
「実家の売却に兄弟が反対」共有名義の家は売れる?
実家の名義が兄弟の共有になっている場合、家と土地をまるごと売るには、基本的に共有者全員の同意が必要です。「1人でも反対したら、このまま何年も動かせないの?」と不安になりますが、道は3つあります。①自分の持分だけを売る ②話し合いで分け方を決め直す ③それでもまとまらなければ裁判所に分けてもらう。この記事では、この3つをやさしく整理します。
まず確認:名義は本当に「共有」ですか?
実家の登記簿(その不動産の持ち主が書かれた公的な記録)を法務局で取り、持ち主が複数になっているかを見ます。ここで道が分かれます。
- 遺産分割がまだ終わっていない(相続人みんなで遺産を共有している状態):家庭裁判所の「遺産分割」の手続で分け方を決めます(民法907条)。くわしくは遺産分割協議がまとまらない時、調停・審判への進み方をご覧ください。
- 遺産分割は終わって、登記が共有名義になっている:この記事の話です。「共有物分割」という別の手続を使います。
全員の同意がいるのは「まるごと売る」とき
共有の家を売ることは、共有物に大きな変更を加える行為にあたります。民法251条は、共有物に変更を加えるときは他の共有者の同意が必要と定めています(形や使い方を大きく変えない軽い変更は除かれます)。つまり、1人が反対している間は、家全体を買主に引き渡すことはできません。
一方で、自分の持分(共有している割合)だけなら、自由に売ることができます(民法206条の所有者の「処分する権利」)。ただし、私の見方では、他の人と共有のままの持分だけを買いたい人は多くなく、家全体を売るより条件は厳しくなりがちです。
反対されたときの進め方
反対の理由を聞く
代案を出す
期限を決めて
再び話す
共有物分割の請求
当社が売却のご相談を受ける場面では、高く売ることより、手間と不安の少なさを選ぶ方が多い印象です。反対する人も、金額ではなく「思い出の家だから」「住んでいる家族がいる」という理由のことがあります。理由が分かれば、「あなたが家を引き取って、他の人にはお金を払う」といった代案を出せます(家を売ってお金で分ける方法は換価分割とは?相続した家をお金で分ける方法をやさしく解説【図解・FAQ付き】で説明しています)。
話し合いが無理なら「共有物分割」を裁判所に
共有者は、いつでも共有物の分割を請求できます(民法256条)。話し合いがまとまらないときは、裁判所に分割を請求できます(民法258条)。裁判所が命じる方法は次の3つです。
| 方法 | どんな方法か | ポイント |
|---|---|---|
| 現物分割 | 土地を実際に分ける | 家1軒の実家では難しいことが多い |
| 賠償分割(債務を負担させる方法) | 1人が家を取得し、他の人にお金を払う | 払う側にお金の用意が必要 |
| 競売 | 裁判所が競売にかけ、代金を分ける | 上の2つができないとき、または分けると価格が著しく下がるとき |
賠償分割のお金の決め方は、「代償分割」とは?実家を継ぐ人が払う代償金の決め方で説明しています。競売は最後の手段です。市場で売るより安くなることもあるため、その前に話し合いで売る道を探す価値があります。なお、5年以内の期間で「分割しない」と決める契約もできます(民法256条1項ただし書)。
行方不明の共有者がいるときの制度
共有者の1人が誰か分からない、または居場所が分からないときは、裁判所の決定を使う制度があります。他の共有者の同意で変更を加えられる裁判(民法251条2項)や、行方不明の人の持分を取得する裁判(民法262条の2)などです。ただし、相続した持分が遺産分割前の場合は、相続開始から10年を過ぎていないと使えない場合があります。連絡が取れない場合の進め方は「相続の話をしたいのに、兄と連絡が取れない」実家の名義変更を止めないための順番も参考になります。
売る前に確認したいチェックリスト
- ☐ 登記簿で、共有か遺産分割前かを確認した
- ☐ 各人の持分の割合を把握した
- ☐ 反対している人の理由を聞いた
- ☐ 売却査定を取り、数字で話せる状態にした
- ☐ 維持費(固定資産税など)を誰がいくら負担しているか整理した
- ☐ 行方不明の共有者がいないか確認した
なお、共有者は持分に応じて管理の費用を負担します。1年以内に負担を払わない共有者がいるときは、他の共有者が償金を払ってその持分を取得できる決まりもあります(民法253条)。
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まとめ
共有の実家をまるごと売るには、原則として全員の同意が必要です。反対されたら、まず理由を聞き、代案と数字で話し、それでも難しければ共有物分割という道があります。いきなり裁判を考えず、順番に進めてください。
よくある質問
Q. 兄弟の1人が反対していても、自分の持分だけ売れますか?
A. 売れます。ただ、共有のままの持分を買う人は限られ、条件は厳しくなりがちです。
Q. 「反対されて、ずっと放ったらかし」にしても大丈夫ですか?
A. 売れなくても固定資産税などの負担は続きます。共有者は持分に応じて負担します。早めに動くほうが安全です。
Q. 共有物分割を申し立てたら、必ず競売になりますか?
A. なりません。競売は、現物分割や賠償分割ができないときなどの最後の手段です。
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