
実家を売る前に知る「契約不適合責任」と免責の注意点
実家を売ったあとで「雨漏りを直して」と言われたら?
個人が実家を売った場合でも、引き渡しのあとに不具合が見つかれば、売主が責任を問われることがあります。契約で「責任を負わない」と決めることはできますが、知っていたのに買主へ伝えなかったことは、免責にしても責任をのがれられません。売る前に調べて、分かったことは正直に書く。これがいちばんの予防策です。
「親が住んでいた家だから、中の傷みなんて自分は知らない」「古い家だから、現状のまま売れば大丈夫でしょう?」。こう考えて売却を進める方は多いのですが、書き方ひとつで結果が変わります。
契約不適合責任とは?
契約不適合責任(けいやくふてきごうせきにん)とは、売った家が、契約で約束した内容と合っていなかったときに、売主が負う責任です。2020年4月の民法改正で、それまでの「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」から名前と中身が変わりました。
買主が求められること
- 直してほしい(履行の追完)
- その分、代金を安くしてほしい(代金の減額)
- 損害をお金で払ってほしい(損害賠償)
- 契約をなかったことにしたい(解除)
買主は、不具合を知ってから1年以内に売主へ知らせないと、これらを求められなくなります(民法566条)。ただし、売主が引き渡しのときに不具合を知っていた場合や、ふつうは気づくはずなのに不注意で知らなかった場合は、この期限のルールは使えません。
売る前に押さえたい流れ
家の状態を調べる
物件状況報告書に正直に書く
契約で責任の範囲と期間を決める
引き渡す
- ①:雨漏り、シロアリ、水まわりの不具合、境界や越境を、売る前に確認します。境界は相続した実家の「境界」が不明?測量費用と進め方、建て直しができるかは相続した実家が「再建築不可」?売却と解体の注意点が参考になります。
- ②:「物件状況報告書(ぶっけんじょうきょうほうこくしょ)」は、売主が家の状態を買主に伝える書類です。知っていることは書き、知らないことは「分からない」と書きます。
- ③:責任を負う期間や範囲を、契約書に書きます。個人どうしの売買では、引き渡しから3か月ほどに短くしたり、現状のまま売る前提にしたりする契約も多く見られます。
「免責」にしても残る3つの落とし穴
- 知っていたことは免責できない:民法572条は、責任を負わない特約をしても、「知りながら告げなかった事実」は責任をのがれられないと決めています。雨漏りを知っていたのに黙っていた、は典型です。
- 「知らない」と「確認していない」は別:親の家に住んでいなかった場合、「問題なし」と書くのは危険です。「確認していない」「分からない」と書き、兄弟や近所の方にも聞いておきましょう。住んでいない家は、売主が知らないことを、まわりの人が知っているということがよくあります。
- 買主によって話が変わる:買取業者に売る場合は、責任を負わない契約が一般的で、売ったあとの心配を残さず、スムーズに手放せます。金額が多少下がっても、手間や不安が少ない買取を選ぶ方は少なくありません。違いは空き家売却「仲介」と「買取」どっちが得?違いを解説で整理しています。
売る前のチェックリスト
- ☐ 雨漏りのあと(天井のシミ、押し入れのカビ)を確認した
- ☐ シロアリの被害や、過去の駆除の記録を確認した
- ☐ 給水・排水・トイレ・給湯器が動くか確認した
- ☐ 過去の修繕やリフォームの記録を、家族に聞いた
- ☐ 境界や越境(ブロック塀、庭木の枝)を確認した
- ☐ 分からないことは「分からない」と報告書に書く準備をした
- ☐ 契約で決める責任の期間と範囲を、不動産会社に相談した
不安なら「調査」と「保険」を使う
売る前に、建物の専門家に調べてもらう「建物状況調査(インスペクション)」があります。結果を買主に見せれば、売ったあとの「聞いていない」という争いを減らせます。また、不具合が見つかったときの費用を保険でまかなう「既存住宅売買瑕疵保険」もあります。期間や保険料は保険会社ごとに違うため、売却を頼む不動産会社に確認してください。
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よくある質問
Q. 古い実家で、現状のまま売れば何があっても責任はないですか?
A. 「現状のまま」で責任を負わない特約をつけても、知っていたのに伝えなかった不具合は免れません。分かっていることは必ず書面で伝えましょう。
Q. 売ったあと、いつまで責任を問われるのですか?
A. 買主が不具合を知ってから1年以内に通知すれば、請求できるのが法律の基本です。契約で期間を短くしている場合は、契約書の内容に従います。
Q. 実家には何年も住んでいなかったので、状態がまったく分かりません。どう書けばいいですか?
A. 分からない部分は「確認していない」「分からない」と正直に書くのが安全です。調べられる範囲は調べ、調査を頼む方法もあります。
