
「外食特定技能」停止でも人手不足改善、大阪飲食店の一手
飲食店の人手不足、実は3年連続で改善傾向
「人が足りないのに、なぜ外国人まで採れなくなるの」と感じている大阪の飲食店経営者様も多いのではないでしょうか。結論から言うと、飲食店の人手不足は改善傾向にあるとはいえ依然として高い水準にあり、2026年4月から外国人材「特定技能(外食業)」の新規採用の窓口が閉じられたことで、採用の入り口を広げておく必要が出てきています。
帝国データバンクが全国2万3,083社を対象に行った調査(2026年4月分、2026年5月19日発表)によると、飲食店で非正社員(アルバイト・パートなど)が不足していると答えた企業の割合は59.1%でした(帝国データバンク調べ)。一見高い数字に見えますが、実はこの数字、2024年4月の74.8%、2025年4月の65.3%から3年連続で低下しています。背景には、スポットワーク(単発バイト)の普及や、値上げによる客数の落ち着きなどがあるとみられています(同調査)。
| 調査時点 | 飲食店の非正社員 人手不足割合 |
|---|---|
| 2024年4月 | 74.8% |
| 2025年4月 | 65.3% |
| 2026年4月 | 59.1% |
とはいえ59.1%という数字は、調査対象51業種の中でも「人材派遣・紹介」に次いで高い水準です。「人が足りない」という実感そのものは、まだまだ消えていないのが実情です。
外国人材の新規受け入れは、2026年4月から原則ストップ
そんな中、追い打ちをかけるような制度変更がありました。出入国在留管理庁の発表(2026年3月27日)によると、外食業分野の特定技能1号(在留期間内の外国人材)は、受け入れの上限とされる5万人に対し、2026年2月末時点ですでに約4万6千人まで到達。同庁は2026年4月13日以降、新規の在留資格認定証明書の交付を原則停止する措置を取りました(出入国在留管理庁発表)。すでに働いている方の転職や在留期間の更新は引き続き認められますが、「新しく外国人材を採用したい」という飲食店にとっては、この入り口が事実上閉ざされた形です。
背景にあるのは、円安と「稼ぎに来る価値」の低下
受け入れの上限到達という制度上の理由だけでなく、もう一つ見逃せないのが、日本がそもそも外国人材にとって「稼ぎに来たい国」であり続けられるかという、より根の深い変化です。かつて技能実習生の主要な送り出し国だった中国では、国内の経済発展にともなって賃金水準が上がり、わざわざ日本に出稼ぎに来る動機自体が薄れつつあると指摘されています。厚生労働省の統計では外国人労働者数全体が230万人を超えて過去最高を更新していますが、この増加の中心はベトナムなど他国籍の人材で、中国人材の伸びは鈍化傾向にあるとみられています(マイナビグローバル調べ)。
そのベトナムなど他の送り出し国でも、円安の影響で「日本で稼いだ給料を自国通貨に換算すると、以前ほど多くない」という声が出てきています。為替がおおむね1円=170ドン前後で推移する中、日本円建ての手取り額が変わらなくても、実質的な価値は目減りしている形です。つまり今回の受け入れ停止は一時的な制度上の壁というだけでなく、外国人材から「選ばれる国」であり続けられるかという、日本全体の課題とも重なっているといえます。
今からできる、人材確保の点検ステップ
人員体制・繁忙時間帯の洗い出し
外国人材の在留資格・更新時期を確認
スポットワーク・国内人材の採用強化
券売機・モバイルオーダーなど省人化投資
人材確保チェックリスト
- ☐ 現在雇用している外国人材の在留期限と、更新・転職の可能性を確認したか
- ☐ スポットワークアプリなど、単発・短時間の人材チャネルを取り入れているか
- ☐ 券売機やモバイルオーダーなど、省人化できる業務を洗い出したか
- ☐ 求人条件(時給・シフトの柔軟性)を最新の相場に合わせて見直したか
「うちみたいな小さい店でも、もう外国人材には頼れないのか」と不安に思う必要はありません。すでに働いている特定技能人材からの転職受け入れや、技能実習からの移行は引き続き可能です。ただし、新規の受け入れ枠が事実上ゼロになったことで、今後は国内の人材、特にスポットワークのような柔軟な働き方をどう取り込むかが、経営の分かれ道になりそうです。大阪の最低賃金引き上げ(大阪の最低賃金「1,231円」に正式決定、10月までの備え)も重なり、人件費の使い方そのものを見直す時期に来ているといえます。
採算が厳しいと感じたら、店舗そのものの見直しも
人材確保に苦労しながらの営業が続き、「もう限界かもしれない」と感じる瞬間があるかもしれません。人手不足と人件費高騰が重なる局面では、無理に一店舗にこだわらず、複数店舗の統廃合や、採算の取れる立地への移転、居抜きでの承継といった選択肢も、経営判断のひとつです。
テナント探し・戦略的な閉店のご相談はこちら
大阪での出店をご検討中の飲食店経営者様、人材確保や採算の見直しから計画的な移転・閉店・居抜き売却を検討中の飲食店経営者様、どちらのご相談も株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。
TEL:06-6195-8209
よくある質問
Q1. うちの店で働いている外国人スタッフは、このまま働き続けられますか?
A1. はい。すでに特定技能として在留している方の更新や、同業種内での転職は引き続き認められています。影響を受けるのは新規の受け入れです。
Q2. 人手不足はもう心配しなくていいんですか?
A2. いいえ。改善傾向にあるとはいえ、飲食店の非正社員不足割合は59.1%と、全業種の中でも高い水準が続いています(帝国データバンク調べ)。
Q3. 特定技能の新規受け入れは、いつ再開されるのでしょうか?
A3. 現時点では再開時期は未定です。受け入れ見込数の見直しなど今後の制度運用については、出入国在留管理庁の発表を確認する必要があります。
Q4. 円安になれば、外国人材はもっと日本に来てくれるのでは?
A4. 一概には言えません。むしろ円安によって日本で稼いだお金の実質的な価値が目減りするため、送り出し国によっては「日本で働くメリットが薄れた」と受け止められる面もあります。
関連記事
- 大阪の最低賃金「1,231円」に正式決定、10月までの備え
- 経営管理ビザ資本金3000万円時代、外国人飲食店の岐路
- 月給25万円の正社員 vs 時給1,700円のアルバイト、会社の本当のコストはどっちが高い?
- 飲食店倒産8月80件、大阪個人店主の「攻めの閉店」術
