旧耐震15万戸の大阪、10月下旬に耐震診断の新制度の画像

旧耐震15万戸の大阪、10月下旬に耐震診断の新制度

不動産投資

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

結論から申し上げます。大阪府が2026年10月下旬から、旧耐震基準の分譲マンションの管理組合に向けて、耐震診断を手伝える事業者の情報を無料で提供する新制度「耐震知っとこ!サポ」を始めます。「相場より安いから買ったけれど、この建物、地震で大丈夫なんだろうか」——古い区分マンションを持つ方、これから買う方が一度は考える不安だと思います。安さの理由が耐震にあるなら、見るべき数字は利回りだけではありません。

大阪の旧耐震マンションは約15万戸

大阪府によると、府内の分譲マンション約76万戸のうち、昭和56年(1981年)以前の旧耐震基準で建てられたものが約15万戸あります(大阪府ホームページ、2026年10月7日更新)。

「旧耐震」とは?
1981年5月31日以前に建築確認を受けた建物のことです。1981年6月1日から新しい耐震基準が使われるようになったため、この日を境に建物の強さの前提が変わっています。築年数ではなく「建築確認を受けた日」で決まる点にご注意ください。

府は、南海トラフ地震で湾岸南部エリアの一部が震度6強、上町断層帯の地震では一部で震度7になると想定しています(大阪府)。そのうえで10月下旬から、旧耐震マンションの耐震診断の実績など一定の要件を満たす事業者を登録し、管理組合からの初期相談や概算見積りの作成までを担ってもらう「耐震知っとこ!サポ」の情報提供を始めます。すでに2018年度から、検討段階から改修まで続けて支援する「耐震やっとこ!サポ」という制度があり、今回はその手前の、最初の一歩を押す制度という位置づけです。

耐震診断をしている組合は3割ほど

マンションみらい価値研究所が旧耐震基準のマンション200組合を調べたところ、耐震診断を実施した組合は33%(66組合)、未実施が64%(128組合)でした(同研究所調べ)。つまり古い物件の多くは、強さを測ってすらいない状態です。

ここが投資判断で効いてきます。耐震診断をしていない物件は、悪いとも良いとも分からない。そして診断の結果しだいでは、後から大きな工事費が修繕積立金から出ていくことになります。

補助金は「これから買う人」も使えます

大阪市の民間マンション向けの補助制度(令和8年度)は次のとおりです(大阪市ホームページ、2026年10月1日更新)。

補助の種類 補助率 限度額(1棟) 申請期限
耐震診断 3分の2 300万円 12月28日
耐震改修設計 3分の2 350万円 12月28日
耐震改修工事 3分の1 4,500万円 11月30日

対象は大阪市内の3階建て以上の非木造共同住宅で、昭和56年5月31日以前に建築確認を受け、検査済証の交付を受けたものです。注目していただきたいのは申請できる人で、分譲マンションの管理組合や賃貸マンションの所有者に加えて、「当該建物を取得する方」も含まれています。つまり、これから買う投資家も関係者になり得ます。なお大阪府も、市町村の補助に上乗せする形で耐震診断・改修設計に最大6分の1、耐震改修工事に最大12分の1を補助しています(大阪府)。期限や要件は年度ごとに変わるため、最新情報は必ず各自治体の窓口でご確認ください。

買う前に踏む5つの手順

①
重要事項調査報告書を取る
→
②
総会議事録を読む
→
③
耐震診断の有無を確認
→
④
長期修繕計画を見る
→
⑤
出口(売るとき)を考える

確認チェックリスト

  • ☐ 建築確認を受けた日が1981年5月31日より前か後か
  • ☐ 耐震診断をしたことがあるか、結果はどうだったか
  • ☐ 長期修繕計画に耐震改修が入っているか、入っていないか
  • ☐ 修繕積立金の残高と、1戸あたりの月額はいくらか
  • ☐ 総会で耐震の話題が出たとき、どんな反対意見があったか

特に大事なのは最後の1つです。耐震改修は管理組合の合意がなければ進みません。投資家の4割が知らない「改正区分所有法」でもお伝えしたように、決議のルールは見直しが進んでいますが、それでも住んでいる方・貸している方・空き家にしている方で意見は割れます。制度や補助金が整っても、最後は人の合意です。

出口のことも忘れずに

旧耐震の物件は、売るときに買主側が融資を受けにくい場合があります。また中古住宅の住宅ローン控除では、登記簿上の建築日が1982年1月1日以降であれば新耐震基準に適合しているとみなす扱いがあり、それより前の建物は耐震基準適合証明書などが別途必要になることがあります(国税庁)。要件は改正されることがあるため、購入前に国税庁のページと金融機関の双方で確認してください。大阪の中古マンション成約単価「7か月ぶり」下落のように相場が動く局面では、こうした「売りにくさ」が価格差になって表れやすくなります。

大阪の物件購入・耐震や管理のご相談はこちら

築年数の経った区分マンションやアパートの購入を検討中のサラリーマン投資家様、すでにお持ちの物件の耐震や修繕、管理でお悩みのオーナー様、どちらのご相談も株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。大阪の地域事情を踏まえてお答えします。

TEL:06-6195-8209

お問い合わせフォームはこちら

よくある質問

Q. 旧耐震のマンションって、買ったら損なんでしょうか。

A. 一概には言えません。価格が安い分、利回りは高くなります。耐震診断の有無と修繕積立金の残高を確認し、将来の工事負担を織り込めるかどうかで判断してください。

Q. 「耐震知っとこ!サポ」は個人の区分所有者でも使えますか。

A. 想定されている利用者は管理組合です。個人で使う制度ではありませんが、総会で提案する材料としては有効です。

Q. 築40年でも新耐震のことがありますか。

A. あります。基準は築年数ではなく建築確認を受けた日です。1981年6月1日以降に確認を受けていれば新耐震の扱いになります。

関連記事

参考

”不動産投資”おすすめ記事

  • 貸家着工5か月連続増、近畿圏は全国の2倍の画像

    貸家着工5か月連続増、近畿圏は全国の2倍

    不動産投資

  • その物件、本当に売れるのか?の画像

    その物件、本当に売れるのか?

    不動産投資

  • 借入金利DI70、それでも融資が止まらない理由の画像

    借入金利DI70、それでも融資が止まらない理由

    不動産投資

  • 大阪の中古マンション成約単価「7か月ぶり」下落の画像

    大阪の中古マンション成約単価「7か月ぶり」下落

    不動産投資

  • 大阪市新築「国外取得5.5%」国交省データで見る注意点の画像

    大阪市新築「国外取得5.5%」国交省データで見る注意点

    不動産投資

  • 金融庁「不動産業向け融資」重点点検、投資家が備えるべきことの画像

    金融庁「不動産業向け融資」重点点検、投資家が備えるべきこと

    不動産投資

もっと見る