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飲食店の席数は逆算で決める!客単価と回転数から

新規開業者向け

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

「内装を決める前に、席は何席にすればいいのか分からない」「広い店にしたら、席が埋まらず赤字になるのでは」。会社員から飲食店を始める方が、必ず通る悩みです。結論から言うと、席数は「なんとなく」ではなく、「売りたい金額÷(客単価×回転数×営業日数)」で逆算して決めるものです。この記事では、会社員から食堂を始めるAさん(架空)の例で、コンセプトを4つの言葉にして、そこから席数を割り算で出す手順を見ていきます。公庫の様式での位置づけは、日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード(国民生活事業)」で確認できます。

この講座の位置づけ: 創業計画書の第3欄「取扱商品・サービス」を固める回です(第15回)。開業までの流れでいうと、物件を探す前、計画書を作る段階の作業です。第2回で学んだ売上の掛け算を、今度は「席数を求める割り算」として使います。

前回までの流れは「経営者の略歴」の書き方!前職を飲食店の強みに言い換えると、飲食店の売上は掛け算で作る!客単価×席数×回転数×日数です。全体の見取り図は公庫の創業計画書、数字が苦手でも書ける順番です。

全体の流れ

①
コンセプトを4つの言葉にする
→
②
昼と夜の「売りたい金額」を置く
→
③
割り算で席数を出す
→
④
坪数・家賃とつなげて確かめる

①コンセプトは「誰に・何を・いくらで・いつ」の4つで言い切る

コンセプトと聞くと、おしゃれな言葉を考えがちです。でも、計画書で使うコンセプトは、次の4つの質問に短く答えるだけで足ります。

質問 Aさん(架空)の答え
誰に近くで働く会社員と、仕事帰りの30〜40代
何を定食(昼)と、お酒に合う一品料理(夜)
いくらで昼は1人1,000円、夜は1人3,500円
いつ昼と夜の2部営業、月25日

この4つのうち、「いくらで」が客単価、「いつ」が営業日数です。つまり、コンセプトを4つの言葉にすると、そのまま売上の掛け算の材料がそろいます。公庫の様式と飲食店(洋風居酒屋)を含む記入例は、公庫の各種書式ダウンロード(国民生活事業)で見られます。記入例の文章や数字は、ここには転載しません。実際の様式と書き方は、必ず公庫のページでご確認ください。

私が確認できた範囲では、公庫の書式ページに、第3欄の書き方そのものの細かい説明は載っていませんでした。そのため、4つの質問への分け方は「公庫の説明」ではなく、この記事側の整理です。

②昼と夜の「売りたい金額」を置く

次に、昼と夜で、1か月にいくら売りたいかを置きます。Aさんは、第3回までの計画どおり、昼50万円・夜140万円・合計190万円です。

ここで1つ、つまずきやすい点があります。昼と夜は、同じ席を使い回します。 昼用に20席、夜用に別の20席が必要になるわけではありません。席数は、昼と夜のどちらでも足りる数にそろえます。

③割り算で席数を出す(Aさんの場合)

第2回の掛け算「客単価×席数×回転数×営業日数=月の売上」を、席数について解き直します。席数=月の売上÷(客単価×回転数×営業日数) です。回転数とは、1つの席が1日に何回入れ替わるか、という数です。

客単価 回転数 営業日数 1席あたりの月の売上(掛け算) 売りたい金額 必要な席数(割り算)
昼1,000円1.0回25日1,000×1.0×25=2.5万円50万円50÷2.5=20席
夜3,500円0.8回25日3,500×0.8×25=7万円140万円140÷7=20席

昼も夜も、答えが20席でそろいました。Aさんの店が20席なのは、この割り算の結果です。(Aさんの数字は、説明用の架空の例です。業界の標準ではありません。前回までの数字、売上190万円・必要な資金1,040万円・利益33万円は変えていません)

席数を変えると、売上と利益はどう動くか

席数を15席・20席・25席にしたとき、月の売上がどう変わるかを見ます。1席あたりの月の売上は、昼2.5万円+夜7万円=9.5万円です。

席数 昼(月) 夜(月) 月の売上
15席37.5万円105万円142.5万円
20席50万円140万円190万円
25席62.5万円175万円237.5万円

15席だと、月の売上は142.5万円です。第3回と同じ置き方(原価率30%、原価以外の経費は合計100万円のまま)で計算すると、142.5万円−原価42.75万円−経費100万円=マイナス0.25万円、つまり利益はほぼゼロです。席を5つ減らすだけで、Aさんの利益33万円は消えてしまいます。

反対に、25席にすれば売上は増えます。ただし、席が増えれば広い物件が要り、家賃も内装費も人件費も増えます。席を増やしたら経費も一緒に増えるので、利益が同じように増えるとは限りません(この表は売上だけの比較です)。

なお、席が足りないときは、席を増やす以外の道もあります。夜の客単価を3,500円から4,000円に上げると、夜の売上は4,000×0.8×25×20席=160万円で、20万円増えます。席を増やすか、1人あたりの売上を上げるかは、計画の段階で比べられます。

席数の目安は、二次情報では広さ次第

「10坪なら何席か」の目安も、参考までに見ておきます。マネーフォワード クラウドの記事(2026年4月1日更新)では、10坪の店で1坪あたり1〜1.5席、10〜15席が標準的としています(二次情報であり、公的な基準ではありません)。Aさんの20席は、1坪あたり2席になり、この目安より多めです。

私は、この食い違いを隠さず見るほうがよいと考えます。席数は、店の形・厨房の広さ・業態(立ち飲みか、座って食事か)で大きく変わります。 Aさんの20席は説明用の置き方で、実際の物件では、図面で席を並べてみないと確かめられません。席の並べ方と動線は、後の回で扱います。

④坪数・家賃とつなげて確かめる

席数が出たら、他の欄と見比べます。

見比べる先 確かめること
第4回「家賃と3つの条件」席数から決めた坪数で、家賃18万円に収まるか
第9欄「事業の見通し」席数を変えたとき、利益がちゃんと残る数字か
第8欄「必要な資金」席数が増えると、内装・厨房機器・什器の費用も増えないか

大阪では、ミナミ・キタなどの繁華街は夜、オフィス街は昼にお客さんが偏る傾向があると、当社は見ています。立地によって昼と夜の比率が変わるので、決めたコンセプトが、探している街の昼夜の人の流れと合っているかを、内見の前に確かめてください。家賃の上限の決め方は飲食店の家賃は売上のいくらまで?内見前に決める3条件、利益の出し方は売上190万円で手元に残るのは?原価・人件費・家賃を引くで扱っています。

今日のワーク

  1. 「誰に・何を・いくらで・いつ」を、4行で書く
  2. 昼と夜それぞれの客単価・回転数・営業日数を置き、1席あたりの月の売上を出す
  3. 売りたい金額を置き、「売りたい金額÷1席あたりの売上」で席数を出す
  4. 席数を3席増やした場合と減らした場合の売上を、足し算と掛け算で出す
  • ☐ コンセプトを4つの言葉で言い切った
  • ☐ 昼と夜で、同じ席を使い回していると理解した
  • ☐ 席数を割り算で出した
  • ☐ 席が少ない場合の売上も計算した

次回予告

次回は、第8欄にもどり、「運転資金は何か月分持つべきか」 です。開店直後にお金が足りなくなる典型的なパターンと、どう備えるかを見ていきます。

ここまでで書けるようになった項目

項目 状況
全体の見取り図第1回でわかった
売上高(月)第2回で掛け算で作れるようになった
売上原価・経費・利益(月)第3回で引き算で出せるようになった
家賃の上限と、物件探しの3条件第4回で決められるようになった
必要な資金(設備・運転)と調達方法の考え方第5回で足し算で組み立てられるようになった
契約のときに動くお金第6回で5種類に分けて数えられるようになった
内装費の見積書の読み方第7回で項目に分けて比べられるようになった
営業許可の流れ(事前相談→申請→検査)第8回で順番と時期がつかめた
消防署への届出(相談→使用開始届)第9回で順番と時期がつかめた
従業員の欄と、人件費の「時間」への直し方第10回で考え方がつかめた
販売ターゲット・販売戦略と、集客の時期第11回で考え方がつかめた
創業の動機(第1欄)第12回で3つの問いで書けるようになった
経営者の略歴等(第2欄)第13回で事実の書き出しと言い換えで書けるようになった
お借入の状況(第7欄)第14回で残高と年間返済額で書けるようになった
業態・コンセプトと席数(第3欄)今回、4つの言葉と割り算で決められるようになった
運転資金の考え方などこれから順に学ぶ

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大阪で飲食店の開業をご検討中の方、居抜き・スケルトンの貸店舗をお探しの方は、株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。「この業態なら、何坪くらいの物件を探せばよいか知りたい」「席数と家賃の上限を、数字を持って相談したい」「創業計画書を作る前の資金計画から相談したい」といったご相談にも対応します。物件を探す前の資金計画やエリア選びの段階からのご相談も承っております。

TEL:06-6195-8209

お問い合わせフォームはこちら

よくある質問

Q. 「広い店のほうが儲かる」と思っていましたが、違うのですか?
A. 席が増えれば売上の上限は上がりますが、家賃・内装費・人件費も増えます。席数は割り算で出し、利益が残るかを確かめてください。

Q. 席数が決まらないまま、物件を探してもいいですか?
A. 広さが合わない物件を何件も見ることになりがちです。先に席数の目安を置いてから、坪数と家賃の条件を決めるのが近道です。

Q. 客単価や回転数は、どうやって決めればいいですか?
A. 近くの似た業態の店の価格や、満席になる時間帯を実際に見て仮置きします。確かな数字はないので、少し控えめに置いて計算し直せる形にしておきます。

関連記事

参考

※Aさんの数字は説明用の架空の例です。席数の目安は二次情報であり、公的な基準ではありません。公庫の様式、記入例、相談窓口、融資の条件は変更されることがあり、最新情報は公庫のページでご確認ください。

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