
公庫の創業計画書、数字が苦手でも書ける順番
「飲食店をやりたいけれど、数字なんて全然わからない。創業計画書って、書けるのかな」。会社員から飲食店を始める方の多くが、最初にこう感じます。結論から言うと、創業計画書は、決まった項目を順に埋めていく書類です。しかも、数字の項目から先に作ると、あとの文章が書きやすくなります。この講座では、記事を順に読み進めるだけで、その基礎が身につくようにしていきます。
飲食店を始めるとき、最初にやることは「物件探し」ではありません
飲食店を始めようと思ったとき、ほとんどの方がまず物件を見に行きます。ところが、すごく良い物件に出会えても、資金に不安があれば、借りることはできません。
大切なのは、「この条件なら借りられる」「ここから先は無理をしている」という判断の物差しを、物件を見る前に持っておくことです。その物差しになるのが、計画です。
そして、公庫からお金を借りるかどうかは、いったん別の話です。借りないと決めている方でも、創業融資の計画書を作ることは、有効な手段になります。売上、経費、必要な資金を一度きちんと数字にしておけば、物件の家賃や初期費用を見たときに、すぐ「良い・悪い」を判断できるからです。
創業計画書とは何か
創業計画書は、日本政策金融公庫(以下「公庫」。国が出資している金融機関です)に融資を申し込むときに出す書類です。公庫のサイトでは、様式(Excel・PDF)、飲食店の記入例(洋風居酒屋)、売上高等の計算方法、セルフチェックリストが公開されています(各種書式ダウンロード(国民生活事業)|日本政策金融公庫)。
なお、融資の条件・金利・限度額・必要書類は変わります。この講座では断定せず、必ず公庫の最新ページで確認する前提で進めます。また、書類を出せば必ず融資が受けられる、というものではありません。
書く項目は、順にこの8つ
公庫の記入例で見ると、創業計画書は次の項目で構成されています(様式は改訂されることがあるため、実際に書くときは最新の様式で確認してください)。
| 順番 | 項目 | ひとことで言うと | この講座でのおもな回 |
|---|---|---|---|
| 1 | 創業の動機 | なぜ、飲食店を始めるのか | 動機を具体的にする回 |
| 2 | 経営者の略歴等 | これまで何をしてきたか | 前職を強みに言い換える回 |
| 3 | 取扱商品・サービス | 何を、いくらで、誰に売るか | 売上の組み立て、業態の回 |
| 4 | 取引先・取引関係等 | 材料はどこから買い、代金をいつ払うか | 仕入れ先の回 |
| 5 | 従業員 | 何人で店を回すか | 人を雇う手続きの回 |
| 6 | お借入の状況 | 今ある借金(住宅ローンなど) | 借入の書き方の回 |
| 7 | 必要な資金と調達方法 | いくらかかり、どう用意するか | 開業資金、契約のお金の回 |
| 8 | 事業の見通し | 毎月いくら売れて、いくら残るか | 売上、原価・人件費・家賃の回 |
(出典:日本政策金融公庫「創業計画書 記入例」。項目名と順番は記入例による。関連企業について書く箇所の有無は、最新の様式でご確認ください)
書く順番は「数字の欄から」がおすすめ
様式の順に1から書こうとすると、最初の「動機」で手が止まりがちです。そこで、この講座では次の順に進めます。
売上の見通しを作る
売上から引くものを考える
必要な資金を出す
人・仕入れ・借入を整える
動機と略歴を言葉にする
理由は、数字が決まると「この店はどのくらいの規模で、いくら借りたいのか」が見えてくるからです。動機や略歴は、その数字に合わせて書くほうが、話に筋が通ります。
連続ケース「Aさん」の紹介(架空の例です)
この講座では、毎回同じ人物の数字を使います。以下は説明用の架空の例で、業界の相場や基準ではありません。
- Aさん:会社員から転身。大阪市内で10坪・20席の食堂を開く
- 営業:昼と夜の2部制、月25日営業
- 完成形の数字(今後の回で、一つずつ作っていきます)
| 項目 | Aさんの数字(架空) |
|---|---|
| 月の売上高 | 190万円 |
| 月の利益(売上から原価と経費を引いた残り) | 33万円 |
| 必要な資金の合計 | 1,040万円 |
| 調達方法 | 自己資金340万円+公庫からの借入700万円 |
計算は「足す・引く・掛ける・割る」だけです。たとえば利益は、売上190万円から、材料費57万円と経費100万円(人件費・家賃・利息・その他)を引いて、33万円です。必要な資金は、1,040万円=自己資金340万円+借入700万円で、左右がぴったり一致します。
大阪で書くときの一言
大阪市内では、同じ10坪でも、ミナミやキタの繁華街と、住宅街に近い駅前とでは、家賃も客層も大きく違います。計画書の数字は「どこで開くか」で変わるので、エリアは早めに仮でも決めておくと、見通しの数字が現実に近づきます。大阪の初期費用の全体像は、【2026年最新】大阪の飲食店開業ガイド|初期費用と物件探し方 もあわせてご覧ください。収支のイメージを持ちたい方には、【AI試算】店主の人件費30万円・初期費用500万円カフェの収支モデルと公庫返済シミュレーション も参考になります。
今日のワーク
- 開きたい店を、ひとことで書いてみる(例:昼は定食、夜は一杯飲める食堂)
- 席数を、仮でいいので決める(Aさんは20席)
- 開きたいエリアを、駅名で1〜2つ挙げる
書けたらチェックしてください。
- ☐ 店のイメージをひとことで書いた
- ☐ 席数を仮に決めた
- ☐ エリアの候補を駅名で挙げた
- ☐ 公庫の「各種書式ダウンロード」ページを一度開いた
次回予告
次回は、8つの項目のうち最も数字に弱い人がつまずく「売上」を作ります。売上は、客単価・席数・回転数(1つの席が1日に何回入れ替わるか)・営業日数の掛け算です。
ここまでで書けるようになった項目
| 項目 | 状況 |
|---|---|
| 全体の見取り図 | 8つの項目と、書く順番がわかった |
| 項目1〜8の中身 | これから順に学ぶ |
出店・開業の計画づくりのご相談はこちら
大阪で飲食店の開業をご検討中の方は、株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。物件を探す前の資金計画やエリア選びの段階からのご相談も承っております。創業計画書の数字を作る前の「どのエリア・どの広さなら現実的か」といった整理にも対応します。
TEL:06-6195-8209
よくある質問
Q. 飲食店の経験がなくても、創業計画書は書けますか。
A. 書けます。経験の有無にかかわらず、決まった項目を埋める書類です。ただし、経験が少ない分、数字の根拠を丁寧に示すことが大切です。
Q. 「数字が苦手で、電卓を見るだけで頭が痛い」のですが、大丈夫でしょうか。
A. この講座は足し算・引き算・掛け算・割り算だけで進めます。Aさんの例を真似て、自分の数字に置き換えれば作れます。
Q. 書けば必ず公庫から借りられますか。
A. いいえ。審査があり、必ず借りられるとは限りません。条件は変わるため、公庫の最新ページや窓口でご確認ください。
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参考
※融資の条件・様式は変更されることがあります。最新情報は公庫の公式サイトでご確認ください。
