
「数次相続」で空き家の共有者が増える前に知るべきこと
「実家の名義、実はおじいちゃんのままだった」——空き家の相談でとても多いのが、このパターンです。遺産分割をしないまま何年も放置すると、相続人がどんどん増えて収拾がつかなくなる「数次相続」に発展し、空き家の共有名義は最終的に身動きが取れなくなる危険があります。
数次相続とは?共有者がねずみ算式に増える仕組み
数次相続とは、最初の相続(一次相続)の遺産分割が終わらないうちに、相続人の一人がさらに亡くなり、二次・三次と相続が続けて発生することです。
たとえば、父が亡くなり実家を子ども3人(兄・姉・妹)で共有名義にしたまま何年も放置していたとします。その間に兄が亡くなると、兄の持分は兄の配偶者と子どもに引き継がれます。もともと3人だった共有者が、気づけば5人、7人と増えていく——これが「ねずみ算式に増える」と言われる理由です。
一次相続発生(父)
遺産分割をせず放置
相続人の一人(兄)が死亡
兄の相続人が共有者に加わる
共有者・連絡先が増え続ける
共有名義の空き家、何が「危険」なのか
空き家が共有名義のままだと、次のような制約があります。
- 売却や解体、大規模リフォームなどの「変更行為」は、共有者全員の同意が必要
- 賃貸に出すなどの「管理行為」は、持分の過半数の同意が必要(民法252条)
- 共有者の一人でも連絡が取れない・行方不明だと、同意を取り付けること自体が困難になる
「話し合いたくても、誰が相続人か分からない」「遠い親戚に連絡すら取れない」——数次相続が進んだ空き家では、こうした事態が現実に起こります。2023年(令和5年)4月施行の民法改正により、所在が分からない共有者がいる場合は裁判所の関与を得て残りの共有者だけで手続きを進める制度が新設されましたが、これも裁判所への申立てという手間と時間がかかる点は変わりません(法務省の案内による)。
「10年ルール」にも要注意
同じ民法改正で、相続開始から10年が経過した後に遺産分割をする場合、原則として特別受益や寄与分を主張できなくなるルールも定められました(家庭裁判所への請求などの例外あり)。数次相続で共有者が増えるほど全員の合意形成は難しくなるため、「まだ大丈夫」と先延ばしにするほど不利になっていく点は押さえておきたいところです。
- ☐ 空き家の名義は誰になっているか(父の代?祖父の代?)を確認したか
- ☐ 共有者になり得る親族全員の連絡先を把握しているか
- ☐ 共有者の中に音信不通・海外在住の人がいないか
- ☐ 相続登記を済ませているか
- ☐ 遺産分割協議を早めに済ませる見通しが立っているか
数次相続が疑われる空き家は、放っておくほど共有者が増え、解決の難易度も上がります。相続登記の必要書類は?戸籍謄本の集め方と過料10万円を確認し、遺産分割協議はいつまで?進め方と「もめないコツ」を早めに始めることが、最も確実な対策です。
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よくある質問
Q1. 共有名義のままだと、具体的にどんな時に困りますか?
A1. 売却・解体には共有者全員の同意が必要なため、一人でも反対や連絡不通の人がいると手続きが進められなくなります。
Q2. うちの実家、数次相続が起きているかどうかはどう調べればいいですか?
A2. 法務局で登記事項証明書を取得し、名義人が誰になっているかを確認するのが第一歩です。祖父母や曾祖父母の名義のままになっているケースもあります。
Q3. 共有者の一人が認知症などで判断能力がない場合はどうなりますか?
A3. その方の同意が必要な手続きが進められなくなるおそれがあります。成年後見制度の利用など、専門家への早めの相談をおすすめします。
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