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「閉店しても借入は残る?」連帯保証人の扱い

閉店

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

まず知っておきたい:閉店で消えるもの、消えないもの

「もう店を閉めたい。でも借金が残ったらどうしよう」。そう思って、夜になると手が止まる店主さんは少なくありません。結論から言うと、店を閉めても借入の返済義務は自動では消えません。ただし、閉店を決める前に金融機関へ相談すると、保証人の負担を軽くできる道が残っている場合があります。

店の営業をやめても、契約が自動で終わるわけではありません。「営業をやめること」と「契約を終えること」は別の話です。たとえば、次のようなものが閉店後も残りえます。

お金の種類 閉店後の扱い 最初に見るもの
銀行・公庫などの借入 返済は続く。法人が借り主でも、社長が個人で保証していれば、社長個人の返済義務が残る場合がある 借入契約書、保証契約書
店舗の賃貸借の連帯保証人 解約が終わるまで、家賃や原状回復費用の責任が続く 賃貸借契約書、保証契約書
厨房機器などのリース 中途解約できないものが多く、残りの支払いが残る リース契約書

リースの違約金の考え方は「厨房機器のリース解約」違約金交渉のコツと注意点にまとめています。

①
閉店日を決める
→
②
借入と保証人を一覧にする
→
③
金融機関に閉店前に相談
→
④
保証人と貸主に伝える

① 閉店日を決める(貸主への解約予告期間が先)

最初にすることは、貸主(大家さん)への解約予告期間の確認です。閉店日が決まらないと、返済の見通しも立てられないからです。確認の仕方は飲食店の「解約予告期間」トラブルと対処法をご覧ください。

閉店日・引き渡し日を決めるときの案内

大安・一粒万倍日・天赦日などは、月別カレンダーで確認できます。

▶ 縁起のいい日カレンダー(月別)

※縁起は気持ちの問題です。日程は、解約予告期間・家賃の発生日・原状回復の工期を優先して決めてください。

② 借入と保証人を「1枚の紙」に書き出す

次に、借入を全部書き出します。借り入れた先、残高、毎月の返済額、保証人がいるか、誰が保証しているか。この4つを1枚にまとめます。頭の中だけで整理すると、「どこにいくら残っているか」が分からないまま話が進んでしまうからです。

特に確認したいのは、借り主が法人か個人か、社長個人が保証人になっているかです。会社をたたんでも、保証人としての個人の責任が残る場合があります。法人をたたむ流れは法人飲食店の「解散・清算」完全ガイド|流れと費用で整理しています。

  • ☐ 借入先(銀行・公庫・信用金庫など)と残高を書き出した
  • ☐ 毎月の返済額と、返済が終わる時期を確認した
  • ☐ 保証人(社長個人・家族・知人)の名前を確認した
  • ☐ 店舗の賃貸借契約の連帯保証人を確認した
  • ☐ リース契約の残りの支払い額を確認した

③ 金融機関には「解約通知の前」に相談する

返済が心配なときは、閉店を貸主に通知する前に、借入先へ相談します。金融庁と中小企業庁などが取りまとめた「廃業時における『経営者保証に関するガイドライン』の基本的考え方」には、会社をたたむときに、保証人が破産を避けながら保証債務を整理する道があることが示されています。2023年11月の改定では、廃業の手続きに早く着手することが、保証人の手元に残る資産を増やす可能性があると明確にされました(出典:廃業時における「経営者保証に関するガイドライン」の基本的考え方の改定|金融庁)。

つまり、お金が尽きてから動くより、まだ余力があるうちに相談したほうが、選べる道が広がります。ただし、このガイドラインが使えるかどうかは、個別の事情と金融機関の判断で変わります。使える条件は案件ごとに確認が必要です。経営者保証については、金融庁が相談の入口として「経営者保証ホットライン」を案内しています(出典:金融庁・中小企業庁の経営者向けパンフレット|金融庁)。

返済の見通しを立てるときは、「あと何か月で手元資金が尽きるか」を日付で出しておくと相談が進みます。数字の出し方は飲食店の「撤退ライン」の決め方!3つの数字で判断で紹介しています。

④ 保証人と貸主に、順番を守って伝える

家族や知人に保証人になってもらっている場合は、閉店が決まる前に事情を伝えます。後から別ルートで知ると、信頼関係が壊れやすいからです。

店舗の賃貸借の保証人が個人の場合、民法465条の2により、保証する金額の上限(極度額)を契約で定めていないと、その保証は効力を生じません(出典:民法|e-Gov法令検索)。この規定は2020年4月1日に施行されました。それより前に結んだ契約は扱いが異なる場合があるため、まず契約書を確認し、不明なときは専門家に聞いてください。

居抜きで店を譲れると、原状回復の費用が減り、返済に回せるお金を残しやすくなります。ただし、貸主の承諾が出ないなど、話が白紙になる可能性もあります。譲渡と返済を並べて考えておくことが閉店準備の要です。

テナント探し・戦略的な閉店のご相談はこちら

大阪で新しい出店先をお探しの飲食店様、計画的な移転・閉店・居抜き売却をご検討中の飲食店様、どちらのご相談も株式会社不動産スペースへお気軽にお問い合わせください。居抜き譲渡で原状回復の負担を減らす方法も、一緒に整理します。

TEL:06-6195-8209

お問い合わせフォームはこちら

よくある質問

Q. 店を閉めたら、借金はチャラになるの?
A. なりません。借入の返済義務は、閉店だけでは消えません。保証人がいれば、その人にも責任が残る場合があります。

Q. 法人をたたんだら、社長個人の保証も消えますか?
A. 自動では消えません。保証契約は別の契約です。ガイドラインに沿った整理ができる場合もあるため、金融機関に早めにご相談ください。

Q. 借金の相談は、閉店を決めてからのほうがいいですか?
A. 決める前をおすすめします。金融庁は、廃業手続きの早期着手が保証人の残る資産を増やす可能性を示しています。

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