飲食店の営業許可の取り方!大阪市は開店2〜3週間前にの画像

飲食店の営業許可の取り方!大阪市は開店2〜3週間前に

新規開業者向け

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

「内装工事までお金をかけたのに、保健所の許可が下りなくて開店できない」。そんな話を聞くと、不安になる方も多いと思います。結論から言うと、飲食店の営業許可は、工事に入る前に保健所へ図面を持って相談し、開店予定日の2〜3週間前に申請するのが大阪市の基本の流れです(大阪市公式)。この回では、会社員から飲食店を始めるAさん(架空)の場合で、順番を見ていきます。

この講座の位置づけ:創業計画書の「取扱商品・サービス」の欄で説明するお店が、法律上きちんとお店として開けるかを確かめる回です(第8回)。開業までの流れでいうと、内装の設計ができたあと・工事を始める前に相談し、工事が終わるころに申請する手続きです。

前回は内装見積書の「一式」は中身を聞く!Aさんの400万円でした。全体の見取り図は公庫の創業計画書、数字が苦手でも書ける順番をご覧ください。

営業許可とは何か

食べ物をお客さんに出して商売をするには、食品衛生法という法律にもとづき、お店の所在地を担当する保健所(大阪市では「生活衛生監視事務所」)から営業の許可を受ける必要があります。運転免許のお店版、と考えると分かりやすいです。許可は「人」ではなく「お店(場所と設備)」に出ます。つまり、物件を決めて、設備の図面ができてからでないと、申請が進みません。

全体の流れ

①
物件を決める
→
②
図面を持って
事前相談
→
③
内装工事
→
④
開店2〜3週間前に
申請
→
⑤
施設検査
→
⑥
許可証を受け取り
開店
順番やること時期の目安大阪市の案内
①物件を決める(賃貸借契約)相談の前図面がないと相談が進まない
②図面を持って、生活衛生監視事務所に事前相談工事を始める前設計図面を持って食品衛生監視員に相談することが勧められている
③内装・設備の工事相談で指摘された点を図面に反映―
④営業許可の申請オープン予定日の2〜3週間前窓口または電子申請
⑤施設検査申請のあと食品衛生監視員が店舗の基準適合を調べる
⑥許可証の交付検査で適合と確認されたあと交付日は検査の際の通知書で知らされる

(出典:飲食店等の食品衛生法に基づく営業許可|大阪市、2026年10月時点の記載)

大切なのは②の事前相談です。ここで「この図面だと、手洗いの設備が足りない」「この場所に流しが必要」などの指摘を受けられます。工事のあとに指摘されると、やり直しの工事費がかかるうえ、開店も遅れます。

申請に必要なもの

大阪市の案内によると、新規の飲食店営業の申請に必要な書類は次のとおりです(固定の店舗の場合。詳しくは公式ページで確認してください)。

  • ☐ 営業許可申請書(1部)
  • ☐ 営業施設の構造と設備を示す図面(2部)
  • ☐ 食品衛生責任者の資格を証明する書類(調理師免許証など)
  • ☐ 井戸水などを使う場合は、水質検査成績書
  • ☐ ふぐを処理する場合は、ふぐ処理登録者証
  • ☐ 法人で申請する場合は、登記事項証明書

(出典:大阪市「飲食店等の食品衛生法に基づく営業許可」)

手数料は、飲食店営業(固定の店舗)で新規16,000円です。窓口では現金で払います(出典:食品衛生関係の申請手数料|大阪市、2026年4月更新)。納めた手数料は、あとから返してもらえません。

Aさん(架空)の場合、この16,000円は第5回の必要な資金の表に1行では載せていません。金額は小さいため、運転資金310万円に含まれる細かい出費として見込んでおく、という置き方にします(説明用の置き方です)。

「食品衛生責任者」は、いつまでに誰がなるか

申請の書類にある食品衛生責任者とは、お店の衛生管理の担当者のことです。1店舗に1人置く必要があります。調理師、栄養士、製菓衛生師などの資格がある人は、そのまま届け出ができます。資格がない人は、講習を受けて資格を取ります。Aさんのような異業種からの転身の方は、後者になることが多いです。

講習の日程、料金、申込方法は、大阪府食品衛生協会などの案内で最新のものを確認してください(大阪府の案内では、実務講習会では新規に資格は取れないとされています)。申請の前に資格を手に入れておくように、日程から逆算して早めに申し込むのがコツです。くわしくは、のちの回で取り上げます。

施設検査で見られること

施設検査では、食品衛生監視員が店を訪れ、図面どおりに設備ができているか、決められた基準を満たしているかを確認します。基準に合っていなければ、許可は出ません(大阪市公式)。検査には、日程と場所の事前の調整が必要です。次のような点は、事前相談のときに必ず聞いておきたい項目です。

  • ☐ 手を洗う専用の流し(手洗い設備)の位置と数
  • ☐ 調理で使う流し・食器を洗う流しの数と大きさ
  • ☐ 床・壁の材料(水や油で汚れても洗える仕上げか)
  • ☐ 換気・排気の設備
  • ☐ 冷蔵庫・冷凍庫の置き場所
  • ☐ 従業員が着替える場所・トイレの位置

どこまで必要かは、お店の広さや、出す料理、物件のつくりで変わります。「私の店はこうなる」と、図面を持って聞くのがいちばん確実です。

居抜き物件でも、確認は必要

前の店の設備が残る居抜き物件は、「そのまま使える」と思いがちです。しかし、前の店が許可を受けていても、新しい店主は新しく許可を取り直す必要があります。前の店の流しやグリストラップ(排水の油をこしとる設備)が今の基準に合うかどうかを、引き渡しのあとに確認して慌てることのないようにしたいところです。契約の前後に、保健所の事前相談を済ませておくと安心です。居抜き物件の引き渡し後のトラブルは、居抜き物件「引き渡し後」に多いトラブル7選と対策も参考にしてください。

居抜きの場合も、いきなり保健所に申請に行くのではなく、工事の前に事前協議(事前相談)で、図面に不備がないかを相談するほうが、私の経験ではスムーズに進みます。改装の予定がある場合は特にそうです。改装の予定がほとんどない場合でも、現状の設備で基準を満たしているかを、先に聞いておくと安心です。

検査の日までに、ガスと水道が使える状態にしておく

私の経験では、オープンを急ぐ方は多く、居抜きであまり改装しない場合は、すぐに保健所へ申請して現地調査の日を押さえる方がいます。それ自体は良いことですが、検査の日にガスの開栓(使える状態にする手続き)をしていない、水道メーターがついていなくて水が出ないといった理由で、再検査になった方がいました。

水道は特に注意が必要です。前の入居者が閉栓(水道を止める手続き)をすると、水道メーターを外して持ち帰ってしまう地域もあるため、昨日まで使えていた店でも、行政の手続きでメーターがなくなり、水が使えなくなることがあります。検査の日程を決めたら、ガス・水道・電気が当日に使えるか、水道メーターが付いているかを、水道局やガス会社に早めに確認しておきましょう。

大阪の現場で、もう一つ。申請は所在地の区ごとに窓口が違う

大阪市では、申請や相談の窓口が、お店のある区を担当する生活衛生監視事務所に分かれています。物件を決めたら、「このお店はどこの窓口になるか」を先に確認しておくと、動きが速くなります。ミナミ、キタなどの繁華街で探す場合も同じで、区が違えば窓口も変わります。検査の日程は事前の調整が必要なため、開店予定日には余裕を持たせてください。

今日のワーク

  1. 気になる物件が決まったら、どの区の生活衛生監視事務所が担当か、大阪市のページで調べる
  2. 内装の図面ができたら、工事を始める前に、図面を持って事前相談の予約を入れる(電話で日程を聞く)
  3. 開店予定日から逆算して、申請日(開店2〜3週間前)と、食品衛生責任者の講習日を決める
  4. 手数料(新規16,000円)を、第5回で作った必要な資金の表の「その他」の欄に足しておく
  • ☐ 物件を担当する窓口(生活衛生監視事務所)を調べた
  • ☐ 図面を持って、工事前に事前相談の予約を取った
  • ☐ 食品衛生責任者の資格を持つ人(または講習の日程)を決めた
  • ☐ 開店予定日から逆算して、申請日と検査の日程を決めた
  • ☐ 手数料と講習の費用を、資金の表に見込んだ
  • ☐ 居抜きの場合、前の店の設備が今の基準に合うかを確認した
  • ☐ 検査の日に、ガスの開栓と水道メーターの取り付けが済んでいるか確認した

次回予告

次回は、消防署への届出です。大阪市では、使用を始める前に出す届出があります。内装工事の前に相談しておく点とあわせて、創業計画書の「取扱商品・サービス」の欄につなげて見ていきます。

ここまでで書けるようになった項目

項目状況
全体の見取り図第1回でわかった
売上高(月)第2回で掛け算で作れるようになった
売上原価・経費・利益(月)第3回で引き算で出せるようになった
家賃の上限と、物件探しの3条件第4回で決められるようになった
必要な資金(設備・運転)と調達方法の考え方第5回で足し算で組み立てられるようになった
契約のときに動くお金第6回で5種類に分けて数えられるようになった
内装費の見積書の読み方第7回で項目に分けて比べられるようになった
営業許可の流れ(事前相談→申請→検査)今回、順番と時期がつかめた
動機、略歴、お借入の状況などこれから順に学ぶ

営業許可・開業物件探しのご相談はこちら

大阪で飲食店の開業をご検討中の方、居抜き・スケルトンの貸店舗をお探しの方は、株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。「この物件で飲食店の許可は取れそうか、見てほしい」「図面を持って保健所に相談する前に、物件の設備を確認したい」といったご相談にも対応します。物件を探す前の資金計画やエリア選びの段階からのご相談も承っております。

TEL:06-6195-8209

お問い合わせフォームはこちら

よくある質問

Q. 保健所の許可って、いつまでに取ればいいんですか。
A. 大阪市は、オープン予定日の2〜3週間前の申請を案内しています。工事の前に、図面を持って事前相談もしておきましょう。

Q. 工事が終わってから相談してもいいですか。
A. おすすめしません。工事後に指摘されると、やり直しの費用と日数がかかります。大阪市も、工事前に図面を持っての相談を勧めています。

Q. 居抜きなら、前の店の許可をそのまま使えますか。
A. 使えません。許可は店主ごとに取り直しになります。設備が今の基準に合うかは、事前相談で確認してください。

関連記事

参考

※Aさんの数字は説明用の架空の例です。申請の時期、必要書類、手数料、施設の基準は変更されることがあり、店の業態や物件によっても異なります。最新情報は大阪市の担当窓口でご確認ください。

”新規開業者向け”おすすめ記事

  • 内装見積書の「一式」は中身を聞く!Aさんの400万円の画像

    内装見積書の「一式」は中身を聞く!Aさんの400万円

    新規開業者向け

  • 店舗を借りる時に最初に出るお金|保証金・礼金・仲介手数料の画像

    店舗を借りる時に最初に出るお金|保証金・礼金・仲介手数料

    新規開業者向け

  • 開業資金は設備と運転の2つに分ける!Aさんは1,040万円の画像

    開業資金は設備と運転の2つに分ける!Aさんは1,040万円

    新規開業者向け

  • 飲食店の家賃は売上のいくらまで?内見前に決める3条件の画像

    飲食店の家賃は売上のいくらまで?内見前に決める3条件

    新規開業者向け

  • 売上190万円で手元に残るのは?原価・人件費・家賃を引くの画像

    売上190万円で手元に残るのは?原価・人件費・家賃を引く

    新規開業者向け

  • 飲食店の売上は掛け算で作る!客単価×席数×回転数×日数の画像

    飲食店の売上は掛け算で作る!客単価×席数×回転数×日数

    新規開業者向け

もっと見る