
「空家法」とは?放置するとどうなるかを解説
空き家を放置すると固定資産税が最大6倍に?「空家法」の基本
空き家をそのまま放置し、自治体から「特定空家等」に指定されて「勧告」を受けると、その土地にかかる固定資産税の優遇(住宅用地の特例)がなくなり、税額が最大6倍程度に跳ね上がることがあります。これは「空家法」、正式名称「空家等対策の推進に関する特別措置法」という国の法律に基づく仕組みです。今回は、この空家法の基本を、初めて聞く方にもわかるように整理します。
できた背景:人口減少や高齢化にともない、住む人がいなくなった家がそのまま放置されるケースが全国で増えました。屋根が崩れる、庭木が道路にはみ出す、不審者が入り込んで火事や犯罪の原因になる、といった問題が起きても、それまでは「所有者の財産だから」という理由で行政が対応しにくい状態でした。そこで、危険な空き家に行政が段階的に対応できるよう、2014年(平成26年)に空家法が成立しました。
「空家等」の定義:法律上の「空家等」とは、建物とその敷地のうち、「居住その他の使用がなされていないことが常態」である、つまりずっと人が住んだり使ったりしていない状態のものを指します。年に数回掃除に来る程度では「空家等」と判断されないこともあります。
厳しい措置の対象になるのは「特定空家等」だけ
空き家がすべて厳しい措置の対象になるわけではありません。次のいずれかに当てはまると市区町村が判断した空き家だけが「特定空家等」に指定されます。
| 特定空家等の要件 | 内容の例 |
|---|---|
| 保安上危険 | そのまま放置すれば倒壊するおそれがある状態 |
| 衛生上有害 | ゴミの放置や悪臭など、著しく衛生上有害な状態 |
| 景観の毀損 | 適切な管理がされず、著しく景観を損なっている状態 |
| その他生活環境の悪化 | 上記以外で、周辺の生活環境の保全のために放置が不適切な状態 |
市区町村の対応は段階的に進む
特定空家等に指定されても、いきなり取り壊されるわけではありません。次の順番で進みます。
| 段階 | 内容 | 所有者への影響 |
|---|---|---|
| ①助言・指導 | 「直してください」と促す、いちばん軽い対応 | 法的な強制力はまだない |
| ②勧告 | 改善がなければ、期限を決めて正式に勧告 | 固定資産税の住宅用地特例が外れ、税額が上がる |
| ③命令 | 勧告にも従わない場合、法的な義務として命令 | 従わないと過料の対象になり得る |
| ④行政代執行 | 命令にも従わない場合、市区町村が代わりに措置を実施 | 費用は後で所有者に請求される |
ポイント:とくにオーナーにとって重要なのは②の段階です。「勧告」を受けた時点で、まだ取り壊されていなくても、その敷地の固定資産税の住宅用地特例(更地より税金を安くする優遇措置)が外れ、税額が最大6倍程度に上がることがあります。行政代執行を待たずに発生する経済的な負担なので、注意が必要です。
知っておきたい限界
空家法は、建物1棟ごとに「使われていないか」を判断します。そのため、長屋のように1棟の中に複数の住戸がある建物では、隣の1軒が空き家でも、同じ棟の別の部屋に人が住んでいれば、この法律の対象になりません。大阪に多い長屋特有のこの問題については、別記事「なぜ大阪の『長屋』は国の空家法で動かせないのか」で詳しく解説しています。また、国もこうした長屋特有の課題に対応するモデル事業を始めており、別記事「大阪の『長屋』空室に国がモデル事業」でもご紹介しています。
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よくある質問
Q. 空家法はすべての空き家に適用されますか?
Q. 「特定空家等」に指定されると、すぐに強制撤去されますか?
Q. 空家法は、長屋のように1棟に複数の所有者がいる建物にも使えますか?
