
居抜き物件「引き渡し後」に多いトラブル7選と対策
(2026年9月25日更新)
居抜き物件は「初期費用を抑えて、すぐにお店を始められる」という大きな魅力があります。しかし実際には「引き渡し後に予想外のトラブルが起きた!」という声も多く、スムーズにオープンするには事前の準備と知識が欠かせません。「居抜きだから準備は楽なはず」と思っていたら痛い目に遭った、というオーナー様も少なくありません。この記事では、現場でもよくある引き渡し後の「あるある」トラブルとその対策を7つご紹介します。
この記事のポイント
- 居抜き物件は「そのまま使える」とは限らない。電気・水道・ガス・通信は必ず個別に動作確認が必要
- 厨房機器やエアコンは、電源が止まっていた期間に不具合が出やすい
- 近隣あいさつ・保健所への事前相談など、契約書に出てこない実務対応が開業スケジュールを左右する
1. インターネットがつながらず、開業が遅れる
飲食店の開業準備で、意外と後回しにされがちなのが「ネット回線の手配」です。物件が決まった直後から、代理店や回線営業から電話や訪問が来るため、「なんとなく進んでいる」と思っていたら、実際は工事が間に合っておらず、レジやクレジット端末が使えず開業延期に――という話は実はよくあります。
とくに最近は、対応が遅い・知識が浅い代理店も増えており、申し込んでから初回の連絡すら1週間以上かかることもあります。また、居抜き物件だからといって「以前の回線がそのまま使える」とは限らず、撤去済みだったり、管理会社の承諾が必要なケースもあります。
さらに、最近増えているホームルーター(工事不要・挿すだけのWi-Fi)も要注意です。電波状況が不安定な場所では、レジ・クレジット端末・注文システムなどの通信が不安定になり、営業中に使えなくなるトラブルが発生することもあります。
- ☐ 物件決定後、最優先でネット回線の手配を
- ☐ 既存の回線が残っていないか確認し、使えそうなら再契約を検討
- ☐ 工事不要のWi-Fiを使う場合も、開業前に必ず現地で動作確認を
ポイント:通信が安定していない=決済やオーダーが止まる、ということです。ネット回線は「内装工事」「求人」よりも早く動いて損はありません。
2. スタッフが集まらず、オープンに間に合わない
求人を出しても応募が来ない、面接に来たスタッフがオープン前に辞めてしまうなど、人材確保の難しさも開業準備でよくある悩みです。飲食業界全体で人手不足が深刻化しており、「求人を出せば自然に応募が来る時代」はすでに終わっています。しかも、内装が間に合わず研修ができない、メニューやオペレーションが決まらないまま不安が広がる、ということもあります。
- ☐ 採用と出勤タイミングの段階管理がカギ
- ☐ 面接時にはオープン時期や研修タイミングが前後する可能性を伝える
- ☐ プレオープンやソフト営業で少人数でも回せる業務設計を意識
ポイント:開業時は、オーナー自身も業者とのやりとり・設備トラブル・メニュー調整などで手一杯になります。スタッフ教育までこなすのは正直かなり厳しいのが現実です。
3. 保健所の検査日にライフラインが未契約で検査できない
居抜き物件は設備が揃っているため、すぐ営業できそうに思える反面、「ライフラインの開通を忘れていたせいで保健所検査が受けられなかった」という話もよくあります。
大阪市の場合、飲食店営業許可は次の流れで進みます(大阪市公式サイトより)。店舗調査の際には、電気・水道・ガスが使用可能な状態であることが必要です。検査日直前に契約しても、開通工事の関係で間に合わないことがあり、特にガスは立ち会いが必要な場合もあります。
事前相談
申請手続
店舗調査
許可証交付
- ☐ 営業許可申請は「事前相談」からスタート
- ☐ ライフライン(電気・水道・ガス)は検査日までに必ず開通済みに
- ☐ 不安があれば保健所へ早めに相談を
ポイント:保健所の基準は自治体によって運用が変わっていることもあります。昔の知識や経験だけで判断せず、早めの確認をおすすめします。
4. 工事がうるさいと近隣からクレームに
居抜き物件であっても、開業前には必ず何かしらの内装・清掃・工事が発生します。よくあるのが「事前あいさつなしで工事を開始して、近隣から苦情が入る」パターンです。契約書上では「家主や管理会社への工事申請が必要」となっており、図面・工程表の提出を求められる場合もあります。
ところが、個人で活動している内装業者(職人さん)の中には、そもそも図面や工程表を作った経験がない人も多く、業者と家主の間に入る調整が必要になることがあります。また「事前にOKをもらっていたのに、別の管理担当者に止められた」など、現場と書類上の調整がズレることもあります。
- ☐ 管理会社や家主には、必ずオーナー自身が事前あいさつを
- ☐ 工事業者との段取りは「図面・工程表が必要か」を早めに確認
- ☐ 近隣店舗には簡単な挨拶やチラシ投函をしておくとトラブル回避に効果的
ポイント:最初に悪印象を持たれると、その後も営業音・におい・ゴミなどで苦情につながりやすくなります。「あいさつ」は最小コストでできる最強のトラブル回避策です。
5. 機器類(冷蔵庫・製氷機など)が動かない
これは居抜き物件あるあるの代表例です。内見時は前のテナントが営業していたため「動いていた」と思っていた厨房機器が、いざ電源を入れても動かない、というトラブルです。
この原因の多くは、引き渡し後に電源が切れていたことによる霜の溶け・漏電・サビなどによるもので、「前テナントが嘘をついた」ケースは実は少数です。とくに冷蔵・冷凍庫などは、しばらく電源を落として放置することでコンプレッサーに異常が出やすくなります。
業務用厨房機器の法定耐用年数(減価償却の計算で使われる目安)は、国税庁の基準で機器の種類により6年とされています(税理士・内装業者による解説記事より)。それ以上経っているものは、最初から「いつ壊れてもおかしくない」前提で設備確認する必要があります。
- ☐ 引き渡し後はすぐに電源を入れて動作確認
- ☐ 修理・交換リスクを見込んで予算を確保
- ☐ 厨房機器にも精通した業者にチェックを依頼すると安心
ポイント:居抜き=そのまま使える、ではありません。業務用機器は高額な上、納期もかかるため「壊れてから考える」では間に合わないことがあります。
6. エアコンがつかない・壊れている
厨房機器と並んで多いのが「エアコンが動かない」問題です。なかでも一番多いのが「動力(200V)の電気契約がされていなかった」ケースです。
電力自由化により、さまざまな電力会社や代理店がありますが、飲食店の電気契約についての知識が乏しい担当者も多く、「契約は済んでいるのに動力が開通していなかった」ということが起こります。特に関西圏では、動力契約を関西電力で直接申し込むと即日〜数日でつながるのに対し、代理店経由だと2週間以上かかることもあります。
また、仮に動力契約をしていたとしても、エアコン自体の経年劣化によって「冷えない・止まる・異音がする」などのトラブルもよくあります。業務用エアコンは新品交換で数十万円以上が一般的です。開業直前に突然の出費となると、予算にも大きな影響が出ます。
- ☐ 電力契約は開業前なら大手電力会社との直接契約がおすすめ
- ☐ 契約時には「動力の開通があるか」を必ず確認
- ☐ エアコンが10年以上経っているなら、交換予算も検討
ポイント:真夏の開業直前、「冷房が効かない」は営業停止レベルのトラブルです。電気契約とエアコンの事前チェックは、必ずセットで確認しましょう。
7. 配管の詰まり・グリストラップのトラブル
「引き渡し直後に水を流したら、厨房が逆流して水浸しに」という話も、実際にあります。見た目ではわからない配管の詰まりは、特に冬場や空き期間が長かった物件で起こりやすく、油脂が冷えて固まり、排水管内にこびりついていることもあります。
営業前の掃除や内装工事で水を大量に流したときに、一気に詰まって逆流するケースもあります。また、グリストラップ(厨房排水に含まれる油分を分離する設備です)も清掃されないまま引き渡されるケースが多く、こちらも事前にチェックしておくのが安心です。
- ☐ 引き渡し後、オープン前に高圧洗浄を実施するのが安心
- ☐ グリストラップ清掃+お湯をたっぷり流してテスト
- ☐ 高圧洗浄の費用目安:3万〜7万円程度
ポイント:排水トラブルは営業開始後のクレームにもつながりやすい重要ポイントです。清掃コストは「安心して営業を始めるための保険」と考えるとよいでしょう。
まとめ|「居抜き=楽」ではなく「準備がすべて」
居抜き物件は一見お得で手間いらずに見えますが、実際には細かい確認と段取りが必要不可欠です。営業を開始してから「しまった」とならないよう、トラブルの芽は先に潰しておくのがベストです。この記事をチェックリスト代わりに、安心・安全なオープン準備を進めていきましょう。
居抜き物件とスケルトン物件そのものの違いから確認したい方は、以前の記事飲食店の「居抜き物件」と「スケルトン物件」の違いとは?費用相場とメリット・デメリットを徹底比較もあわせてご覧ください。
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よくある質問
Q. 居抜き物件なら、前のテナントの設備はそのまま問題なく使えますか?
A. いいえ。電源が長期間切れていた設備は、引き渡し後に動作不良が出ることがあります。契約後すぐに動作確認することをおすすめします。
Q. せっかく居抜きで安く借りたのに、想定外の出費が怖いです。何を優先して確認すればいいですか?
A. まずは電気(特に動力)・水道・ガス・ネット回線の開通状況と、厨房機器の動作確認を最優先で行いましょう。
Q. 保健所の検査はいつ受ければいいですか?
A. 大阪市の場合、工事前の事前相談を経て、オープン予定日の2〜3週間前を目安に申請するのが基本です。詳細は管轄の保健所にご確認ください。
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