
解雇でない閉店時の退職「最終給与・源泉徴収票・住民税」
最終給与・源泉徴収票・住民税は「3つの期限」で動く
「店を閉めるのは決めたけど、スタッフへの最後の給料や書類、何をいつまでに渡せばいいのか分からない」。そんな不安を持つ店主さんは少なくありません。結論から言うと、最後の給与と書類は3つの期限で動きます。退職したスタッフから請求があれば7日以内に未払いの賃金を返すこと、源泉徴収票は退職の日以後1か月以内に渡すこと、そして大阪市では住民税の届出を退職した月の翌月10日までに出すことです。
この記事は、スタッフを解雇するのではなく、閉店にあわせて通常どおり退職してもらう場合の手続きを扱います。解雇として扱う場合の予告手当は、後ほど紹介する別の記事を参照してください。
| 手続き | 期限の目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 未払い賃金など、スタッフの金品の返還 | 退職者から請求があった日から7日以内 | 労働基準法23条(茨城労働局の解説) |
| 源泉徴収票(所得税の書類)の交付 | 年の途中で退職した人は、退職の日以後1か月以内 | 国税庁 No.7411 |
| 住民税の「給与所得者異動届出書」(大阪市) | 退職した月の翌月10日まで | 大阪市の案内ページ |
解約予告期間を確認
最終給与のお金を確保
源泉徴収票を渡す
住民税の届出を出す
① まず、貸主への解約予告期間を確認する
スタッフの話より先に、貸主(大家さん)への解約予告期間を確認します(くわしくは飲食店の「解約予告期間」トラブルと対処法)。この期間で閉店日が決まると、最後の給与日も、書類の期限も、そこから逆算できます。
閉店日・引き渡し日を決めるときの案内
大安・一粒万倍日・天赦日などは、月別カレンダーで確認できます。
※縁起は気持ちの問題です。日程は、解約予告期間・家賃の発生日・原状回復の工期を優先して決めてください。
② 最終給与は「払えるお金」を先に確保する
労働基準法23条では、退職した人から請求があれば、7日以内に未払いの賃金やその人の権利に属する金品を返すことになっています(出典:労働基準法のあらまし(解雇制限、退職時の証明)|茨城労働局)。閉店の前後は、原状回復や清掃などで出費が重なります。最終給与は後回しにできないお金なので、閉店にかかるお金の計画の中で、先に取り分けておきます。
あわせて、退職した人が証明書を求めたときは、使った期間・仕事の種類・賃金・退職の理由などを書いた退職証明書を遅れずに渡す決まりがあります(同上・労基法22条)。雇用保険の離職票は飲食店の閉店「離職票」と雇用保険の手続き・期限、解雇として扱う場合の予告手当は飲食店の閉店「解雇予告手当」と退職金の考え方にまとめています。
③ 源泉徴収票は、最終給与が確定してから退職後1か月以内に
源泉徴収票は、その年に会社が払った給与と、天引きした所得税を書いた書類です。国税庁によると、すべての受給者に、翌年の1月31日まで(年の途中で退職した人は退職の日以後1か月以内)に交付する必要があります(出典:No.7411「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等|国税庁)。アルバイトやパートも対象です。最終給与の金額が決まってから作るため、最後の給与日と一緒に、渡す日を決めておきます。
④ 住民税は「異動届」を出す。残りの税金の扱いは退職月で変わる
住民税には、会社が給与から天引きして納める「特別徴収」があります。スタッフが辞めると、天引きができなくなるので、市区町村へ「給与所得者異動届出書」を出します。大阪市では、異動のあった月の翌月10日までに提出します。たとえば11月30日に退職なら、12月10日までです。届出が遅れると、納税通知書の送付が遅れ、本人がまとめて多額を払うことになる場合があります(出典:大阪市:退職・転勤などがあった場合(給与所得者異動届出書の提出)|大阪市)。
まだ天引きしていない残りの税額は、大阪市の案内では次のとおりです。
- 6月1日〜12月31日の退職:本人の申出があれば、残りを最後の給与などからまとめて引く「一括徴収」。申出がなければ、本人が自分で払う「普通徴収」に切り替わります。
- 1月1日〜4月30日の退職:本人の申出に関係なく一括徴収が原則です(地方税法321条の5第2項)。
- 5月の退職:案内ページの本文に個別の記載がないため、市へ直接確認してください。
手取りが減ることを先に伝える
一括徴収になると、最後の給与から残りの住民税がまとめて引かれ、手取りが減ります。スタッフが驚かないよう、事前に伝えておきます。住んでいる市区町村によって窓口や扱いが違う場合があるので、大阪市外に住むスタッフの分は、その市区町村に確認してください。
閉店前のチェックリスト
- ☐ 貸主への解約予告期間を確認し、閉店日を決めた
- ☐ 最終給与の支払日と、支払うお金の取り分けを決めた
- ☐ スタッフに、最終給与日と住民税の扱いを伝えた
- ☐ 退職証明書や離職票の希望を聞いた
- ☐ 源泉徴収票を渡す日を決めた(退職の日以後1か月以内)
- ☐ 住民税の異動届出書の提出日を決めた(退職月の翌月10日まで)
- ☐ 自分の確定申告の準備も始めた(「閉店した年の確定申告」個人事業主の4ステップ)
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TEL:06-6195-8209
よくある質問
Q. 閉店でお金がない…最後の給料はいつまでに払えばいいの?
A. 退職者から請求があれば、7日以内に未払いの賃金を返すのが原則です。払えるか不安なときは、早めに労働基準監督署や専門家へ相談してください。
Q. 源泉徴収票は、アルバイトにも渡すの?
A. はい。国税庁は、すべての受給者に交付するとしています。年の途中で退職した人は、退職の日以後1か月以内です。
Q. 住民税の異動届を出し忘れたらどうなる?
A. 大阪市では、納税通知書の送付が遅れ、本人がまとめて払うことになる場合があるとされています。退職月の翌月10日までに出しましょう。
