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大阪中古マンション「中心6区下落・18区急落」の理由

不動産投資

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

大阪府全体では価格・件数とも下落基調

大阪府の中古マンション市場は、2026年7月、中心部の6区で成約価格が2カ月連続の下落となった一方、周辺の18区では前月から成約価格が急落し、これまでの「売り手優位」の状況がほぼ消えました(近畿レインズ調べ)。「大阪の不動産は上がっている」という一括りのイメージだけで物件を選ぶと、エリアによっては判断を誤る可能性があります。

弊社ブログでは以前、大阪中心部の中古マンション「売値と成約値」の差が2,397万円に拡大!ワニの口が示す投資の注意点(2026年8月6日公開)で、中心6区における6月時点の「ワニの口」の拡大についてお伝えしました。今回はその後の7月データをもとに、中心6区だけでなく周辺18区も含めた最新の動きを解説します。

不動産情報を発信するダイヤモンド不動産研究所が、近畿圏不動産流通機構(近畿レインズ)のマンスリーレポートをもとにまとめたデータによると、2026年7月の大阪府全体の中古マンション成約価格は3498万円でした。前月比-5.4%、前年同月比でも-3.2%と下落しています。成約件数も808件(前年比-3.6%、前月比-9.5%)と減少しました。一方で、新たに売り出された物件の件数(新規登録件数)は3419件(前年比+6.0%)と増えています。

注意したいポイント:ここでいう「売出価格」と「成約価格」は、同じ物件の値段の変化を追いかけたものではありません。売出価格はその月に新しく売りに出された物件の平均値、成約価格はその月に実際に契約が決まった物件の平均値で、それぞれ対象になっている物件が異なります。値上がりして売れたという意味ではなく、あくまで集団としての平均値の比較だという点にご注意ください。

エリアで方向がまったく違う「ワニの口」

不動産業界では、売出価格と成約価格の差を、口を開けたワニの形にたとえて「ワニの口」と呼ぶことがあります。この差が大きいほど「売り手が強気の値段をつけても、それだけの価格で買う人がいる」状態を意味します。7月のデータでは、このワニの口の動き方がエリアによって正反対でした。

エリア 成約価格(前月比) 売出価格との差(ワニの口) 傾向
大阪市内中心6区
(北区・中央区・西区・浪速区・天王寺区・福島区)
5826万円(-2.1%) 1631万円
(6月2397万円から縮小)
売出価格の下げ幅が大きく差が縮小
大阪市内18区
(中心6区を除く)
2935万円(-7.8%) 77万円
(6月385万円から急縮小)
成約価格の急落で売り手優位がほぼ消滅
大阪府全体 3498万円(-5.4%) 価格・件数とも下落基調

(近畿レインズ調べ、2026年7月度データ)

中心6区は、成約件数が192件(前年比-16.5%)と大きく落ち込み、5月の直近1年の最高値6621万円から2カ月連続の下落となりました。売出価格自体も前月から-10.7%と下がっており、「双方が下がる中で売出価格の下げ幅の方が大きかった」結果としてワニの口が縮小した形です。売り手の強気な値付けと、実際に買われる価格との距離が根本的に縮まったとは言い切れません。

一方、18区は6月まで2カ月続いていた成約件数の増加が止まり、成約価格が6月の3183万円(直近1年の最高値)から急落しました。これにより、売出価格(2858万円)との差はわずか77万円まで縮まり、「市場に出てくる物件よりも高い水準で決まる」という売り手優位の状態がほぼ消えかけています。大阪市中心部からの実需の流入で押し上げられてきた18区の価格が、ここへ来て一服した可能性があります。

サラリーマン投資家が意識したいこと

副業として区分マンション投資を考える場合、「大阪だから」「駅近だから」といった大まかなイメージだけでエリアを選ぶと、こうした局面の違いを見落としがちです。中心6区は依然として高い水準にありますが下落が続いており、無理に高値をつかむリスクがあります。逆に18区は、これまでの「売り手優位」が崩れつつあることで、価格交渉の余地が広がっている可能性があります。どちらが良い・悪いということではなく、今どちらの局面にあるエリアなのかを確認したうえで、物件ごとの利回りや管理状態と合わせて判断することが大切です。中心部と郊外で明暗が分かれる背景については、関西の収益物件、価格上昇は「今に始まったことではない」――大阪中心部と郊外で分かれる明暗、頼れるのは相場を知る管理会社でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

まとめ

大阪の中古マンション市場は、エリアによって値動きの方向性がはっきり分かれ始めています。表面的な「上がっている・下がっている」という情報だけで判断せず、成約件数や売出価格との差といった複数のデータを確認する習慣をつけることが、失敗しない物件選びにつながります。

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よくある質問

Q. 「ワニの口」とは何ですか?
A. 売出価格と成約価格の差を、口を開けたワニの形にたとえた不動産業界の言葉です。差が大きいほど売り手優位の市場とされます。

Q. 大阪市内なら中心部と周辺部、どちらに投資すべきですか?
A. 一概にどちらが良いとは言えません。中心部は水準が高いものの下落が続いており、周辺部は売り手優位が崩れつつあります。エリアごとの局面を確認したうえで、物件個別の条件と合わせて判断することが重要です。

Q. 売出価格より成約価格が高いことはありますか?
A. あります。ただしこれは同じ物件を追跡した数字ではなく、月ごとに異なる物件群の平均値の比較のため、値上がりして売れたという意味ではない点に注意が必要です。

参考

※本記事の数値は2026年7月度の近畿レインズ「マンスリーレポート」に基づくダイヤモンド不動産研究所の集計・分析によるものです。市況は月次で変動するため、投資判断の際は最新データをあわせてご確認ください。

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