
倒産は12%減、不動産業だけ23%増 投資家が見る4点
結論から申し上げます。2026年9月の企業倒産は全国で800件と前年同月より12.0%減りましたが、不動産業だけは32件で23.1%増えました(帝国データバンク、2026年10月8日発表)。「自分の物件の心配ばかりしていたけれど、相手の会社が倒れたらどうなるんだろう」——そう思われた方に、今日は「物件」ではなく「取引相手」の点検をおすすめします。家賃も手付金も、いったん他社の口座を経由します。そこが詰まると、利回りの計算は意味をなくします。
発表された数字
帝国データバンクが2026年10月8日に公表した「倒産集計 2026年9月報」の主な数字です。
| 項目 | 2026年9月 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 全国の倒産件数 | 800件 | ▲12.0%(前年909件) |
| 負債総額 | 1,029億4,600万円 | +4.4% |
| うち不動産業 | 32件 | +23.1%(前年26件) |
| 近畿地方 | 232件 | ▲6.1%(前年247件) |
| うち大阪府 | 118件 | 前年131件から減少 |
(いずれも帝国データバンク調べ)
全国の倒産は4か月ぶりに前年を下回りました。近畿も4か月ぶりの減少で、大阪府は131件から118件へ、京都府は41件から22件へと減っています。地域の景色は悪くなっていません。それでも不動産業だけは2か月ぶりに前年を上回りました。
数字の読み方について、正直に申し上げます
不動産業の32件という数字は、母数が小さいため月ごとのぶれが大きく出ます。1か月の増加だけで「不動産業が危ない」と決めつけるのは乱暴です。
ただ、月単位ではなく半年単位で見ると、流れは別の顔を見せます。2026年度上半期(4〜9月)の全国の倒産は5,362件で前年同期比4.2%増、半期としては10期連続の増加です(帝国データバンク、2026年10月8日発表)。また9月の倒産では、主な原因が「販売不振」だったものが651件・全体の81.4%を占めています(帝国データバンク調べ)。月によって減ることはあっても、物が売れにくくて行き詰まる会社は増え続けている、という見方が実態に近いと考えています。
なぜ投資家に関係があるのでしょうか
区分マンションを1戸持っているサラリーマン投資家の方でも、お金は必ず他社の手を通ります。身近な例でいえば、自動販売機のお金が業者の手を経て入ってくるのと同じで、途中の誰かが止まると自分の手元にも届きません。
関係する「相手」は、だいたい次の4つです。
管理会社
サブリース・家賃保証会社
売主
工事会社
①管理会社:家賃は「分けて」預かられているか
入居者が払った家賃は、まず管理会社の口座に入り、そこからオーナーに送られます。もしこのお金が管理会社の運転資金と混ざっていると、会社が倒れたときに取り戻すのが極端に難しくなります。
ここには法律の決まりがあります。賃貸住宅管理業法(2021年6月15日に全面施行)の第16条で、管理会社は入居者やオーナーから預かったお金を、自社のお金と分けて管理する義務があります。「財産の分別管理」といいます。家計にたとえれば、子どものお年玉を自分の財布に混ぜず、別の封筒で預かっておくようなものです。
ただし義務があることと、実際に守られていることは別です。契約書を開いて、家賃がいつ・どの口座から送られてくるかと、送金が遅れたときの取り決めを確認してください。管理会社の処分歴は、1分で調べられますでご紹介した国土交通省の検索ページを使えば、登録の有無と行政処分の履歴をその場で調べられます。
②サブリース・家賃保証会社:止まったときに誰がかぶるか
サブリース(会社が一括で借り上げて、空室でも一定額をオーナーに払う方式)の場合、会社が倒れると支払いもそこで止まります。レオパレスTOB、家主が確認すべき契約3点でも書いたとおり、親会社が変わるだけなら契約は続きますが、借り上げている会社そのものが倒れる場合は話が違います。
入居者の家賃を保証する「家賃債務保証会社」も同じです。保証会社が倒れると、滞納があったときの立て替えがなくなり、回収はオーナーの手に戻ってきます。保証会社の社名を言えるかどうかは、意外と大事な確認事項です。
③売主:未完成の物件なら、手付金の保全を見る
これから買う方に関わる話です。宅地建物取引業者が売主になる取引で、手付金などが一定額を超えるときは、宅地建物取引業法にもとづく「保全措置」が必要になります。保全措置とは、引き渡し前に売主の会社に万一のことがあっても、手付金が買主に返ってくるようにしておく仕組みです。
おおまかな線引きは次のとおりです。
| 物件の状態 | 保全措置が必要になる目安 |
|---|---|
| 工事完了前(未完成) | 手付金等が代金の5%超、または1,000万円超 |
| 工事完了後(完成済) | 手付金等が代金の10%超、または1,000万円超 |
保全の方法は、銀行等の保証や保険会社の保証保険などです。重要事項説明のときに「保全措置はどうなっていますか」と聞いてください。
④工事会社:前払いしたお金は戻らないことがある
リフォームや大規模修繕で、着工前に代金の一部を払う形はよくあります。ここで工事会社が倒れると、前払い分はほぼ戻りません。金額が大きい工事では、支払いを工事の進み方に合わせて分ける(着工時・中間・完成時)だけでも守りになります。
今日できるチェックリスト
- ☐ 管理委託契約書の「家賃の送金日」と「遅延時の取り決め」を読み直した
- ☐ 家賃債務保証会社の社名と、保証の範囲(滞納・原状回復・残置物)を確認した
- ☐ 管理会社が賃貸住宅管理業の登録を受けているか、処分歴がないかを調べた
- ☐ サブリース契約なら、会社が支払えなくなった場合の解約条項を読んだ
- ☐ 購入予定の物件で、手付金の保全措置の有無を確認した
金融庁「不動産業向け融資」重点点検、投資家が備えるべきことでもお伝えしたとおり、いまは金融機関の側も不動産業向けの融資を丁寧に見ている時期です。相手の会社の体力を気にする投資家が増えるのは、むしろ健全なことだと考えています。
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これから大阪で物件を買おうとお考えのサラリーマン投資家様も、すでに賃貸物件をお持ちで管理会社やサブリース契約の中身を点検したいオーナー様も、株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。大阪の市場の実情を踏まえてご相談に応じます。
TEL:06-6195-8209
よくある質問
Q. 管理会社が倒産したら、預けていた敷金や家賃は戻ってこないんですか。
A. 賃貸住宅管理業法では自社の財産と分けて管理する義務がありますが、実際に混ざっていた場合は回収が難しくなります。送金のサイクルが長い契約ほど、止まったときの被害が大きくなります。
Q. 不動産業の倒産が増えているなら、今は買わないほうがいいですか。
A. 1か月の件数だけで判断する必要はありません。全国の倒産件数そのものは12.0%減り、大阪府も減少しています。買うかどうかより、誰から買い、誰に任せるかを確かめることのほうが効果が大きいと考えています。
Q. 取引相手の会社の体力は、どうやって調べればよいですか。
A. 宅地建物取引業者や賃貸住宅管理業者は、国土交通省の検索ページで登録と処分歴を確認できます。決算情報は法人であれば官報や信用調査会社の情報が手がかりになります。
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