相続の現場では、本当によくあるお悩みです。
売る前の流れは5ステップ
法務局で図面を取る
現地で境界のしるしを探す
土地家屋調査士に相談
隣の人と立ち会って測量
売却・解体へ
まずは法務局で図面を取り寄せる
土地の形や面積の記録は、法務局にあります。「公図(こうず)」や「地積測量図(ちせきそくりょうず)」と呼ばれる図面で、まとめて「地図等証明書」といいます。手数料は請求のしかたで少し変わります。
| 取り寄せ方 | 手数料(1通) |
|---|---|
| 法務局の窓口・郵送 | 500円 |
| オンライン請求+郵送で受け取り | 470円 |
| オンライン請求+窓口で受け取り | 440円 |
※2026年(令和8年)4月1日以降の金額です。証明書ではなく画面で見るだけなら、「登記情報提供サービス」で地図・図面情報が1件360円です。
ただし、昔に登記された土地では地積測量図がそもそも存在しないこともよくあります。その場合は、あらためて測量が必要になります。
測量には「現況測量」と「確定測量」がある
- 現況測量…今ある塀や境界のしるしをもとに、おおよその形と面積を測るもの。隣の人の立ち会いは要りません。
- 確定測量…隣の土地の所有者(前が道路なら市区町村)に立ち会ってもらい、境界を正式に決めるもの。売却するときは基本的にこちらが求められます。
| 種類 | 費用の目安 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 現況測量 | 10〜20万円程度 | 1週間程度 |
| 確定測量(隣の土地だけ) | 30〜50万円程度 | 1か月半〜3か月程度 |
| 確定測量(道路など公有地を含む) | 50〜80万円程度 | 3か月以上かかることも |
※いずれも民間の相場の目安です。土地の広さ・形、隣の人の数、地域によって大きく変わるため、必ず複数の土地家屋調査士から見積もりを取ってください。
測量を頼む前のチェックリスト
- ☐ 相続登記(名義変更)は済んでいるか
- ☐ 権利証や昔の売買契約書が実家に残っていないか
- ☐ 現地にコンクリート杭・金属プレート・鋲などの境界のしるしがあるか
- ☐ 隣の土地の所有者の連絡先が分かるか
- ☐ 共有名義になっていないか(共有者全員の協力が必要)
特に1つ目は大切です。名義が亡くなった方のままだと、話が前に進みません。
なお、そもそも親がどこに不動産を持っていたか分からないという場合は、先に不動産の洗い出しから始めます。調べ方は「親の不動産」を全部調べる3つの方法|名寄帳と新制度で説明しています。
まだの方は相続登記の必要書類は?戸籍謄本の集め方と過料10万円もあわせてご覧ください。話し合いでまとまらないときは「筆界特定制度」
隣の人と意見が食い違い、どうしても境界が決まらないことがあります。そんなときに使えるのが、法務局の筆界特定制度(ひっかいとくていせいど)です。
法務局の筆界特定登記官が、外部の専門家である筆界調査委員の意見をふまえて、境界の現地での位置を特定してくれる制度です。裁判をしなくても利用できます。申請できるのは、その土地の登記名義人やその相続人などです。
申請手数料は土地の価格で決まります
法務省の例では、申請する人の土地と隣の土地の価格の合計が4,000万円の場合で8,000円です。ただし、手続きの中で測量が必要になると、その費用は別にかかります。
なお、隣の木の枝が越境している場合は、2023年4月1日に施行された民法の改正により、次のいずれかにあてはまれば、自分で切り取ることができるようになりました。
- 切ってほしいと伝えても、相当の期間内に切ってもらえないとき
- 木の所有者や、その居場所が分からないとき
- 急ぎの事情があるとき
売り方そのものを迷っている方は、空き家売却「仲介」と「買取」どっちが得?違いを解説もあわせてご覧ください。
また、共有名義のままにしておくと、相続人がさらに亡くなって共有者が増え、全員の協力を得るのが年々難しくなります。詳しくは「数次相続」で空き家の共有者が増える前に知るべきことをご覧ください。
解体してから売るかどうかで迷っている場合は、先に空き家の解体費用相場は?解体前の確認ポイント7つで費用感をつかんでおくと、測量まで含めた総額が見えてきます。
判断能力が落ちているご本人が関わる場合の進め方は、認知症の親の実家は売れる?成年後見と2026年改正で詳しく説明しています。枝の越境や落ち葉は、近隣トラブルのきっかけになりやすい部分です。あわせて空き家放置で「倒壊」したら誰の責任?近隣トラブルも解説もご覧ください。
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よくある質問
Q. 測量って、売る側と買う側のどっちがお金を出すんですか?
A. 一般的には売主が負担します。境界をはっきりさせて引き渡すのが売主の役割とされているためです。ただし最終的には契約での取り決め次第です。
Q. 境界のしるしが1つも見つかりません。もう売れないのでしょうか。
A. 売れなくなるわけではありません。土地家屋調査士に確定測量を依頼し、隣の方と立ち会って境界を決め直せば大丈夫です。
Q. 隣の人が高齢で施設に入っていて、立ち会いが難しいです。
A. ご家族や成年後見人が代わりに立ち会うケースがあります。相手が不明・所在不明の場合は、筆界特定制度の利用を検討します。
