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実家が「未登記建物」だった?相続の手続きと費用

相続・空家

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

結論を先にお伝えします。固定資産税の納税通知書が毎年届いていても、その家が登記されているとは限りません。登記簿に記録がない建物(未登記建物)は、そのままでは売ることも住宅ローンの担保にすることもできません。しかも法律上は、所有権を取得した日から1か月以内に「表題登記」を申請する義務があり、怠ると10万円以下の過料(罰金のようなもの)の対象になります(不動産登記法47条1項・164条1項)。

「実家の名義を変えようと法務局に行ったら、『この建物の登記はありません』と言われた」——昔からある家ではよくある話です。あわてなくて大丈夫ですので、順番に整理していきましょう。

「未登記建物」とは

建物を新築したときには、まず法務局に「表題登記(ひょうだいとうき)」を出します。これは「ここにこういう建物があります」と登記簿に家の戸籍を作る手続きです。これがされていない建物を未登記建物といいます。

昔は、現金で建てた家や、増築した部分について、この手続きをしないままになっているケースがありました。登記がなくても市区町村は「家屋補充課税台帳」という別の帳簿で所有者を把握して課税します。だから税金の通知だけはきちんと届くのです。ここが見落としの原因になります。

まず確かめること

  • ☐ 固定資産税の課税明細書を見て、家屋の「家屋番号」が空欄、または「未登記家屋」と書かれていないか
  • ☐ 法務局で登記事項証明書(書面請求1通600円)を取ってみて、「該当する登記記録がない」と言われないか
  • ☐ 建物を建てたときの図面・確認済証・検査済証が家の中に残っていないか
  • ☐ 母屋は登記済みでも、車庫・物置・増築部分だけ未登記になっていないか

課税明細書の見方は自治体ごとに少し違います。家屋番号が空欄でも別の理由であることがあるため、最終確認は法務局で行ってください。親の不動産を一通り洗い出す手順は「親の不動産」を全部調べる3つの方法|名寄帳と新制度でも整理しています。

未登記のままだと何が困るのか

いちばん困るのは売れないことです。登記簿がないので買主へ名義を移す登記ができず、金融機関も抵当権を設定できません。つまり住宅ローンを使う買主には売れません。また、相続人が複数いるまま時間が経つと、権利を持つ人がどんどん増えていきます。

手続きの流れ

①
課税明細で確認
→
②
法務局で登記の有無を確認
→
③
遺産分割協議で取得者を決める
→
④
表題登記
(土地家屋調査士)
→
⑤
所有権保存登記
(司法書士)

④と⑤をセットで行うと、相続人の名前で建物の登記簿ができあがります。建物については、この流れが「相続登記」の代わりになります。土地が登記されている場合は、土地の相続登記は別に必要です(土地の必要書類は相続登記の必要書類は?戸籍謄本の集め方と過料10万円をご覧ください)。

あわせて、固定資産税の窓口にも届け出が必要です。大阪市の場合、未登記家屋の所有者が変わったときは「家屋変更届出書」を、物件がある区を担当する市税事務所の固定資産税(家屋)グループへ提出します(郵送は可、電話・ファックス・メールでは受け付けていません)。また、1月1日より前に所有者が亡くなっていた場合は、別に「現所有者に関する申告」が必要になります。

費用の目安

手続き 頼む相手 費用の目安
登記事項証明書の取得 自分(法務局) 書面請求1通600円
建物の表題登記 土地家屋調査士 8〜12万円程度
所有権保存登記 司法書士 報酬3〜7万円+登録免許税(評価額×0.4%)

登録免許税の税率0.4%は国税庁の税額表で確認できます。土地家屋調査士・司法書士の報酬は各事務所が公表する目安であり、建物の規模や図面が残っているかで変わるため、複数の事務所に見積もりを取るのが確実です。

解体するだけなら登記はいらない?

登記簿がまったくない建物であれば、法務局への建物滅失登記は原則として不要です(登記されている建物なら、法務局に建物滅失登記を申請します)。

一方で、固定資産税は市区町村が別の帳簿で管理しています。取り壊したことが伝わらないと、翌年度も家屋の固定資産税が課税され続けるおそれがあります。大阪市は未登記家屋の取り壊しについて届出様式を公表していないため、物件所在区を担当する市税事務所(固定資産税・家屋グループ)に電話で確認してください。

土地の側では、大阪市では「住宅用地に関する異動申告書」の提出が必要で、期限は取り壊した年の翌年1月31日です。建物をなくすと土地の住宅用地特例が外れます(空き家の固定資産税が6倍に?「住宅用地特例」除外の仕組み)。解体費用そのものは空き家の解体費用相場は?解体前の確認ポイント7つにまとめています。

相続した不動産・空き家のご相談はこちら

実家や親族の不動産を相続して何から手をつければよいか分からない方、所有している空き家の活用・売却・解体を検討中の方、どちらのご相談も株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。未登記建物のように「売る前にひと手間必要な物件」も、提携の土地家屋調査士・司法書士とあわせてご相談いただけます。

お電話:06-6195-8209

お問い合わせフォームはこちら

よくある質問

Q. 固定資産税の通知が毎年届いているのに、未登記ってあり得るんですか?
A. あり得ます。未登記の家屋も市区町村の家屋補充課税台帳に登録されて課税されるため、通知が届くことと登記があることは別の話です。

Q. 未登記のままでも売れますか?
A. 買主へ名義を移す登記ができず、住宅ローンの抵当権も設定できないため、実際には売却が難しくなります。先に表題登記と所有権保存登記を済ませるのが基本です。

Q. 1か月を過ぎてしまいました。もう手遅れですか?
A. 手遅れではありません。期限を過ぎても表題登記は申請できます。気づいた時点でできるだけ早く、土地家屋調査士や法務局に相談してください。

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