
空き家の固定資産税が6倍に?「住宅用地特例」除外の仕組み
実家の空き家について、去年より固定資産税の通知書の金額がずいぶん違う……そんな驚きの声をよく聞きます。結論から言うと、空き家を放置して「特定空家」や「管理不全空家」に指定され、自治体から勧告を受けると、土地の固定資産税を安くしている「住宅用地特例」が外れて、税額が大きく上がることがあります。この記事を読めば、なぜ急に税額が上がるのか、その仕組みと防ぐためのポイントが分かります。
住宅用地特例とは?普段はなぜ税金が安いのか
家が建っている土地には「住宅用地特例」という軽減措置があり、固定資産税の計算のもとになる金額(課税標準額)が次のように減額されています(総務省の資料による)。
| 区分 | 面積 | 課税標準額の軽減 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 200㎡以下の部分 | 価格の1/6 |
| 一般住宅用地 | 200㎡を超える部分 | 価格の1/3 |
家が建っているだけで、更地に比べて税額がかなり抑えられている、というイメージです。空き家であっても、家屋が建っている限りは基本的にこの特例が適用されます。
なぜ特例が外れるのか?「特定空家」「管理不全空家」の勧告
ところが、空き家を放置して自治体から次のいずれかに指定され、「勧告」を受けると、この特例の対象から除外されます(国土交通省の資料による)。
- 特定空家等:倒壊の危険がある、衛生上有害、著しく景観を損なっているなど、放置することが不適切な状態の空き家
- 管理不全空家等:今はそこまでではないが、このまま放置すれば特定空家等になるおそれがある空き家(2023年12月13日施行の改正空家法で新設された区分)
自治体の対応は、以前お伝えした「「空家法」とは?放置するとどうなるかを解説」でも触れたとおり、次のような段階を踏んで進みます。
指導
勧告
命令
行政代執行
このうち「②勧告」を受けた時点で、その敷地は住宅用地特例の対象から外れます。国土交通省の資料によると、平成27年5月から令和5年3月までの累計で、勧告は3,078件(417市区町村)にのぼります。
実際どのくらい税額が上がるのか
特例が外れると、200㎡以下の部分は課税標準額が「価格の1/6」から「価格そのもの」に、200㎡を超える部分は「1/3」から「価格そのもの」に戻ります。単純計算では、小規模住宅用地の部分でおよそ6倍、一般住宅用地の部分でおよそ3倍に税額が上がる可能性があるということです。適用が外れるタイミングは、勧告を受けた翌年の1月1日時点とされています。
特例除外を防ぐためのチェックリスト
- ☐ 建物の傾き・屋根や外壁の破損がないか定期的に確認している
- ☐ 庭木や雑草が近隣にはみ出さないよう手入れしている
- ☐ 郵便物がたまりっぱなしになっていないか確認している
- ☐ 台風など悪天候の後に外観をチェックしている
- ☐ 遠方で管理が難しい場合、管理代行サービスの利用を検討している
- ☐ 「売る・貸す・解体する」など今後の方針を決めかねている場合は早めに専門家へ相談している
自治体からの「指導」の段階で改善が見られれば、勧告には至りません。「気づいたら特定空家に指定されていた」という事態を避けるには、早め早めの管理と、活用・処分の方針決めが何より重要です。
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よくある質問
Q1. 空き家なら誰でも固定資産税が6倍になるのですか?
A1. いいえ。自治体から「特定空家」または「管理不全空家」に指定され、「勧告」まで受けた場合に限られます。指導の段階で改善すれば特例は外れません。
Q2. うちの空き家、そろそろ危ないかも……今から何をすればいいですか?
A2. まずは建物の状態を確認し、必要な修繕や清掃を行いましょう。今後の活用・売却・解体の方針が決まらない場合は、早めに不動産会社や自治体の窓口に相談することをおすすめします。
Q3. 一度勧告を受けたら、もう特例には戻れないのですか?
A3. 改善が確認され勧告が撤回されれば、翌年度以降に特例が再適用される可能性があります。詳しくは各自治体の資産税課にご確認ください。
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