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「相続放棄」は3か月以内!空き家を壊す前に確認

相続・空家

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

相続放棄は「3か月以内」が原則です

相続放棄(そうぞくほうき=親の財産を、プラスもマイナスも全部受け取らないと決める手続き)は、原則「自分が相続人になったと知った日から3か月以内」に、家庭裁判所へ申し出ます。空き家になった実家を片づけたり、壊したり、売ったりしてしまうと、放棄が認められなくなるおそれがあります。

「相続したけど、古い実家なんて要らない」「このまま放っておいたらどうなるの」。そんな気持ちで検索された方に向けた記事です。

相続放棄の流れ

①
相続人になったと知る
→
②
財産を調べる
→
③
3か月以内に家庭裁判所へ申述
→
④
受理の通知を受け取る
  • ①②:親が亡くなり、自分が相続人だと分かった日から3か月を数えます(裁判所の案内による)。
  • ③:申述(しんじゅつ=書類を出して申し出ること)先は、亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所です。
  • 費用は、収入印紙800円分(1人につき)と連絡用の郵便切手です。切手の金額は裁判所ごとに違うため、提出先に確認してください。
  • 必要書類は、申述書、亡くなった方の住民票除票または戸籍附票、自分の戸籍謄本などです。続柄によって追加の戸籍が変わります。

出典:相続の放棄の申述|裁判所

3か月で決められないときは

財産を調べても、放棄するか決める材料がそろわないことがあります。そのときは「期間の伸長(しんちょう=のばすこと)の申立て」で、家庭裁判所に期限をのばしてもらえる場合があります(裁判所の案内による)。3か月が過ぎてからでは遅いので、期限が近づいたら早めに家庭裁判所へ相談してください。

空き家があるときの落とし穴

相続財産を「処分」すると、相続を認めた(単純承認)ものとみなされます。

民法921条の定めです。たとえば、実家を解体する、家財を売る、土地を売るといった行為が当てはまりえます。ただし、傷んだ屋根を応急で直すなどの「保存行為」は除かれます。どこまでが処分かは事情で変わるため、動く前に家庭裁判所や司法書士・弁護士へ確認するのが安全です。

また、放棄しても管理の責任が残る場合があります。2023年4月から施行された民法の改正で、放棄した時点で、その家を「現に占有」している人だけが、次の人に引き渡すまで保存する義務を負うことになりました(税理士法人の解説による)。私の経験では、遠方に住み、鍵も持たずに何年も実家へ行っていない相続人のご相談では、この「占有」に当たるかどうかが分かれ目になっていました。当てはまるかは個別の事情で変わります。

手を付ける前のチェックリスト

  • ☐ 親が亡くなった日と、自分が相続人だと知った日をメモした
  • ☐ 実家のほかに、借金や預金など財産の全体を調べた
  • ☐ 実家の鍵を預かっているか、住んでいたかを整理した
  • ☐ 家財の処分や解体を、申述の前にしていない
  • ☐ 他の相続人にも、放棄するかどうかを伝えた

財産の洗い出しは、「親がどこに不動産を持っていたか分からない」相続した不動産を全部洗い出す3つの方法が役立ちます。相続人どうしの連絡が止まっているときは、「相続人と連絡が取れない」実家の名義変更の進め方も参考にしてください。

現場の問題と、これから必要な法改正(筆者の意見)

賃貸マンションを管理していると、入居者が亡くなり、相続人が「関係ないから」と放棄したり、連絡を絶ったりするケースに出会います。放棄が成立しても、部屋の荷物を誰が処分してよいのかが決まらず、貸主や管理会社が動けなくなります。孤独死で傷みが進み、近隣から苦情が出ても、行政は室内の片づけまでは担いません。

私の意見では、今の仕組みは「相続人がいる、または連絡がつく」ことを前提にしすぎています。関係が薄い家庭が増えている以上、次のような法改正や制度づくりが必要だと考えます。

  • 貸主や管理会社が、相続放棄の有無を確認しやすい手続きにすること
  • 価値のない残置物(ざんちぶつ=部屋に残された荷物)を、一定の手続きを踏めば貸主が処分できる制度をつくること
  • 相続財産清算人の選任にかかる費用負担を軽くすること
  • 孤独死で近隣に被害が出る場合に、自治体が緊急対応できる範囲を広げること

あくまで筆者の意見であり、現行の法律ではありません。それまでは、入居時に死後事務委任や残置物処理の特約(国土交通省のモデル契約条項)を結んでおくことが現実的な備えです。

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よくある質問

Q. 「相続放棄したら、実家の固定資産税は払わなくていい?」
A. 放棄すれば相続人ではなくなります。ただし、占有していた場合などは保存義務が残ることがあります。個別の事情は専門家に確認してください。

Q. 3か月を過ぎたら、もう放棄はできませんか?
A. 原則は3か月以内です。期間の伸長の申立てが認められる場合もあります。早めに家庭裁判所へ相談してください。

Q. 実家の荷物を片づけただけでも放棄できなくなりますか?
A. 形見の整理程度か、価値のある物の売却かで判断が分かれます。処分に当たるおそれがあるため、片づける前に確認してください。

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