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投資家の4割が知らない「改正区分所有法」

不動産投資

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

「2つの老い」を解消するための法改正

「区分マンション投資って、結局のところ管理組合の話し合いが進まなくて損をするんじゃないか」と不安に思っていませんか。結論から言うと、2026年4月に施行された改正区分所有法によって、この不安の一部はすでに解消されつつあります。にもかかわらず、投資家の約4割はこの改正をまだ知らないという調査結果が出ました。大阪でも区分マンションの価格が過去最高値を更新する中、知っているかどうかで判断の質に差がつきそうです。

分譲マンションは今、建物の老朽化と所有者の高齢化という「2つの老い」に直面しています。築年数が経った物件ほど大規模修繕や建て替えが必要になる一方で、所有者が高齢化したり連絡が取れなくなったりして、話し合いがまとまらないケースが増えていました。これを解消するため、2026年4月1日に改正区分所有法が全面施行されました(国土交通省)。

最大のポイントは、決議のルールが緩和されたことです。これまでは「区分所有者全員」を母数にした多数決が必要でしたが、改正後は「実際に出席した人」を母数にした多数決で決議できるようになりました。連絡が取れない所有者がいても、裁判所の手続きを経れば決議の母数から外せるため、大規模修繕や建て替えの話し合いが進めやすくなります(国土交通省)。

投資家の約4割が「改正を知らない」

不動産投資サイト健美家が投資家154名を対象に実施したアンケート調査によると、改正区分所有法を「知っている」と回答した人は64.3%、「知らない」と回答した人は35.7%でした(健美家調べ、2026年5月公表)。区分マンション投資に直結する制度変更にもかかわらず、投資家の約4割が改正そのものを把握していないという結果です。

改正を知っている投資家に影響の受け止め方を聞いたところ、「ポジティブ」「ややポジティブ」と答えた人は合計85.9%にのぼりました。

改正へのポジティブな評価(複数回答)割合
スラム化・管理不全リスクの低減43.5%
資産価値の向上35.3%
大規模修繕等の決議の円滑化34.1%
融資がつきやすくなる32.9%
流動性の向上(売りやすくなる)31.8%

さらに、改正を認知している投資家のうち、投資意向が「増す」と答えた人は合計66.7%にのぼり、「立地重視での物件購入」(47.5%)や「築古物件の購入を検討」(37.4%)といった行動変化も報告されています(健美家調べ)。

大阪の区分マンション市場も過去最高値

こうした制度変更は、実際の市場の動きとも重なります。不動産投資サイト健美家が発表した「収益物件 市場動向マンスリーレポート」2026年8月期によると、区分マンションの全国平均価格は3,001万円となり、2008年の調査開始以降の最高値を更新しました(前年同月比+22.14%、健美家調べ)。関西エリアに限ると前年同月比+19.96%とさらに大きく上昇しています(同調査)。制度面での安心材料と、価格上昇という現実が同時に進んでいる局面といえます。

なぜ修繕積立金は「思ったより早く」足りなくなるのか

区分マンション投資でとくに見落とされがちなのが、修繕積立金の設計そのものに「最初は安く見せる」仕組みが組み込まれているという点です。国土交通省のガイドライン(2011年策定、2024年6月改定)によると、新築マンションの多くは、当初の積立額を抑えて段階的に値上げしていく「段階増額積立方式」を採用しており、分譲当初の積立額は本来必要な基準額の0.6倍程度まで低く設定できます(国土交通省調べ)。分譲時の月々の負担を軽くして販売しやすくするための仕組みですが、裏を返せば、最初から本来必要な金額が積み立てられていないマンションが多いということでもあります。

そこに近年の資材費・人件費の高騰が重なり、数年前に立てた長期修繕計画の想定工事費そのものが実勢と合わなくなるケースが増えています。国土交通省の調査でも、計画に対して積立金が不足している管理組合の割合は、2018年度の34.8%から2023年度には36.6%まで増加しました(国土交通省調べ)。「そろそろ値上げかな」と考えていた時期よりも早く、まとまった一時金の徴収や借入れが必要になる管理組合が、今後も増えていくとみられます。

改正区分所有法によって大規模修繕や建て替えの決議は進めやすくなりましたが、決議が通っても、その裏付けとなる資金がなければ計画倒れになりかねません。物件を選ぶ際は、現在の積立金残高だけでなく、いつ・どのくらいの値上げが予定されているかという長期修繕計画の中身まで確認することが欠かせません。

区分マンション購入前の点検ステップ


管理組合の運営状況・出席率を確認

修繕積立金の残高と計画を確認

立地・築年数と改正の相性を確認

利回りと価格上昇のバランスを試算

区分マンション投資 点検チェックリスト

  • ☐ 検討している物件の管理組合が、総会をきちんと開催・運営できているか確認したか
  • ☐ 修繕積立金の残高が、将来の大規模修繕に対して十分か確認したか
  • ☐ 建て替えや一括売却の可能性がある場合、その立地が再開発の対象になりやすいか確認したか
  • ☐ 価格上昇率だけでなく、表面利回りとのバランスを見たか

以前の記事(大阪の貸家着工46%増、投資家が見るべき点)でもお伝えしたとおり、供給や制度が動く局面ほど、相場データだけを見て「今が買い時」と判断するのではなく、個別の物件・管理組合の実情を確認する視点が欠かせません。

不動産投資のご相談はこちら

大阪エリアでの区分マンション投資をご検討中の方、法改正を踏まえた物件選び・管理組合の状況確認でお悩みの方は、株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。

TEL:06-6195-8209

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よくある質問

Q1. 改正区分所有法は、すでに持っている区分マンションにも影響しますか?
A1. はい。2026年4月1日以降、既存の分譲マンションの管理組合にも新しい決議ルールが適用されます。

Q2. 正直、法律が変わったと言われても実感がわかないのですが?
A2. 出席者ベースの多数決になったことで、これまで塩漬けになっていた大規模修繕や建て替えの議論が動き出す可能性があります。保有物件の管理組合の動きを確認してみるとよいでしょう。

Q3. 区分マンションは今から買っても遅くないですか?
A3. 価格は過去最高値圏にありますが、制度改正で管理・再生が進めやすくなった物件も増えています。価格だけでなく管理状況を見極めることが重要です。

Q4. 修繕積立金が安い物件は、お得なのでしょうか?
A4. 一概には言えません。分譲時の積立金は意図的に低く設定されていることが多く、将来の値上げや一時金徴収の可能性を織り込んで判断する必要があります。

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