
「閉店後の店主の保険・年金」個人店と法人の違い
閉店したら、店主本人の健康保険と年金はどうなる?
「店は閉めたのに、保険料の通知だけは届く。このまま払い続けられるのか不安」。そう感じる店主さんは少なくありません。結論から言うと、個人の店で国民健康保険と国民年金に入っている店主さんは、閉店しても保険の種類は変わりません。会社の社会保険に入っていた法人の店主さんは、14日や20日という期限つきの切り替えが必要です。どちらも、収入が減ったときは保険料を軽くする制度があります。
まず確認:閉店日を先に決める
最初に、貸主(大家さん)への解約予告期間を確認して、閉店日(最終営業日)を決めます。閉店日が決まらないと、自分が保険をやめる日も決まらないからです(飲食店の「解約予告期間」トラブルと対処法)。
閉店日・引き渡し日を決めるときの案内
大安・一粒万倍日・天赦日などは、月別カレンダーで確認できます。
※縁起は気持ちの問題です。日程は、解約予告期間・家賃の発生日・原状回復の工期を優先して決めてください。
閉店日を決める
自分の保険の種類を確認
法人は全喪届
(5日以内)
保険・年金を切り替え
(14日・20日)
減免・猶予を申請
② 個人の店と法人の店で、手続きが違う
厚生労働省の案内では、飲食サービス業の個人事業所は、社会保険(健康保険と厚生年金)の強制加入の対象外です。従業員の半数以上の同意を得て、任意で加入している店もあります(出典:個人事業所で働く方への社会保険の適用について|厚生労働省)。多くの個人店では、店主さんも国民健康保険と国民年金(第1号)に入っています。法人の店は、会社の社会保険に入っているかどうかを、給与明細や保険証で確認します。
| 項目 | 個人の店(国保・国民年金) | 法人の店(会社の社会保険に加入) |
|---|---|---|
| 健康保険 | 国民健康保険のまま。切り替えは不要 | 国民健康保険(14日以内)、任意継続(20日以内)、家族の扶養から選ぶ |
| 年金 | 国民年金のまま | 厚生年金から国民年金へ。退職日の翌日から14日以内 |
| 会社側の届出 | なし(廃業の届出は別。飲食店の廃業、個人事業主が出す「3つの届出書」とは) | 適用事業所全喪届(事実発生から5日以内) |
| 収入が減ったとき | 保険料の減免、年金の免除・猶予が使える | 切り替えた後に、同じ制度が使える |
③④ 法人の店主が、閉店で切り替えるもの
会社が社会保険に入れなくなる(事業をやめる)ときは、事業主が「適用事業所全喪届」を、事実が発生してから5日以内に年金事務所へ出します。解散登記の入った登記簿謄本のコピーか、雇用保険の廃止届の控えのコピーなどを添付します(出典:適用事業所に該当しなくなったとき|日本年金機構)。会社そのものをどう畳むかは法人飲食店の「解散・清算」完全ガイドにまとめています。
そのあと、店主さん本人の健康保険は次の3つから選びます。
- 国民健康保険:大阪市では14日以内に、区役所の保険年金業務担当へ届け出ます。資格喪失証明書か、マイナポータルの画面が要ります(出典:就職・退職に伴う国民健康保険の手続き|大阪市)。
- 任意継続:退職日の翌日から20日以内に協会けんぽへ申請します。保険料は退職前の約2倍(上限あり)で、加入できるのは2年間です(出典:任意継続|協会けんぽ)。
- 家族の扶養:配偶者などの勤務先の保険に入れる場合があります。条件は加入先に確認します。
年金は、退職日の翌日から14日以内に、住所地の市区役所で国民年金の手続きをします(出典:国民年金に加入するための手続き|日本年金機構)。配偶者があなたの扶養に入っていた場合、配偶者も国民年金の手続きが必要になります(出典:会社を退職したときの国民年金の手続き|日本年金機構)。
⑤ 閉店で収入が減ったら、「減免」と「猶予」がある
国民健康保険料は、大阪市に「所得減少減免」があります。廃業などで世帯の見込み所得が前年の70%以下に減ったときが対象です。減免されるのは所得割の部分で、減免率は所得の減り方で変わります。申請した月以降の保険料が対象で、廃業届出書などの書類が要ります(出典:所得減少減免(国民健康保険料)|大阪市)。保険料が上限額に達している世帯では、減免額が出ないこともあります。年度や条件が変わることがあるため、区役所で最新の案内を確認してください。
国民年金は、事業の廃止(廃業)の届出をしている人が、前年の所得にかかわらず免除・納付猶予を申請できる特例があります。納付猶予は50歳未満が対象で、承認された期間の保険料は10年以内なら後から納める「追納」ができます。特例の承認は翌年度も申請が必要です(出典:国民年金保険料の免除・納付猶予制度|日本年金機構)。
払えないまま放置しない
保険料の通知が届いても、払えないからと何もしないのが一番危険です。まず区役所の窓口で、減免や猶予が使えるか相談します。
閉店前のチェックリスト
- ☐ 貸主への解約予告期間を確認し、閉店日を決めた
- ☐ 自分が国民健康保険か、会社の社会保険かを確認した
- ☐ (法人)全喪届の提出日を決めた(事実発生から5日以内)
- ☐ (法人)国民健康保険14日・任意継続20日・扶養のどれにするか決めた
- ☐ 国民年金の手続き日を決めた(退職日の翌日から14日以内)
- ☐ 閉店後の収入の見込みを出し、減免・猶予の申請書類を調べた
- ☐ 個人の店は、確定申告の準備を始めた(「閉店した年の確定申告」個人事業主の4ステップ)
閉店のあとの進路は、「閉店のあと」再出店・転業・就職の3つの道も参考になります。
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TEL:06-6195-8209
よくある質問
Q. 店を閉めたら、自分の保険証は使えなくなるの?
A. 個人で国民健康保険に入っていれば、そのまま使えます。会社の健康保険に入っていた法人の店主さんは、資格をなくした日から使えないので、14日・20日の期限内に切り替えます。
Q. 閉店して収入がないのに、国民健康保険料の通知が届きました。どうすれば?
A. 大阪市では、見込み所得が前年の70%以下に減ったとき、所得減少減免を申請できます。廃業届出書などを持って、区役所の保険年金業務担当へ行きます。
Q. 国民年金を払えないときは、そのままにしていい?
A. 放置せず、免除・納付猶予を申請します。事業の廃止の届出をしていれば、前年の所得にかかわらず申請できる特例があります。
