
飲食店の閉店「離職票」と雇用保険の手続き・期限
「もう店を畳むと決めたけれど、スタッフの離職票って何を出せばいいの?」と迷う店主さんは、貸主への解約予告期間で閉店日を決めてから、スタッフ一人ひとりの離職の手続き(10日以内)と、店そのものを廃止する手続きの順に進めましょう。期限が10日・50日・5日と別々に決まっているため、日付から逆算して準備するのがおすすめです。
① 先に、貸主への解約予告期間と閉店日を決める
スタッフへの説明より先に、契約書で貸主への解約予告期間(解約を伝えてから部屋を明け渡すまでの決まった期間)を確認します。ここが決まらないと、最終営業日も、各手続きの期限も決まらないからです。確認の仕方は飲食店の「解約予告期間」トラブルと対処法にまとめています。
閉店日・引き渡し日を決めるときは、次の案内も参考にしてください。
閉店日・引き渡し日を決めるときは、縁起のいい日カレンダーも参考に
契約・開業・閉店に向く日を月別にまとめています。ただし、縁起は気持ちの問題です。日程は、解約予告期間・家賃の発生日・原状回復の工期を優先してください。
手続きの全体の流れ
解約予告期間と閉店日を決める
スタッフへ伝える
一人ひとりの離職の手続き
店そのものを廃止する手続き
どの手続きが必要かは、スタッフを雇用保険や社会保険に入れていたかで変わります。給与明細や届出の控えで、自店の加入状況を先に確認しましょう。
② スタッフへ伝える
閉店日が決まったら、スタッフへ伝えます。解雇予告手当(予告をせずに辞めてもらうときに払うお金)の考え方は飲食店の閉店「解雇予告手当」と退職金の考え方、お客様への知らせ方は「閉店のお知らせ」常連客とSNSへの伝え方で整理しています。
③ スタッフ一人ひとりの離職の手続き
雇用保険に入っているスタッフがいる場合は、ハローワークへ「雇用保険被保険者資格喪失届」(保険の対象でなくなったことを知らせる届出)を出します。期限は、離職した日の翌日から10日以内と案内されています(ハローワーク梅田)。ただし起算日の数え方は資料によって表記が異なるため、提出前にハローワークで確認してください。
スタッフが失業給付(仕事を失ったときの手当)を受けるには、離職票が必要になります。離職票が必要なときは、次の書類を用意します(ハローワーク梅田の案内)。
- ☐ 資格喪失届
- ☐ 労働者名簿
- ☐ 離職証明書
- ☐ 離職前2年間の賃金台帳
- ☐ 離職前2年間のタイムカードまたは出勤簿
- ☐ 離職理由を確認できる書類(退職願、雇用契約書、就業規則など)
私は、賃金台帳やタイムカードの2年分を、閉店日が決まる前から揃え始めるほうがよいと考えています。閉店の直前は、片づけと工事の打ち合わせで手が回らなくなりやすいからです。
離職理由の欄は、実際の事情のとおりに書きます。ハローワークの案内では、事業所の廃止(事業活動を止めて再開の見込みがない場合を含む)で離職した人は、特定受給資格者(倒産や解雇などで離職した人)の範囲に入るとされています。どの区分になるかは、ハローワークが確認します。
④ 店そのものを廃止する手続き
スタッフの手続きが終わったら、店(事業所)を廃止する手続きに進みます。期限は手続きごとに違います。
| 手続き | 出す先 | 期限 |
|---|---|---|
| 雇用保険 資格喪失届(離職の届) | ハローワーク | 離職した日の翌日から10日以内 |
| 雇用保険適用事業所廃止届 | ハローワーク | 廃止の日の翌日から10日以内 |
| 労働保険の確定保険料の申告・納付 | 労働基準監督署・労働局・日本銀行など | 保険関係が消滅した日から50日以内 |
| 社会保険 適用事業所全喪届 | 日本年金機構(年金事務所) | 事実発生から5日以内 |
社会保険の全喪届は、期限が最も短い
期限は5日です。添付書類は、原則として「解散登記のある法人登記簿謄本のコピー」か「雇用保険適用事業所廃止届(事業主控)のコピー」のどちらかです(日本年金機構)。
法人の場合は法人飲食店の「解散・清算」完全ガイド|流れと費用、個人事業主の場合は飲食店の廃業、個人事業主が出す「3つの届出書」とはもあわせて確認しましょう。
提出先や期限は、事業所の状況によって変わることがあります。出す前に、ハローワークと年金事務所へ電話で確認してください。社会保険労務士(社労士)に手続きを頼んでいる場合は、先に社労士へ連絡しましょう。閉店の手続きが契約に含まれているかも、あわせて確認すると安心です。
出し忘れを防ぐチェックリスト
- ☐ 貸主への解約予告期間を契約書で確認した
- ☐ 閉店日(最終営業日)を決めた
- ☐ スタッフの雇用保険・社会保険の加入状況を確認した
- ☐ スタッフへ説明し、離職票を希望するか確認した
- ☐ 賃金台帳・タイムカード(2年分)を揃えた
- ☐ 資格喪失届・離職証明書を作った
- ☐ 事業所廃止の手続きの期限(10日・50日・5日)を手帳に書いた
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よくある質問
Q. 閉店したら、スタッフの離職票はいつまでに出せばいいですか?
A. 雇用保険の資格喪失届は、離職した日の翌日から10日以内と案内されています。離職票が必要なときは離職証明書も一緒に出します。
Q. 店を閉めたあとも、労働保険の手続きは残りますか?
A. 残ります。確定保険料の申告・納付は、保険関係が消滅した日から50日以内です。閉店後すぐに期限が来るため、早めに準備しましょう。
Q. 社会保険の全喪届は、どこに出せばいいですか?
A. 日本年金機構の事務センターか、管轄の年金事務所です。事実発生から5日以内に出します。電子申請・郵送・窓口持参から選べます。
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