
認知症の親の実家は売れる?成年後見と2026年改正
親が認知症になると、親名義の実家は家族でも自由に売れなくなります。売るには家庭裁判所に成年後見人を選んでもらい、さらに居住用の家なら裁判所の許可も必要です。この記事では、その流れと、2026年6月に成立した制度改正のポイントをやさしく解説します。
「親が施設に入って実家が空き家のまま。売って介護費用にしたいけど、名義が親のままで何から手をつけていいか分からない」という声は、とても多いです。
なぜ認知症の親の家は売れないのか
不動産を売る契約は、自分の行為の意味を理解できる力(意思能力)がある人だけが結べます。意思能力がない人が結んだ契約は無効になります。家族が代わりにハンコを押しても、売買は成立しません。
そこで使うのが「成年後見制度」です。判断する力が弱くなった人のかわりに、家庭裁判所が選んだ「成年後見人」が、お金や不動産の管理をする仕組みです。
売却までの流れ
家庭裁判所に申立て
成年後見人が選ばれる
売却の許可を申請
許可後に売買契約
売却代金は本人のために管理
申立ては、本人の住所地の家庭裁判所で行います。選ばれるまでには、数か月かかることが多いため、早めの準備が大切です。
「居住用」の家は裁判所の許可が必要
成年後見人が本人の「住んでいる家」や「住む予定の家」を売るときは、家庭裁判所の許可が必要です(民法859条の3)。いまは施設に入っていて誰も住んでいない実家でも、昔の生活の本拠(ずっと暮らしていた家)であれば、居住用として扱われることがあります。許可なく売った場合、売買契約は無効になります。
許可は、売る必要があるか、本人の暮らしや意向に合っているか、売却条件が妥当か、代金がきちんと管理されるか、などを見て判断されます。
2026年の改正で何が変わる?
2026年6月17日に「民法等の一部を改正する法律」が成立し、6月24日に公布されました。成年後見制度は、後見・保佐を廃止して「補助」に一本化し、本人に必要な範囲で使えるようになります。施行は公布から2年6か月を超えない範囲で政令で定める日で、いま(2026年10月)はまだ始まっていません。
| 項目 | 現行の制度 | 改正後の方向性 |
|---|---|---|
| 類型 | 後見・保佐・補助の3段階 | 「補助」に一本化 |
| 支援の範囲 | 類型ごとに広く決まる | 本人に必要な範囲で設定 |
| 施行時期 | 現在の運用 | 公布から2年6か月以内に政令で定める日 |
なお、「売却が終わるまでだけ使える」といった期間限定の利用が進むと紹介する解説もありますが、詳しい運用は今後の政令や裁判所の運用で決まります。いま困っている方は、現行制度で進めるのが基本です。
手続きの前に準備したいことのチェックリスト
売る以外の道も含めて考えたい方は、空き家は「売る・貸す・解体」どれが正解?判断基準も参考にしてください。売却を決めたあとの進め方は空き家売却「仲介」と「買取」どっちが得?違いを解説で説明しています。
- ☐ 親の名義がどうなっているか、登記簿謄本(登記事項証明書)で確認した
- ☐ 診断書など、親の判断力の状態が分かる資料を確認した
- ☐ 売りたい理由(介護費用・維持費など)を整理した
- ☐ きょうだいなど親族間で、売却の方針を話し合った
- ☐ 売却以外の選択肢(貸す・解体)も比較した
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よくある質問
Q1. 親が認知症になってしまいました。子どもが代わりに実家を売れますか?
A1. 子どもでも勝手には売れません。原則として、家庭裁判所で成年後見人を選んでもらい、居住用なら売却の許可も必要です。
Q2. 親が施設に入っていて、実家はもう誰も住んでいません。それでも許可は必要?
A2. 以前の生活の本拠だった家は居住用として扱われることがあり、許可が必要な場合があります。個別の判断になるため家庭裁判所や専門家に確認しましょう。
Q3. 制度が変わるなら、待ったほうがいいですか?
A3. 改正の施行は公布から2年6か月以内の予定で、まだ始まっていません。空き家の維持費もかかるため、状況に合わせて専門家に相談しましょう。
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