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「未成年の子が相続人」遺産分割は親だけで決められない?

相続・空家

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

父が亡くなり、母と未成年の子が実家を相続するとき、母が子の分も含めて遺産分割を決めることはできません。家庭裁判所で「特別代理人」を選んでもらってから話し合う必要があります。「子どもの親なのだから、私が決めていいはず」と思う方が多いので、順番をやさしく整理します。

なぜ親だけで決められないのか

遺産分割は、相続人どうしの取り分を決める話し合いです。母も子も相続人だと、母が得をすれば子が損をする関係になります。このように、親と子の利益がぶつかることを「利益相反(りえきそうはん)」といいます。

民法826条は、利益相反のときは、親権者が子のために特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければならないと定めています。国税庁のQ&Aも、親が子と一緒に相続人になる場合は、未成年の子ごとに特別代理人が必要と説明しています。

ケース 特別代理人
母と未成年の子が一緒に相続人 必要
未成年の子が2人以上いる 子ごとに必要
親が相続人にならない 不要(親が代理できる)

なお、成年年齢は2022年4月1日から18歳です(民法4条)。18歳以上の相続人は、本人が話し合いに参加できます。

亡くなった父の親や兄弟は、相続に口を出せる?

子がいる場合、亡くなった方の親(祖父母)や兄弟姉妹は相続人になりません。相続人になれる人には順番があり(民法887条・889条・890条)、配偶者は常に相続人、次に第1順位の子、子がいなければ第2順位の親、親もいなければ第3順位の兄弟姉妹の順です。そのため、母と子が相続人なら、遺産分割の話し合いに父方の親族が加わることはありません。

ただし、次の場合は別です。

  • 子が相続放棄をしたとき:相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされます(国税庁)。そのため、第2順位の父の親が相続人になる可能性があります。
  • 子がいないとき:母と父の親(親も亡くなっていれば父の兄弟姉妹)が相続人になります。

手続きの流れ

①
未成年の相続人を確認
→
②
協議書の案を作る
→
③
家庭裁判所に申立て
→
④
特別代理人が決まる
→
⑤
協議書に署名・押印

申立先は子の住所地の家庭裁判所です。費用は収入印紙800円分(子1人につき)と連絡用の郵便切手で、切手の金額は裁判所ごとに違います(裁判所の案内による)。

申立ての前に準備するもの

  • ☐ 申立書
  • ☐ 未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • ☐ 親権者の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • ☐ 特別代理人候補者の住民票または戸籍附票
  • ☐ 遺産分割協議書の案
  • ☐ 収入印紙800円分と郵便切手

特別代理人は誰がなる?協議書の案で注意すること

候補者は申立書に書けますが、最終的に選ぶのは家庭裁判所です。誰が適任かは裁判所が判断するため、候補者がそのまま選ばれるとは限りません。

協議書の案は、審査の材料になります。子に不利な内容だと、選任されないことがあります。専門家の解説では、子には少なくとも法定相続分(法律で決まっている取り分の目安)を渡す案が望ましいとされています。ただし、運用は裁判所ごとに違うため、申立て前に家庭裁判所へ確認してください。

私の見方:「実家は母が住み続けるので、子は取り分なしでよい」という案は、そのままでは通りにくいと考えて準備したほうが安全です。実家を母名義にして、子への配慮を協議書にどう書くかは、司法書士などに相談しながら詰めるのが現実的です。

実家を売る場合も、遺産分割が決まって登記が終わらないと動けません。売却を考えているなら、特別代理人の手続きを早めに始めてください。分け方の種類は遺産分割協議はいつまで?進め方と「もめないコツ」、実家を継ぐ人が代償金を払う方法は「代償分割」とは?実家を継ぐ人が払う代償金の決め方で説明しています。

話し合いがまとまらないとき

話し合いがまとまらなければ、調停や審判という道があります。くわしくは遺産分割協議がまとまらない時、調停・審判への進み方をご覧ください。

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まとめ

親と未成年の子が一緒に相続人なら、遺産分割の前に、子ごとに特別代理人を選んでもらいます。協議書の案を先に作り、子に不利にならない内容にしておくことが、通りやすさの分かれ道です。

よくある質問

Q. 子どもがまだ小さいので、私が代わりにハンコを押してはだめですか?
A. だめです。親も相続人のときは、親が子を代理できません。家庭裁判所で選ばれた特別代理人が子の代わりに署名・押印します。

Q. 未成年の子が2人いるときは、特別代理人は1人でいいですか?
A. 国税庁のQ&Aでは、子ごとに必要と説明されています。具体的な運用は家庭裁判所に確認してください。

Q. 子が18歳になるのを待ってから話し合ってもいいですか?
A. 18歳なら成年なので、本人が参加できます。ただし、相続登記や相続税の申告には期限があるため、待てるかどうかを先に確認してください。

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