
貸家着工5か月連続増、近畿圏は全国の2倍
2026年9月30日、国土交通省が建築着工統計調査報告(令和8年8月分)を公表しました。アパートなどの「貸家」の新築着工は28,309戸で前年同月比6.5%増、5か月連続の増加です。しかも近畿圏は住宅全体で12.3%増と、全国(6.1%増)の約2倍の伸びになっています。「今買って高値づかみにならないか」と迷っているサラリーマン投資家の方が見るべきなのは、価格や金利の数字だけではありません。これから自分の物件の近所に何戸建つのかです。
発表された数字
| 種類 | 2026年8月の着工戸数 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 持家(自分が住む家) | 17,713戸 | +1.0% |
| 貸家(アパート等) | 28,309戸 | +6.5% |
| 分譲住宅 | 16,838戸 | +6.4% |
| 合計(新設住宅) | 63,974戸 | +6.1% |
(国土交通省「建築着工統計調査報告(令和8年8月分)」2026年9月30日公表)
貸家の内訳は、民間のお金で建てられたものが25,667戸(+3.5%)、公的資金によるものが2,642戸(+47.7%)でした。公的資金の分は戸数自体が少ないため、率の大きさに驚く必要はありません。見るべきは民間の数字です。
「着工」は未来の予告です
着工とは、工事を始めた戸数のことです。ここが大事なところで、着工した建物はまだ空っぽです。
着工(今)
完成
入居募集が始まる
アパートで半年〜1年後
マンションで2〜3年後
つまり着工の数字は、「今の競合」ではなく「これから出てくる競合の予告」です。家賃が上がっているというニュースと、供給が増えているというニュースは、時間差で効いてきます。
近畿圏は何が起きているのか
近畿圏の2026年8月(前年同月比)
- 総戸数 +12.3%(全国は+6.1%)
- 分譲住宅 +35.5%
- うち分譲マンション +61.9%
(国土交通省調べ)
分譲マンションが増えることは、賃貸経営とも無関係ではありません。投資用に買われた部屋の一部は、数年後に賃貸として市場に出てきます。大阪市の基準地価6.7%上昇、投資家が見るべきエリア格差でお伝えしたように、関西の土地の値段は上がっています。値段が上がるエリアには、建てる側も集まるということです。
明日からできる確認作業
- ☐ 検討中の物件から徒歩10分圏を歩き、「建築計画のお知らせ」の看板を探す(戸数と完成予定日が書かれています)
- ☐ 市区町村の窓口で建築計画概要書を縦覧し、近隣の計画を確認する
- ☐ 賃貸ポータルサイトで、同じ駅・同じ間取りの「新築・築1年以内」の募集件数を数える
- ☐ 返済計画を「空室が年2か月+家賃を5%下げた場合」で作り直す
4つ目が一番大切です。多くの販売資料は満室想定で作られています。満室想定の利回りだけで判断すると、近所に新築が建った瞬間に計画が崩れます。
よくある失敗
築年数が経った物件は、近くに新築が建つと「家賃を下げる」か「設備を足す」かのどちらかを選ぶことになります。どちらもお金が出ていきます。買う前なら、その費用を購入価格の交渉材料にできますが、買った後では自腹です。
「もう持ち続けられないかもしれない」と思ったときに慌てて売ろうとしても、出口は自分の都合では選べません。中古市場の動き方についてはその物件、本当に売れるのか|中古市場は「量」で見るも合わせてご覧ください。
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よくある質問
Q. 着工が増えているなら、不動産は値下がりするのですか?
A. 直ちに値下がりするとは言えません。着工は数年後の供給を示す指標で、価格は金利や需要にも左右されます。
Q. 建築計画のお知らせの看板は誰でも見ていいのですか?
A. 工事現場の外から誰でも見られます。戸数・用途・完成予定が書かれており、将来の競合を知る手がかりになります。
Q. 近所に新築が建つと聞いて、焦って買うのをやめるべきでしょうか?
A. 判断を急ぐ必要はありません。空室2か月・家賃5%減で返済が回るかを計算し、回らないなら価格交渉か見送りを検討してください。
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