
「実家が借地だった」相続に地主の承諾は必要?承諾料の目安
結論を先にお伝えします。相続で借地(他人の土地を借りて建てた家)を引き継ぐとき、地主さんの承諾は法律上必要ありません。「名義書換料を払ってください」と言われても、相続の場合は払う法的な義務はないのが原則です。一方で、その家を売るときには地主さんの承諾が必要になり、ここで承諾料(譲渡承諾料)の話が出てきます。
「実家の登記簿を取ったら、建物だけ親の名前で、土地は知らない人の名前だった」。こういうご相談は珍しくありません。あわてず、順番に進めれば大丈夫です。
まずやることは、この5ステップ
契約書を探す
地主へ相続の連絡
建物の相続登記
地代を払い続ける
売る/返すを決める
ポイントは③と④です。借地は、土地ではなく建物の登記が自分の権利を守る看板になります。借地借家法10条1項は、建物の登記があれば借地権を第三者に主張できると定めています。親の名義のまま放っておかず、早めに自分の名義へ変えてください。相続登記は2024年4月から義務になっており、期限は原則3年です(くわしくは相続登記の必要書類は?戸籍謄本の集め方と過料10万円をご覧ください)。
そして④。地代を止めてはいけません。誰が払うか決まらない間も、支払いが途切れると契約を解除される口実になります。
探しておきたい書類チェックリスト
- ☐ 土地賃貸借契約書(借地契約書)
- ☐ 地代の領収書・通帳の振込履歴
- ☐ 建物の登記事項証明書(法務局で取得・1通600円)
- ☐ 固定資産税の納税通知書(土地の分は届きません)
- ☐ 更新時の覚書・合意書
- ☐ 地主さんの名前・連絡先
契約書が1992年8月1日より前のものなら「旧法の借地権」です。木造なら期間30年など、現在の借地借家法とは中身が違います。古い契約ほど借主に有利な面もあるので、捨てずに保管してください。
「承諾がいる・いらない」の違い
| どんな場合か | 地主の承諾 | 根拠 |
|---|---|---|
| 相続人が相続で引き継ぐ | 不要 | 包括承継(民法896条) |
| 相続人以外への遺贈 | 必要 | 賃借権の譲渡(民法612条) |
| 第三者へ売る | 必要 | 賃借権の譲渡(民法612条) |
売るときの承諾料は、借地権の価格の10%程度が目安とされます(東京地裁の運用をもとにした相場で、法律で決まった金額ではありません)。もし地主さんが承諾してくれない場合は、裁判所に「承諾に代わる許可」を求める借地非訟という手続きが使えます(借地借家法19条)。地主さんに買い取ってもらう、地主さんと一緒に土地と建物をまとめて売る、という選択肢もあります。売り方の違いは空き家売却「仲介」と「買取」どっちが得?違いを解説もあわせてどうぞ。
税金はどうなる
相続税では、借地権も財産として評価します。土地の評価額に、その地域の「借地権割合」をかけて計算します(国税庁の路線価図で確認できます)。
売ったときの「空き家の3000万円特別控除」は、対象となる敷地に土地の上に存する権利も含まれると定められているため、借地権でも他の要件を満たせば使える余地があります。ただし要件が細かいので、必ず事前に税務署か税理士へご確認ください(制度の全体像は空き家「3000万円特別控除」とは?条件を解説で解説しています)。
つまずきやすい3つの失敗
- 黙って解体・建て替えをする…契約書に「増改築には承諾が必要」とある場合が多く、無断で進めると解除リスクがあります。
- 承諾料を言われたまま払う…相続では義務がないのが原則。金額の根拠を聞き、書面で確認してから判断してください。
- 相続放棄の判断を後回しにする…建物が古くて価値が低く、地代だけ出ていく場合は放棄も選択肢です。期限は原則3か月です。
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よくある質問
Q. 地主さんから「相続したなら名義書換料を払って」と言われました。払わないといけませんか?
A. 相続による引き継ぎは譲渡ではないため、原則として支払う法的義務はありません。金額の根拠を確認し、納得できない場合は専門家にご相談ください。
Q. 土地の固定資産税は私が払うのですか?
A. 土地の固定資産税は所有者である地主さんが納めます。相続人が払うのは建物分の固定資産税と、毎月の地代です。
Q. 借地の実家は売れますか?
A. 売れます。ただし地主さんの承諾が必要で、承諾料がかかるのが通例です。承諾が得られない場合は裁判所の借地非訟という手続きもあります。
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