
その物件、本当に売れるのか?
2026年9月30日、国土交通省は「既存住宅販売量指数」の令和8年6月分を公表し、全国で前月比4.4%増となりました。同じ日に公表された「法人取引量指数」は前月比8.7%増で、法人(会社)の動きのほうが大きくなっています。「今売ったら高く売れるのか、それとも待つべきなのか」と迷っているサラリーマン投資家の方は、価格のニュースだけでなく、この「量」の数字も見てください。
「量」の指数とは何か
不動産のニュースは、ほとんどが「価格」の話です。しかし価格が上がっていても、実際に売買が成立していなければ、自分の物件は売れません。そこで役に立つのが、国土交通省が試験的に公表している2つの指数です。
- 既存住宅販売量指数…登記のデータから、個人が買った中古住宅が何件あったかを指数にしたものです。
- 法人取引量指数…同じ登記のデータから、法人(会社)が買った不動産が何件あったかを指数にしたものです。住宅だけでなく、店舗や事務所などの非住宅も含まれます。
どちらも2010年の平均を100としています。「何件動いたか」という量だけを表し、価格は含みません。
令和8年6月の数字
| 指数(季節調整値) | 6月の値 | 前月比 |
|---|---|---|
| 既存住宅販売量指数(合計) | 131.3 | +4.4% |
| 法人取引量指数(合計) | 293.1 | +8.7% |
| うち 住宅 | 319.6 | +6.1% |
| うち 戸建住宅 | 376.6 | +5.2% |
| うち マンション | 265.9 | +5.1% |
| うち 非住宅(店舗・事務所など) | 244.8 | +13.1% |
(国土交通省、2026年9月30日公表。いずれも2010年平均=100の季節調整値)
「季節調整値」とは、季節による増減のクセを取り除いた数字です。たとえば引っ越しは3月に増えますが、そのぶんを差し引いて比べられるようにしたものです。
前の月(5月分)は、既存住宅販売量指数が前月比3.5%減、法人取引量指数が同5.2%減でした(国土交通省調べ)。つまり6月は、個人も法人も、5月の落ち込みから戻しています。
法人の伸びが大きいことの意味
目を引くのは、法人のほうが伸びが大きいという点です。特に非住宅が前月比13.1%増と目立ちます。
数字の読み方に注意
2つの指数は数え方も対象も違うので、「293.1と131.3」という水準を並べて「法人は個人の2倍動いている」と読むのは正しくありません。言えるのは、2010年からの伸び方が、法人のほうがずっと大きいということです。
サラリーマン投資家にとっての意味は、おおむね2つです。
- 売るときには味方になる…量が増えている局面では、買い手が市場にいるということです。手持ちの物件を売って現金に変えたい(これを「出口」と呼びます)なら、量の数字が上向いているかを確認する価値があります。
- 買うときには注意がいる…法人の動きが強い分野、特に店舗や事務所などの非住宅は、資金力のある会社と値段で競うことになります。同じ土俵で張り合うのは不利です。
新築の供給も増えています。2026年8月の新設住宅着工戸数は6万3,974戸で前年同月比6.1%増、うち貸家は2万8,309戸で同6.5%増と、5か月連続のプラスでした(国土交通省調べ)。中古も新築も「量」が動いているのが、いまの局面です。
この数字を使うときの注意点
- ☐ 試験運用の指数であることを理解する(数字が後から修正されることがあります)
- ☐ データの時点を確認する(今回は6月分。公表は9月末で、約3か月の遅れがあります)
- ☐ 「前月比」か「前年同月比」かを混ぜない
- ☐ 価格の動きは別の統計(不動産価格指数など)で確かめる
- ☐ 全国の数字ではなく、自分のエリアの数字を見る
最後の点は特に大切です。国土交通省はこれらの指数を全国だけでなく地域ブロック別にも公表しています。大阪の物件を考えているなら、全国平均ではなく近畿圏の数字を確認してください。大阪市内の中古マンションの実勢については、大阪の中古マンション成約単価「7か月ぶり」下落や大阪中古マンション「ワニの口」7月縮小のカラクリも参考になります。
量の指数で
市場の動きを見る
価格の指数で
水準を見る
自分のエリアの
成約データで確かめる
売る・買うを
判断する
大阪・関西で考えるなら
近畿圏の中古戸建は在庫が長く増え続けており(近畿の中古戸建、在庫49カ月連続増―投資家の狙い目)、量が動いているといっても、種類やエリアによって状況はまったく違います。全国の指数は「追い風か向かい風か」を知る道具であり、個別の物件の判断は、最後は現地と近隣の成約事例で確かめるしかありません。
不動産投資・物件売却のご相談はこちら
これから区分マンションやアパートの購入を検討しているサラリーマン投資家様、すでにお持ちの物件の売却時期を迷っているオーナー様、どちらのご相談も株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。大阪市を拠点に、住宅と店舗テナントの両方の実勢を踏まえてお答えします。
TEL:06-6195-8209
まとめ
価格のニュースは目に入りやすい一方、「何件売れたか」は見落とされがちです。6月は個人の中古住宅購入が前月比4.4%増、法人の取引が同8.7%増。量は戻っています。ただし3か月前のデータであり、試験運用の指数です。追い風の有無を知る道具として使い、判断はご自分のエリアの数字で固めてください。
よくある質問
Q. 結局、いまは買い時なんでしょうか?それとも売り時ですか?
A. 全国の量の指数は上向いており、売却には追い風といえます。買う側は、法人と競合しにくい種類・エリアを選ぶことが大切です。最終判断は近隣の成約事例で確かめてください。
Q. 「既存住宅販売量指数」と「不動産価格指数」は何が違うのですか?
A. 前者は「何件売れたか」という量、後者は「いくらで売れたか」という価格を表します。どちらも国土交通省が公表しており、両方を見ると市場の姿がつかめます。
Q. 3か月前のデータでは、判断に遅すぎませんか?
A. 足元の判断には向きません。大きな流れを確認する用途に使い、直近の動きはレインズなどの月次の成約データで補ってください。
関連記事
- 大阪の中古マンション成約単価「7か月ぶり」下落
- 大阪中古マンション「ワニの口」7月縮小のカラクリ
- 近畿の中古戸建、在庫49カ月連続増―投資家の狙い目
- 区分マンション過去最高値3,001万円、大阪投資家の注意点
