
「親の施設探しは突然」特養の待ち時間と費用の備え
親の施設探しは、ある日とつぜん始まります。特養(特別養護老人ホーム)は順番待ちがあり、費用は施設の種類で大きく変わります。しかも月額の平均には入らない「手出し」が意外に多いのです。この記事では、あわてないための流れと、費用の見方をやさしく解説します。
「介護をしていた親が倒れて入院。同時に、もう一人の親の施設も探さないといけない」。こんな話は、めずらしくありません。
特養は「すぐには入れない」ことがある
特養は、費用が比較的おさえられる公的な施設です。原則として要介護3以上の人が対象で、要介護1・2は特例入所の対象になります。
厚生労働省の調査(2025年4月1日時点)では、特養に入所を申し込んでいる要介護3以上の人は全国で20.6万人、そのうち在宅で待っている人は8.6万人でした。3年前の前回調査より約4.7万人減っています。ただし、この数字には長期間名簿にのっている人も含まれ、待ち時間は地域や施設で大きく違います。「申し込めばすぐ入れる」とは考えないほうが安全です。
まずやること5ステップ
地域包括支援センターに相談
要介護認定を確認・申請
つなぎ先を探す
特養に申込む
費用軽減制度を申請
地域包括支援センターは、介護や福祉の困りごとを無料で相談できる、市区町村の窓口です。特養に申し込んでいる間は、ショートステイ(短期入所)や民間施設を「つなぎ」に使う家庭が多くあります。
1年間の費用の目安
下の表は、民間の調査サイトの平均値をもとにした目安です。月額は施設の基本的な料金で、実際の手出しはこれに上乗せされることがあります。
| 施設の種類 | 月額の目安 | 1年間の目安 | 入居一時金 | 月額に含まれない主な費用 |
|---|---|---|---|---|
| 特養(特別養護老人ホーム) | 約8.6万円 | 約100万円 | なし | 食費・居住費込みの目安。日用品・理美容・医療費は別 |
| 住宅型有料老人ホーム | 約11万円 | 約130万円 | 平均約68万円(中央値は0円) | 介護サービスは外付け。上限超過分・おむつ代などが別 |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 約17.6万円 | 約210万円 | 約22万円 | 住宅型と同様に、介護サービスは外付けが基本 |
| 介護付き有料老人ホーム | 約23〜29万円 | 約280〜350万円 | 平均約574万円(中央値275万円) | 介護は定額。おむつ・日用品などの扱いは施設ごとに確認 |
年金がたとえば月10万円(年120万円)なら、特養の月額の目安では収まりますが、介護付き有料では年に150〜230万円ほど足りない計算です。住宅型やサ高住は、次に説明する上乗せが加わります。
月額の平均に入らない「手出し」
住宅型有料老人ホームやサ高住は、食事や掃除などの暮らしの部分と、介護サービスが別になっています。介護は自宅と同じように介護保険の在宅サービス(訪問介護など)を使い、要介護度ごとに月の上限(区分支給限度額)があります。たとえば要介護3の上限は27,048単位で、1単位を10円とすると約27万円分です。洗濯・食事・おむつ交換などを追加で頼んで上限を超えると、超えた分は全額自己負担になります。
おむつ代も施設で違います。国の通知では、特養・老健・ショートステイでは、おむつに関わる費用は保険給付に含まれ、利用者から別に集めてはいけないとされています。一方、介護付き有料老人ホームやグループホームなどでは、この限りではありません。住宅型・サ高住は、自宅と同じ扱いで実費になることが多いです。
このほか、日用品・理美容代・医療費・個別の追加サービスなども、月額とは別にかかります。特養でも、食費と居住費は介護保険の対象外で、全額自己負担(軽減制度あり)です。
費用をやわらげる制度
特養などの食費・居住費は、所得や預貯金などが一定以下なら、申請で負担が軽くなる制度があります(負担限度額認定)。ショートステイも対象です。申請しないと適用されないため、忘れずに手続きしましょう。足りない分は、貯金のほか、空いた実家の活用や売却で備える家庭もあります。ただし、親が認知症で判断力が弱いと、親名義の実家は家族でも自由に売れません。くわしくは認知症の親の実家は売れる?成年後見と2026年改正で説明しています。売却を考えるなら、空き家は「売る・貸す・解体」どれが正解?判断基準や空き家売却「仲介」と「買取」どっちが得?違いを解説が参考になります。
入居前に必ず聞くことのチェックリスト
- ☐ 介護サービスは定額か、使った分だけの外付けか(上限を超えたら全額自己負担になる仕組みか)
- ☐ おむつ代・おむつの処理費は月額に含まれるか、実費か
- ☐ 洗濯・食事・排泄介助などを追加で頼むと、いくらかかるか
- ☐ 日用品・理美容・医療費・通院の付き添い費は別か
- ☐ 要介護度が上がったとき、月額はどう変わるか
- ☐ 看取りや、入院したときの扱い(部屋代など)はどうなるか
急に必要になる前に準備するもののチェックリスト
- ☐ 介護保険証・健康保険証
- ☐ 年金額が分かる書類(年金振込通知書など)
- ☐ 預貯金の残高が分かるもの(通帳・残高証明)
- ☐ かかりつけ医・お薬手帳・診断書の有無
- ☐ 担当ケアマネジャーや相談先の連絡先
- ☐ 実家の名義が分かるもの(権利証・登記事項証明書)
親が施設に入ると実家は空き家になります。電気・ガス・水道をどうするかは「空き家の電気・ガス・水道」止める?残す?判断基準で整理しています。あわせて、実家じまいはいつから?「生前整理」やることチェックリストも、早めに読んでおくと安心です。
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よくある質問
Q1. 親の施設探しが急に始まりました。最初にどこへ相談すればいいですか?
A1. 親が住む市区町村の「地域包括支援センター」が無料の総合相談窓口です。介護認定の状況や、使えるサービスを教えてもらえます。
Q2. 特養の順番待ちの間は、どうすればいいですか?
A2. ショートステイ(短期入所)や、民間の有料老人ホームなどを「つなぎ」に使う方法があります。ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しましょう。
Q3. 月額の平均より、実際の手出しが多いのはなぜですか?
A3. 住宅型有料老人ホームなどは介護サービスに月の上限があり、超えた分は全額自己負担です。おむつ代や日用品、医療費も別にかかることがあります。
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