
転勤した区分オーナー注意 住所変更登記で最大5万円の過料
結論から申し上げます。2026年4月1日から、不動産の所有者は住所や氏名が変わったら2年以内に登記の変更を申請する義務を負い、正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象になります(法務省)。そして2026年10月5日から、この手間を無料で丸ごと免除できる「検索用情報の申出」に、新しく「国籍等」という項目が加わりました(法務省)。「転勤で何度も引っ越しているけど、物件の登記なんて買ったとき以来触っていない。これ、まずいんだろうか」——そう思われた方は、今日の手続きで片が付きます。
まず期限を確認してください
| あなたのケース | 登記の期限 |
|---|---|
| 2026年4月1日以降に住所・氏名が変わった | 変わった日から2年以内 |
| 2026年3月31日までに変わって、まだ登記していない | 2028年3月末まで |
| 期限までに申請しなかった | 正当な理由がなければ5万円以下の過料 |
※法務省「住所等変更登記の義務化」より。
対象は「すべての不動産の所有者」です。ご自宅だけでなく、投資用の区分マンションも、一棟物件も入ります。給与所得者の投資家の方は、転勤や家族の都合で住所が動く回数が多いぶん、登記簿の住所と今の住所がずれやすい立場にあります。しかも登記簿は、引っ越しても自動では直りません。
「スマート変更登記」なら一度の申出で終わります
ここが今日いちばんお伝えしたい部分です。あらかじめ「検索用情報の申出」をしておくと、こうなります(法務省)。
- 法務局が住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)——市区町村の住民票をつなぐ国のシステムです——で、住所や氏名の変更を確認します
- 確認は2年に1回程度。変更があった方には、意思確認の通知が届きます
- 通知から1か月以内に「お願いします」と回答すると、法務局が職権で変更登記をしてくれます
つまり、この申出を一度しておけば、引っ越しのたびに自分で申請しなくても義務違反に問われません。そして費用は無料です。これを「スマート変更登記」と呼びます。
登記簿の住所を確認
検索用情報を申し出る(無料)
通知が来たら1か月以内に回答
法務局が職権で登記
申し出る項目は次のとおりです。
- ☐ 氏名
- ☐ 氏名の振り仮名(日本国籍がない方は、ローマ字での表記)
- ☐ 住所
- ☐ 生年月日
- ☐ メールアドレス(ない場合は、ない旨を記載)
- ☐ 国籍等(2026年10月5日以降に申し出る場合)
10月5日に加わった「国籍等」は、相続が起きたときにどの国の法律を当てはめるかを確認するための情報です。一般に公開される登記事項証明書には載らず、法務局の内部で管理されます(法務省)。日本国籍の方は「日本」と書けば足ります。
申出のやり方は3通り
| やり方 | 費用 | 用意するもの |
|---|---|---|
| オンライン(単独の申出) | 無料 | ブラウザだけ。電子証明書は不要 |
| 書面(単独の申出) | 無料 | 申出書と身分証明書の写し。押印・電子署名は不要 |
| 登記の申請と同時 | 登記にかかる費用のみ | 申請書に検索用情報を記載 |
※法務省「検索用情報の申出について」より作成。
オンラインは、法務局の「かんたん登記・供託申請」というサイトから手続きできます。管轄が違う複数の物件を持っている場合も、どれか1つの物件の所在地を管轄する登記所にまとめて申し出られます(法務省)。大阪の区分マンションを持ったまま他府県に転勤されている方も、郵送かオンラインで完結します。
ここが落とし穴です
1. 物件ごとに申出が必要です。すでに申出済みでも、その後に新しく買った物件については、改めて申し出る必要があります。買い増しを続けている方は、決済のたびに確認するのが安全です。
2. 海外赴任中の方は対象外です。海外に住所がある場合、法務局が住所の変更を確認できないため、スマート変更登記は使えません。自分で変更登記を申請することになります。法人名義も、会社法人等番号の登記がなければ対象外です(法務省)。
3. 住所が古いままだと、自分の物件が「見つからない」ことがあります。2026年2月2日に始まった所有不動産記録証明制度は、自分名義の不動産を一覧で出してくれる便利な仕組みですが、登記簿上の氏名・住所と一致する不動産しか抽出されません。この制度の中身と手数料は「親の不動産」を全部調べる3つの方法|名寄帳と新制度で詳しく書いています。
さらに実務面の話をすると、売却の直前に登記簿の住所のずれが見つかって、決済の日程がうしろにずれることがあります。法人で本店を移したのに登記が追いついていないと、融資の審査で余計な説明を求められることもあります。5万円の過料よりも、こちらのほうが痛いかもしれません。
登記以外にも、法改正は続いています
区分マンションを持っている方にとっては、2026年4月に施行された改正区分所有法(マンションの共用部分や建替えのルールを定めた法律)も見逃せません。あわせて投資家の4割が知らない「改正区分所有法」もご覧ください。価格や金利のニュースに比べると地味ですが、こうした制度の変更は、知らないと静かに損をする種類のものです。
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よくある質問
Q. 引っ越しただけで5万円取られるんですか?
A. いきなりではありません。2年の期限があり、登記官からの催告に応じて申請すれば過料は科されないとされています(法務省)。
Q. 検索用情報の申出は、物件を買うときにもするのですか?
A. はい。登記の申請と同時に申し出る形になります。すでに申出済みでも、新しく買った物件は別途必要です。
Q. 海外赴任中はどうすればよいですか?
A. スマート変更登記の対象外です。住所が変わったら自分で変更登記を申請します。司法書士への依頼も選択肢です。
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