
大阪市が民泊規制強化、木造アパートのオーナー要注意
大阪市は、旅館業(ホテルや簡易宿所などを営むための許可制度)に関する条例を改正し、早ければ2026年10月中の施行を目指しています(大阪市公表)。空いている部屋や実家から相続した古い長屋を「民泊」で活用しようと考えていたオーナー様は、要注意です。木造・鉄骨造の建物は、新しい基準をクリアできず活用の選択肢が狭まる可能性があります。
何が変わるのか、3つのポイント
大阪市が2026年7月31日に公表したパブリックコメントの実施結果によると、寄せられた116件の意見による修正は行われず、改正案はそのまま市会に上程される見込みです(大阪市公表)。市会では9月18日に所管の民生保健委員会が開かれ、9月30日に議決される日程が示されています(大阪市会公表)。
| 改正項目 | 内容 |
|---|---|
| 構造設備基準(新設) | 住居がある建物(マンション・長屋等)で営業する場合、原則として鉄筋コンクリート造(RC)または鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)に限定 |
| 従事者の常駐義務(新設) | 宿泊者の滞在中、施設に従業員が常駐することを新規・既存問わず義務化 |
| 近隣周知の範囲拡大 | 周知が必要な施設の規模を「33㎡超」から「200㎡超」に拡大し、騒音防止策や緊急時対応も説明事項に追加 |
出典:大阪市公表資料をもとに作成
そもそも、なぜ今この規制が必要になったのか
きっかけは、大阪市が2026年5月29日に「特区民泊」(国家戦略特区の制度を使った民泊)の新規受け付けを終了したことです。外国人観光客の増加を追い風に急増した特区民泊では、騒音やごみの放置といった近隣トラブルが相次ぎ、2025年までの2年間に寄せられた苦情の8割以上が木造・鉄骨造の建物からのものでした(朝日新聞報道)。市はこれを受けて新規受け付けを打ち切りましたが、規制されたのは「特区民泊」という制度だけです。
ところが、旅館業法に基づく許可というもうひとつのルートは開いたままでした。旅館業には、宿泊施設の管理拠点にあたる「フロント」を設置する義務がありますが、実は物件から1キロ以内に設置すれば足りるという特例があります。この特例を使えば、常駐スタッフを置かずに近くの管理事務所から遠隔で運営することができてしまうため、「特区民泊」の受け付け終了後、この旅館業法ルートへ駆け込む動きが急増しました。実際、旅館業の開業に必要な「建築計画」の届け出件数は、2026年7月には前年同月の7.7倍に達したと報じられています(関西テレビ報道)。大阪市公表の資料でも、旅館業法関連の届出は通常月10〜20件程度だったところ、2026年7月には108件、8月には約80件と急増したことが示されています。木造建物における騒音苦情の割合は6割超(61.8%)にのぼるというデータもあります。
つまり、今回の条例改正案は、「特区民泊は止めたが、旅館業法という別ルートの“抜け道”が使われている」という状況を受けて、その抜け道自体を塞ぐために、宿泊者の滞在中は施設に従業員を常駐させることを既存の事業者も含めて義務化するものです。ここが今回の規制強化の核心部分です。
オーナー様が今、点検しておきたいこと
「隣の空き家、そろそろ何かしないと」「相続した長屋、民泊にすれば収入になるのでは」――そう考えていたオーナー様にとって、今回の規制強化は他人事ではありません。特に、大阪の長屋や昔ながらの木造アパートの多くは木造・鉄骨造のため、今回新設される構造基準の対象になる可能性が高い建物です。
賃料収入が途切れず、安定して入ってくること――これがオーナー様にとって何より大切な関心事だと思います。民泊は空室対策の有力な選択肢の一つですが、規制強化によって参入や継続のハードルが上がった以上、「本当に自分の物件で採算が合うか」を一度立ち止まって見直す好機とも言えます。常駐スタッフの人件費まで含めて収支を再計算した結果、通常の賃貸や店舗用テナントとして貸し出す方が手堅い、という判断もあり得るでしょう。
なお、ご実家や親族の家を相続したものの、建物が古く何から手をつければよいか分からないという方も少なくありません。一人で抱え込まず、地域の事情に詳しい不動産会社に早めに相談することをおすすめします。
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よくある質問
Q. うちの空き家、放っておいたら民泊にできなくなりますか?
A. 木造・鉄骨造の建物は、施行後は原則として新規の旅館業許可を取得しにくくなる見込みです。既存物件への影響も含め、早めの確認をおすすめします。
Q. 常駐義務とは具体的に何をすればよいのですか?
A. 宿泊者が滞在している時間帯に施設へ従業員を常駐させる内容で、これまで使えた「管理拠点が1キロ以内にあればよい」という特例に頼った運営はできなくなる見込みです。
Q. 2026年5月末に終了した「特区民泊」の新規受け付け停止と、今回の規制は何が違うのですか?
A. 5月末の措置は「特区民泊」という制度への新規申請のみを止めたものです。旅館業法に基づく許可という別ルートは引き続き利用でき、そちらへ駆け込む動きが急増したため、今回はそのルート自体を対象に規制を強化します。
Q. 施行はいつからですか?
A. 大阪市は2026年10月中の施行を目指すとしていますが、市会の審議状況により変更される可能性があるため、最新情報の確認が必要です。
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