
居酒屋の閉店に多い5つの理由|「潰れる前に」できること
居酒屋の閉店に多い5つの理由と、閉める前にできること
居酒屋の閉店は、①お酒が出なくなった ②人が足りない ③上がった原価を値段に乗せられていない ④深夜の人件費が重い ⑤宴会(大人数の予約)が戻らない――この5つのどれかに行き着きます。「潰れる前に、まだ何か手はないのか」と感じたら、気持ちで決める前に数字で確かめてください。そのうえで閉めると決めたなら、解約を伝える前に動くことで、手元に残るお金が大きく変わります。
居酒屋の閉店に多い5つの理由
東京商工リサーチの集計では、2026年上半期(1〜6月)に倒産した居酒屋は118件で、そのうち105件(88.9%)は原因が「売上不振」でした(2026年7月11日公表)。つまり、大きな事故が起きて店が終わるのではなく、「じわじわ売れなくなる」のが一番多い形です。中身を分けると、だいたい次の5つになります。
- ① お酒が出なくなった
国税庁の「酒のしおり」(令和8年7月)によると、令和6年度のお酒の販売(消費)量は773万kL台で、10年前(平成26年度)と比べて約7%減っています。居酒屋はドリンクの利益率が高い業態です。だから1人あたりの杯数が減ると、お客様の数が同じでも利益だけが先に減っていきます。 - ② 人が足りない
夜に働ける人は集まりにくく、時給を上げざるを得ません。人が足りないので席を絞る。すると売上が下がる。この連鎖が一番こわいところです。 - ③ 上がった原価を値段に乗せられていない
食材も電気・ガスも上がりました。でも「お客様が離れるかも」と思って、値段を据え置いたお店が少なくありません。原価だけが上がった状態が続くと、どれだけ忙しくても手元にお金が残りません。 - ④ 深夜の人件費が重い
労働基準法では、午後10時から午前5時までに働いてもらった時間について、1時間あたりの賃金を25%以上増やして払うことが決められています(深夜割増賃金といいます。要は「夜遅い時間は時給が割増になる」ということです)。深夜1時まで営業しているお店なら、3時間分がずっと割増です。この時間帯の売上が割増込みの人件費を下回っていれば、開けているほど赤字が増えます。 - ⑤ 宴会が戻らない
10人、20人の予約でもっていたお店は、客単価も回転も読みやすい反面、その需要が減ると代わりが見つかりにくいです。4人以下のお客様中心の造りに変えられるかが分かれ目になります。
閉店を考える前に、この3つの数字を見る
感覚ではなく、下の3つを1か月分だけ出してみてください。いずれも業界で一般に言われている目安です。
| 見る数字 | 一般的な目安 | 目安を外れたときに考えること |
|---|---|---|
| FL比率 (食材費+人件費÷売上) |
60%前後まで | 値付け、仕込みのロス、シフトの組み方 |
| ドリンク比率 (ドリンク売上÷総売上) |
30〜40% | 飲み放題の設計、1杯目の出し方 |
| 22時以降の1時間あたり売上 | 割増込みの人件費を上回るか | 閉店時間を1〜2時間前に倒す |
3つのうち2つが外れていて、半年以上戻っていないなら、続けるか閉めるかを数字で線引きする段階です。どこで撤退と決めるかは、「撤退ライン」の決め方|閉店は3つの数字で判断で詳しく整理しています。
「もう限界かもしれない」と思ったときの進め方
順番を間違えると、本来もらえたはずのお金が消えます。
数字で確認
解約予告期間の確認
居抜き譲渡の相談
貸主・管理会社とすり合わせ
解約通知を出す
スタッフ・取引先へ
お客様・SNSへ告知
大事なのは③と④が⑤より前にあることです。解約通知(やめますという正式な連絡)を出してしまうと、貸主は次の借り手を自分で探し始めます。そうなると居抜き(内装や厨房を残したまま次の人に引き継ぐこと)で売る交渉がしにくくなります。伝える順番については、「閉店告知の順番」スタッフと大家さんどちらが先?もあわせてご覧ください。
居酒屋は居抜きで引き継がれやすい業態です
居酒屋は、カウンター・個室・大型の冷蔵庫・換気設備がそろっています。次に入る人が和食でも焼鳥でもバーでも使い回せるため、買い手が見つかりやすい部類です。原状回復(内装をはがして元の状態に戻す工事)に数百万円かかるはずだったものが、逆に譲渡代金として入ってくることもあります。
動く前に、手元の書類を確認してください。
- ☐ 賃貸借契約書(解約予告期間・造作譲渡の可否・転貸の制限)
- ☐ 直近1年分の月次売上とFL比率がわかる資料
- ☐ 厨房機器のリース契約書(残回数と中途解約の条件)
- ☐ 設備の保証書・図面(買い手への説明材料になります)
- ☐ 保証金・敷金の金額と償却の条件
テナント探し・戦略的な閉店のご相談はこちら
株式会社不動産スペース(店舗市場)は、大阪で飲食店の出店物件探しと、居抜き譲渡・移転・閉店のご相談を両方お受けしています。「まだ閉めるとは決めていないが、相場だけ知りたい」という段階でも構いません。
お電話:06-6195-8209
よくある質問
Q. このまま続けていいのか分からないのですが、何から見ればいいですか。
A. FL比率、ドリンク比率、22時以降の1時間あたり売上の3つです。2つが目安を外れ、半年戻っていなければ線引きの段階です。
Q. 居酒屋は居抜きで売れますか。
A. 厨房や個室が転用しやすいため買い手は見つかりやすい部類です。ただし解約通知を出す前に相談するのが前提になります。
Q. 深夜営業をやめるだけでも効果はありますか。
A. 深夜は時給が25%以上の割増になります。その時間の売上が割増込みの人件費を下回っていれば、閉店時間を前に倒すだけで収支は改善します。
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