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認知症の親の実家は売れる?成年後見と2026年改正

相続・空家

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

親が認知症になると、親名義の実家は家族でも自由に売れなくなります。売るには家庭裁判所に成年後見人を選んでもらい、さらに居住用の家なら裁判所の許可も必要です。この記事では、その流れと、2026年6月に成立した制度改正のポイントをやさしく解説します。

「親が施設に入って実家が空き家のまま。売って介護費用にしたいけど、名義が親のままで何から手をつけていいか分からない」という声は、とても多いです。

なぜ認知症の親の家は売れないのか

不動産を売る契約は、自分の行為の意味を理解できる力(意思能力)がある人だけが結べます。意思能力がない人が結んだ契約は無効になります。家族が代わりにハンコを押しても、売買は成立しません。

そこで使うのが「成年後見制度」です。判断する力が弱くなった人のかわりに、家庭裁判所が選んだ「成年後見人」が、お金や不動産の管理をする仕組みです。

売却までの流れ

①
家庭裁判所に申立て
→
②
成年後見人が選ばれる
→
③
売却の許可を申請
→
④
許可後に売買契約
→
⑤
売却代金は本人のために管理

申立ては、本人の住所地の家庭裁判所で行います。選ばれるまでには、数か月かかることが多いため、早めの準備が大切です。

「居住用」の家は裁判所の許可が必要

成年後見人が本人の「住んでいる家」や「住む予定の家」を売るときは、家庭裁判所の許可が必要です(民法859条の3)。いまは施設に入っていて誰も住んでいない実家でも、昔の生活の本拠(ずっと暮らしていた家)であれば、居住用として扱われることがあります。許可なく売った場合、売買契約は無効になります。

許可は、売る必要があるか、本人の暮らしや意向に合っているか、売却条件が妥当か、代金がきちんと管理されるか、などを見て判断されます。

2026年の改正で何が変わる?

2026年6月17日に「民法等の一部を改正する法律」が成立し、6月24日に公布されました。成年後見制度は、後見・保佐を廃止して「補助」に一本化し、本人に必要な範囲で使えるようになります。施行は公布から2年6か月を超えない範囲で政令で定める日で、いま(2026年10月)はまだ始まっていません。

項目現行の制度改正後の方向性
類型後見・保佐・補助の3段階「補助」に一本化
支援の範囲類型ごとに広く決まる本人に必要な範囲で設定
施行時期現在の運用公布から2年6か月以内に政令で定める日

なお、「売却が終わるまでだけ使える」といった期間限定の利用が進むと紹介する解説もありますが、詳しい運用は今後の政令や裁判所の運用で決まります。いま困っている方は、現行制度で進めるのが基本です。

手続きの前に準備したいことのチェックリスト

売る以外の道も含めて考えたい方は、空き家は「売る・貸す・解体」どれが正解?判断基準も参考にしてください。売却を決めたあとの進め方は空き家売却「仲介」と「買取」どっちが得?違いを解説で説明しています。

  • ☐ 親の名義がどうなっているか、登記簿謄本(登記事項証明書)で確認した
  • ☐ 診断書など、親の判断力の状態が分かる資料を確認した
  • ☐ 売りたい理由(介護費用・維持費など)を整理した
  • ☐ きょうだいなど親族間で、売却の方針を話し合った
  • ☐ 売却以外の選択肢(貸す・解体)も比較した

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よくある質問

Q1. 親が認知症になってしまいました。子どもが代わりに実家を売れますか?

A1. 子どもでも勝手には売れません。原則として、家庭裁判所で成年後見人を選んでもらい、居住用なら売却の許可も必要です。

Q2. 親が施設に入っていて、実家はもう誰も住んでいません。それでも許可は必要?

A2. 以前の生活の本拠だった家は居住用として扱われることがあり、許可が必要な場合があります。個別の判断になるため家庭裁判所や専門家に確認しましょう。

Q3. 制度が変わるなら、待ったほうがいいですか?

A3. 改正の施行は公布から2年6か月以内の予定で、まだ始まっていません。空き家の維持費もかかるため、状況に合わせて専門家に相談しましょう。

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