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「相続した実家を売った翌年」税金と国保料の落とし穴

相続・空家

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

相続した実家を売ると、税金や保険料の請求は売った年ではなく「翌年」にまとめてやってきます。そして「空き家の3000万円特別控除」が使えて税金がゼロになる場合、国民健康保険料の計算でも控除を引いた後の金額で見てもらえるのが基本です。「売れてホッとしてお金を使ってしまったのに、翌年の通知を見て青ざめた」とならないよう、お金の流れを時間順に整理します。

売った翌年に届く3つの通知

①
売った年の
12月31日まで
→
②
翌年2月16日〜
3月15日に確定申告
→
③
翌年6月ごろ
住民税・国保料の通知
時期 届くもの 内容
翌年2月16日〜3月15日 確定申告(自分で行う) 所得税+復興特別所得税を納付
翌年6月ごろ 市・府民税の納税通知書 住民税分を納付
翌年6月中旬 国民健康保険料の決定通知 前年の所得をもとに計算

税金は「売った年の分」を翌年に精算する仕組みです。売ったのが2026年なら、申告は2027年2月16日から3月15日まで(期限が土日にあたる場合は翌平日)。大阪市では国民健康保険料を6月に決定し、6月中旬に通知が届きます。つまり売ってから半年以上あとに請求が来るということです。売却代金は全部使わず、残しておいてください。

相続した実家は「長期」になることがほとんど

もうけ(譲渡所得)にかかる税率は、持っていた期間で2段階に分かれます。

  • 長期譲渡所得(売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超える)…所得税15%、住民税5%
  • 短期譲渡所得(同じ時点で5年以下)…所得税30%、住民税9%

このどちらに入るかで倍以上違いますが、安心していただきたいのが数え方です。相続で受け継いだ不動産の所有期間は、亡くなった親が買った日から数えます。相続してまだ1年でも、親が30年前に建てた家なら「長期」です。これに復興特別所得税(所得税額の2.1%)が加わります。なお、これは「もうけ」にかかる税率で、売った値段そのものにかかるわけではありません。売る方法によって手元に残る金額も変わるため、空き家売却「仲介」と「買取」どっちが得?違いを解説もあわせてご覧ください。

3000万円特別控除は、保険料にも効きます

相続した空き家を売るときは、もうけから最大3000万円を引ける特例が使える場合があります(空き家「3000万円特別控除」とは?条件を解説)。主な条件は次のとおりです。

  • ☐ 2027年(令和9年)12月31日までの売却であること
  • ☐ 亡くなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • ☐ 売却代金が1億円以下であること
  • ☐ 相続人が3人以上いる場合は、1人あたり最大2000万円に縮小される
  • ☐ 使うには確定申告が必要(税金がゼロでも申告する)

大切なのは、この控除が国民健康保険料にも効くことです。大阪市の案内では、保険料のもとになる所得を「土地等譲渡所得=譲渡所得金額-特別控除」として計算すると明記されています。控除後のもうけがゼロなら、保険料には跳ね返りません。

ただし注意点があります。自治体によっては、保険料の軽減(減額)を受けられるかどうかの判定だけは、特別控除を引く前の金額で行います(例:東京都中野区)。所得割は増えないのに、これまで受けていた軽減が外れる、ということが起こり得ます。心配な場合は、売る前にお住まいの区役所・市役所の国保の窓口で「この年に実家を売ると軽減はどうなりますか」と確認しておくと安心です。

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よくある質問

Q. 3000万円控除で税金がゼロになるなら、確定申告はしなくていいですよね?

A. いいえ、申告が必要です。この特例は確定申告をして初めて使えます。申告しないと控除がない前提で計算され、住民税や保険料にも影響します。

Q. 売ったお金を兄弟で分けた場合、税金は誰が払うのですか?

A. 登記上の名義人(売主)が譲渡所得の申告・納税をします。名義の決め方で負担が変わるため、売る前に決めておくことが大切です。

Q. 空き家のまま持ち続けたほうが、税金は安く済みませんか?

A. 固定資産税や保険、管理の費用が毎年かかり続けます。売却時の一度の税金と、持ち続ける総額を比べて判断してください。

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