
相続土地を手放す最終手段「申請5,863件」の実態
使い道のない相続土地を国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」の申請が、2026年7月末までに全国で5,863件、実際に国庫に引き取られた土地は3,008件にのぼりました(法務省調べ)。「相続はしたけれど、活用も売却も難しい土地をどうすればいいのか」と悩むオーナー様は多いのではないでしょうか。今回は、この制度の仕組みと、申請する前に知っておきたい注意点をまとめます。
相続土地国庫帰属制度とは
相続土地国庫帰属制度とは、亡くなった方から土地を相続した人が、「もう管理できない」「売ることもできない」という土地について、一定の条件を満たせば国に引き取ってもらえる制度です。2023年4月に始まりました。
| 項目(令和8年7月31日時点) | 件数 |
|---|---|
| 申請件数 | 5,863件 |
| 国庫への帰属件数 | 3,008件 |
| 却下件数 | 85件 |
| 不承認件数 | 96件 |
| 取下げ件数 | 1,102件 |
(法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」より作成)
注意したいポイント
この制度は、誰でもすぐに使えるわけではありません。建物が建ったままの土地は対象外で、更地にしてから申請する必要があります。このほか、境界がはっきりしない土地、崖のある土地、通路になっている土地なども対象外です(法務省調べ)。審査を通っても、土地一筆ごとに審査手数料1万4千円と、10年分の管理費用にあたる負担金(原則20万円以上)を国に納める必要があり、審査に通らなくても手数料は返ってきません。
「取り下げ」の半数以上は、別の道が見つかったケース
上の表にある1,102件の取り下げのうち、571件は「有効活用の見込みが生じた」ことが理由でした(法務省調べ)。自治体や隣接地の所有者が土地を引き受けてくれたり、農地として活用される見込みが立ったりして、国に引き取ってもらう必要がなくなったケースです。
このデータが示しているのは、「国に引き取ってもらう」のはあくまで最終手段であり、その前に売却や活用の道がないか確認する価値があるということです。相続で急にご実家や親御さんの土地を引き継いだものの、何から手をつければよいか分からないという方は少なくありません。名義変更の手続きと並行して、建物の中に残された家財道具の片付けまで一度に降りかかってくることも多いものです。一人で抱え込まず、まずは地域の事情に詳しい不動産会社に相談することで、解体・売却・活用・国庫帰属のどの道を選ぶにしても、選択肢を整理しやすくなります。
なお、国庫帰属の前提となる「建物の解体」については、大阪市内であれば解体費用の補助が使える場合があります。大阪市老朽住宅解体補助「最大170万円」に拡充 相続空き家の注意点で制度の詳細をご紹介していますので、あわせてご確認ください。相続をきっかけに必要になる他の手続きについては、住所変更登記2026年4月義務化、相続オーナーの注意点や死後事務委任契約とは?費用相場は50万円からも参考になります。
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よくある質問
Q. 相続土地国庫帰属制度はどんな土地でも使えますか?
A. いいえ。建物がある土地や境界が不明な土地、崖地など対象外の条件があり、申請しても却下・不承認になる場合があります(法務省調べ)。
Q. 費用はどれくらいかかりますか?
A. 審査手数料が土地一筆あたり1万4千円、承認後は原則20万円以上の負担金が必要です(法務省調べ)。
Q. 申請を途中でやめる人もいるのですか?
A. 2026年7月末までに1,102件が取り下げられており、うち571件は自治体や近隣への売却など、別の活用の見込みが立ったことが理由でした(法務省調べ)。
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参考
- 相続土地国庫帰属制度の統計|法務省(令和8年8月21日更新・令和8年7月31日時点データ・一次情報)
- 相続した土地を手放したいときの「相続土地国庫帰属制度」|政府広報オンライン(一次情報・制度解説)
※本記事の数値は法務省が公表する速報値に基づくものです。制度の要件や費用は変更される場合があるため、実際の申請にあたっては法務局または最新の法務省発表をご確認ください。
