
「閉店した年の確定申告」個人事業主の4ステップ
個人事業主の飲食店は、お店を閉めた年も、原則として翌年3月15日までに所得税の確定申告が必要です。「もう店もないのに、何から手をつければいいのか分からない」という方に向けて、やることを4つの順番に整理しました。
※この記事は、個人事業主の飲食店を対象にしています。法人の場合は、解散・清算という別の手続きになります(法人飲食店の「解散・清算」完全ガイド|流れと費用)。
届出を出す
1年分の帳簿を締める
閉店ならではの項目を拾う
期限までに申告・納付
① まず、税務署への届出を出す
閉店した年の申告の前に、届出が必要です。基本は次の3つです。
- 個人事業の開廃業等届出書(事業をやめたことを知らせる書類)
- 所得税の青色申告の取りやめ届出書(青色申告をやめる書類)。提出先は税務署で、期限は取りやめる年分の確定申告期限までです(No.2070 青色申告制度|国税庁)
- 消費税の事業廃止届出書(消費税の課税事業者だった場合)。事由が生じたら速やかに出します(No.6603 事業を廃止した場合の消費税の取扱い|国税庁)
くわしい書き方は、飲食店の廃業、個人事業主が出す「3つの届出書」とはにまとめています。
② 1月1日から閉店日までの収入と経費をまとめる
申告するのは、1月1日から閉店した日までの「売上から経費を引いた利益」(事業所得)です。売上帳、仕入れの領収書、家賃、人件費などを、閉店日までの分で締めます。
閉店の年は、片付けや処分の費用がかさんで赤字になりやすい年です。赤字は、同じ年にアルバイトや給与などの収入があれば、合算して差し引けることがあります。青色申告で赤字が残る場合は、翌年以後3年間の繰越しができます(No.2070 青色申告制度|国税庁)。ただし、廃業後にその繰越しを使えるかは別の確認が必要なので、税務署や税理士に相談してください。
③ 閉店ならではの項目を拾う
ここが、ふつうの年と違うところです。
- 事業用の設備や車の扱い:消費税の課税事業者だった場合、閉店で事業用ではなくなった資産は、「自分のために使った」とみなされ、時価で売ったものとして課税対象になることがあります。未償却残高(まだ経費にしていない残り)が時価の目安になることがあります。
- 閉店後に払う費用:廃業後に支払う費用で、廃業しなければ必要経費になったはずのものは、廃業した年分の経費にできる場合があります(所得税法63条)。ただし、廃業の直前に金額が確定していたかが判断の軸です(所得税基本通達 第6款 事業を廃止した場合等の所得計算の特例|国税庁)。
- 設備の廃棄や在庫の処分:税金の扱いは「閉店の税務」除却損と在庫処分・消費税の注意点で解説しています。
チェックリスト:申告の前にそろえるもの
- ☐ 1月1日から閉店日までの売上・経費の帳簿
- ☐ 家賃・光熱費・仕入れの領収書
- ☐ 廃棄・売却した設備の一覧(購入時期と金額)
- ☐ 3つの届出書の控え
- ☐ 閉店後に支払う予定の費用の見積書・請求書
④ 期限までに申告・納付する
- 所得税:原則として翌年2月16日から3月15日までに申告・納付します(No.2020 確定申告|国税庁)。
- 消費税:課税事業者だった場合は、廃止日を含む課税期間の申告が必要です。個人事業者の令和8年分の期限は、令和9年3月31日です(個人事業者の消費税・地方消費税の確定申告と納税は正しくお早めに|国税庁)。
「閉店したあとは、申告まで手が回らない」という声もあります。閉店前から、領収書を月ごとにまとめておくと、申告がぐっと楽になります。
よくある質問
Q. 閉店して収入がゼロでも、確定申告は必要ですか?
A. 1月から閉店日までに、事業の売上もほかの所得もなく、申告が必要な所得が出ない場合は、原則として申告は不要です。一方、売上があって利益が出た年は申告が必要です。また、青色申告で赤字が出て、翌年以後への繰越しを使いたい場合は、赤字でも申告が必要です。迷うときは、税務署や税理士に確認してください。
Q. 「廃業届を出し忘れたまま」年が明けてしまいました。どうすればいいですか?
A. 気づいた時点で、早めに税務署へ相談して届出を出してください。届出の期限は書類ごとに違うので、控えと帳簿を持参すると話が早いです。
Q. 閉店後に払う家賃や原状回復の費用は、経費にできますか?
A. 条件を満たせば、廃業した年分の経費にできる場合があります(所得税法63条)。どの費用が対象かは個別の判断になるため、税務署や税理士に確認してください。
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※税務の扱いは個別の事情で変わります。最終的な判断は、所轄の税務署や税理士にご確認ください。
