
「行政代執行」とは?空き家の解体費用は誰が払う?
この記事は、9月23日にお伝えした「特定空家」に指定される基準と流れを解説の続編です。前回は「助言・指導→勧告→命令→行政代執行」という流れを紹介しました。今回は、その最終段階である「行政代執行」に絞って解説します。
結論から言うと、行政代執行で空き家が解体されても、費用を払うのは所有者(相続人)です。払わなければ、税金を滞納したときと同じように財産を差し押さえられることがあります。「実家の空き家、役所がいつか片付けてくれるならそれでいいか」と考えている方ほど、ぜひ知っておいてください。
行政代執行とは?
行政代執行とは:所有者がやるべき対応(解体・修理・草木の伐採・ごみの撤去など)を、市区町村が所有者の代わりに行う仕組みです。「代わりにやってあげる」のではなく、「強制的に行い、あとで費用を請求する」制度だと考えてください。
空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)では、状況に応じて次の3つの種類があります。
| 種類 | どんなときに行われる? | 手続きの特徴 |
|---|---|---|
| 行政代執行 | 命令を受けても所有者が対応しないとき | 命令のあと、文書での予告(戒告)を経て実施 |
| 略式代執行 | 所有者が分からない・見つからないとき | 命令の代わりに「公告」(役所が広く知らせること)を行って実施 |
| 緊急代執行 | 台風の前など、倒壊の危険が差し迫っているとき | 命令などの手続きを省いて実施できる(2023年の法改正で新設) |
行政代執行までの流れ

「戒告」とは、「期限までに対応しなければ代執行をします」という最後の予告のことです。それでも対応がないと「代執行令書」で実施日や費用の見込みが知らされ、実際に工事が行われます。
費用は誰が払う?払わないとどうなる?
かかった費用は、工事のあとに文書で所有者へ請求されます。支払わない場合は「国税滞納処分の例」による強制徴収、つまり税金の滞納と同じ扱いで、預金や給与、ほかの不動産などが差し押さえられることがあります。
ポイント:2023年12月13日施行の改正空家法では、所有者が分からないまま行われた略式代執行や、緊急代執行の費用についても、あとで所有者が判明すれば同じように強制的に徴収できる仕組みが整えられました。「知らなかった」「連絡が来なかった」では済まない可能性があるのです。
また、代執行の工事業者は役所が選びます。自分で相見積もりを取って選ぶ場合と比べ、割高になりやすいとも言われます。自分で解体するときの費用の目安は空き家の解体費用相場は?解体前の確認ポイント7つで紹介しています。
行政代執行を避けるためのチェックリスト
- ☐ 市区町村から届いた「助言・指導」「勧告」などの通知を放置していない
- ☐ 登記簿の住所が今の住所になっている(通知が届く状態にしている)
- ☐ 相続人同士で、空き家の管理をだれが担当するか決めている
- ☐ 屋根・外壁・塀など、崩れそうな箇所を点検している
- ☐ 「売る・貸す・解体する」のどれにするか方針を話し合っている
通知が届いた段階で動けば、選べる道はまだたくさんあります。方針の決め方は空き家は「売る・貸す・解体」どれが正解?判断基準も参考にしてください。
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よくある質問
Q1. 行政代執行で解体してもらえば、自分で業者を探す手間がはぶけて楽ですか?
A1. おすすめできません。費用は結局所有者に請求され、業者も選べません。支払わなければ差し押さえの対象にもなります。
Q2. 相続放棄をすれば、行政代執行の費用は払わなくていいの?
A2. 相続放棄が認められれば、原則として相続人としての支払い義務は負いません。ただし放棄時に空き家を占有していた場合は保存義務が残るため、早めに専門家へご相談ください。
Q3. 行政代執行はいきなり行われることもありますか?
A3. 通常は助言・指導や勧告、命令を経ます。ただし倒壊が差し迫った緊急時は、手続きを省いた緊急代執行が行われることがあります。
