その修繕積立金、いつか上がる約束です!区分を買う前にの画像

その修繕積立金、いつか上がる約束です!区分を買う前に

不動産投資

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

結論を先にお伝えします。分譲マンションの管理状態を★の数で採点して公開する「マンション管理適正評価制度」の登録が、2026年9月末で13,449件になりました(マンション管理業協会、2026年10月13日発表)。大阪府は1,296件で、東京都・神奈川県に次ぐ全国3位です。そして、長期修繕計画がきちんと整っている8,627件に限ってみても、修繕積立金を「段階増額方式」=これから値上げしていく前提で集めているのが67.0%でした。「利回りを計算して買ったのに、あとから積立金が上がって手残りが減った」——区分マンション投資でいちばん多い誤算が、この数字に表れています。

「管理の星」とは何か

管理会社が管理組合の合意を得て申請し、約30の項目を採点して、★0から★5までの6段階で公開する仕組みです。評価結果は専用サイトで誰でも見られます。つまり、買う前に、その建物の管理の中身を外から確かめられるということです。

項目 数字(2026年9月30日時点)
登録件数 13,449件(前の四半期から+1,181件)
大阪府の登録件数 1,296件(全国3位。近畿全体で全国の約20%)
★5の割合 37.0%
★4の割合 43.1%
★3以下の割合 約20%

(マンション管理業協会「マンション管理適正評価制度 登録状況等について」2026年10月13日発表)

サラリーマン投資家が買う物件ほど、星は伸びにくい

ここが今回いちばんお伝えしたいところです。星の付き方には、はっきりした偏りがあります。

区分 ★5の割合
400戸以上の大規模 78.0%
50戸未満の小規模 30.5%
2021年以降に建った物件 63.6%
1971〜1980年に建った物件 7.1%

(同協会調べ。登録13,449件のうち、戸数別・竣工年別の集計)

副業として買いやすいのは、たいてい「小規模」で「築年数の経った」区分です。つまり、星が伸びにくい層を買っていることになります。これは物件が悪いという話ではありません。小規模なマンションは、そもそも管理組合の人数が少なく、積立金の総額も小さいため、点が取りにくい構造にあるということです。

買う前に見る3つの数字

  • ☐ ①修繕積立金の集め方 長期修繕計画が整っている8,627件でみると、毎月同じ額を集める「均等積立方式」は33.0%、将来値上げする前提の「段階増額方式」が67.0%です。段階増額の物件を買うと、買った後に自分の負担が上がります。
  • ☐ ②計画どおりに集まっているか 段階増額方式で「計画どおりに集められている」のは、★5の物件で90.1%、★4で73.2%、★3では45.2%まで下がります。★3は、半分以上が計画より少ない金額しか集められていません。値上げの決議が通らなかった、ということです。
  • ☐ ③修繕積立金の額が国の基準を満たしているか 国の基準額を満たしているのは84.9%。残りの13.6%は、基準に届かないか、そもそも長期修繕計画が総会で承認されていないため計算すらできない状態です。

①と②が重なった物件、つまり「段階増額方式なのに、計画どおり集められていない」物件は要注意です。いずれ大規模修繕の直前に、一時金として数十万円を請求される可能性があります。実際、将来の一時金徴収を計画に織り込んでいる物件が5.2%ありました。

大阪には、そもそも星の土俵に乗っていない物件があります

ここは大阪で築古の区分を探す方に、必ずお伝えしたいところです。この評価制度は、管理会社が管理組合の合意を得て申請する仕組みです。つまり、管理会社がいない「自主管理」のマンションは、そもそも登録されません。

大阪の古い分譲マンションには、いまも自主管理の物件が残っています。回覧板を回し、掃除当番を住人で回しているような建物です。そうした物件では、こういうことが起きています。

  • ☐ 住んでいる方が高齢になり、掃除当番が回らなくなる
  • ☐ では管理会社に頼もうとなっても、そもそも管理費を集めていないので、外注するお金がない
  • ☐ 負担に耐えかねた所有者が、買取業者へ安く売る

相場より明らかに安い区分が出てくる理由は、立地でも築年数でもなく、ここにあることがあります。そしてその負担は、買った人が引き継ぎます。次の掃除当番と理事の順番は、あなたに回ってきます。

この層は、統計からも見えにくくなっています。国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」も、調査票の配布がマンション管理業協会の会員各社と管理センターの登録名簿を通じて行われており、自主管理型は約10%しか含まれていません(国土交通省、2024年6月公表)。同じ調査では、管理組合が将来に不安を感じる項目の1位が「区分所有者の高齢化」で57.6%、2位が「居住者の高齢化」で46.1%、3位が「修繕積立金の不足」で39.6%でした。小規模なマンションほど、組合員名簿や緊急連絡先すら整備されていない傾向も示されています。

「星がない」には2種類あります。 まだ登録していないだけの物件と、申請する管理会社がそもそもいない物件です。この2つは、買った後の手間がまったく違います。見分け方は難しくありません。重要事項調査報告書を取り寄せ、管理会社の名前が入っているか、管理費と修繕積立金が実際に毎月集められているかを見てください。管理費がゼロ、積立金の残高もほぼゼロという物件は、価格の安さと引き換えに、修繕のたびに一時金を出す建物だと考えたほうが安全です。

耐震と、大阪の事情

登録物件のうち旧耐震基準のものは6.5%でした。そのうち、耐震診断すら受けていないのが70.1%です。大阪市は旧耐震の分譲マンションが多く、府・市も対策を進めています。この点は旧耐震15万戸の大阪、10月下旬に耐震診断の新制度でお伝えしました。関西の築古区分を検討する方は、合わせてご覧ください。

星が低い物件は「伸びしろ」でもあります

星は、建物の古さだけで決まるわけではありません。採点の中には、管理規約に必要な条文があるか、長期修繕計画が国の様式どおりに作られているか、といった書類を整えれば直せる項目が含まれています。たとえば、国が示した8項目すべてに沿って規約を改正できている物件は80.7%。長期修繕計画がすべての要件を満たしているのは61.8%にとどまります。

裏を返せば、★3の物件でも、規約の改正と計画の作り直しで★4に上がる余地があるということです。1980年以前に建った物件でも★5を取っているところが7.1%ある、というのはその証拠です。買った後、管理組合の総会で発言する価値は十分にあります。

区分マンション投資・相続した物件のご相談はこちら

これから大阪で区分マンションを買おうとお考えのサラリーマン投資家様も、すでにお持ちの物件の管理や修繕積立金の負担にお悩みのオーナー様も、株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。相続で引き継いだ区分マンションの扱いについてのご相談も承っています。

TEL:06-6195-8209

お問い合わせフォームはこちら

よくある質問

Q. この星って、どこで見られるんですか。
A. 「マンション管理適正評価サイト」で公開されています。ただし登録は任意なので、載っていない物件も多くあります。その場合は重要事項調査報告書で管理の中身を確かめてください。

Q. 星が付いていない物件は買わないほうがいいですか。
A. そうとは限りません。ただし「まだ登録していないだけ」なのか「管理会社がいない自主管理」なのかは分けて考えてください。後者は掃除当番と理事の順番がそのまま回ってきます。

Q. 相場よりずいぶん安いんですが、何か裏がありますか。
A. 大阪の築古では、自主管理の負担に耐えかねた所有者が買取業者へ安く売ったケースがあります。管理費と修繕積立金を実際に集めているか、残高はいくらかを先に確かめてください。

Q. 買った後に修繕積立金が上がったら、利回りはどれくらい下がりますか。
A. 月1万円の値上げは、年12万円の収入減と同じです。物件価格2,000万円なら表面利回りで0.6%分に相当します。購入前に長期修繕計画の値上げ予定を確認してください。

関連記事

参考

”不動産投資”おすすめ記事

  • 金利が何%になったら、売りますかの画像

    金利が何%になったら、売りますか

    不動産投資

  • 5年以内に買った賃貸物件、相続税は時価評価へ!通達案の画像

    5年以内に買った賃貸物件、相続税は時価評価へ!通達案

    不動産投資

  • 日銀「さくらレポート」近畿判断と投資家の3つの視点の画像

    日銀「さくらレポート」近畿判断と投資家の3つの視点

    不動産投資

  • 転勤した区分オーナー注意 住所変更登記で最大5万円の過料の画像

    転勤した区分オーナー注意 住所変更登記で最大5万円の過料

    不動産投資

  • 倒産は12%減、不動産業だけ23%増 投資家が見る4点の画像

    倒産は12%減、不動産業だけ23%増 投資家が見る4点

    不動産投資

  • 旧耐震15万戸の大阪、10月下旬に耐震診断の新制度の画像

    旧耐震15万戸の大阪、10月下旬に耐震診断の新制度

    不動産投資

もっと見る