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「実家の仏壇」誰のもの?処分前の手順と費用

相続・空家

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

実家を片づけるとき、最後まで手が止まるのが仏壇です。結論から言うと、仏壇や位牌は、ふつうの遺産とは別の扱いで、引き継ぐ人(祭祀承継者)が決まっています。先に家族で「誰が引き継ぐか」を話してから処分の段取りに進むと、あとでもめにくくなります。

他人ごとではありません。私の実家にも、祖父がご先祖さんを大切にしていたこともあり、立派な仏壇があります。ただ、立派すぎて、置き場所があるのは田舎の実家だけです。私たち兄弟は、実家に戻る予定がありません。「いつか誰かが決めなければいけない」と分かっていても、まだ話せていない。この記事は、そんな私自身の宿題でもあります。

仏壇は「遺産」ではなく「祭祀財産」

仏壇や位牌、お墓などは「祭祀財産(さいしざいさん)」と呼ばれ、現金や不動産などの遺産とは分けて考えます。民法897条では、次の順番で引き継ぐ人が決まります。

①
亡くなった人の指定
→
②
地域や家の慣習
→
③
慣習が分からなければ
家庭裁判所が決める

条文は「系譜、祭具及び墳墓の所有権」を、慣習に従って祖先の祭祀を主宰する人が承継すると定めています(指定があればその人)。慣習が明らかでないときは家庭裁判所が定めます(民法897条)。

なお、日常の礼拝に使う仏壇や仏具、墓地や墓石には、相続税はかかりません。ただし、骨とう的価値があって投資の対象になるものなどは対象外です(国税庁 No.4108)。

「兄弟で誰も引き継ぎたくない」というときは、話し合いで引き継ぐ人を決め、その結果を遺産分割協議はいつまで?進め方と「もめないコツ」で説明した遺産分割協議の書面にも書いておくと、あとで「聞いていない」という行き違いを防げます。

処分するまでの流れ

①
家族で
承継者を決める
→
②
お寺や仏具店に
相談する
→
③
処分方法を選ぶ
→
④
出す日を決めて
搬出

仏壇には魂が宿るとされ、処分の前に僧侶にお経をあげてもらう「閉眼供養(魂抜き)」を行うのが一般的な作法とされています。ただし、宗派やお寺によって考え方が違います。付き合いのあるお寺(菩提寺)があるなら、自分で動く前に、まず菩提寺に相談してください。

閉眼供養のお布施はいくら?

お布施には決まった定価がなく、公的な統計もありません。仏壇店などが公表している目安は、次のとおりです。

項目目安出典
仏壇の閉眼供養(魂抜き)のお布施1万〜5万円程度仏壇処分業者の自社調べ
お車代(僧侶に来てもらう交通費)数千円〜1万円程度同上
御膳料(会食を設けない場合)数千円〜1万円程度同上

お墓の閉眼供養(墓じまい)は、3万〜10万円程度と言われています。ただし、いずれも根拠となる調査の方法は示されていません。金額は、地域・宗派・お寺との付き合いで変わります。「魂抜き」という言葉を使わない宗派もあります。「いくらお包みすればよいですか」と菩提寺に直接聞いても失礼にはなりません。聞きにくいときは、「皆さんはどのくらいされていますか」と聞くと答えてもらいやすいです。お布施・お車代・御膳料は、別々の封筒に分けるのが一般的とされています。

処分方法は主に3つ

方法向いている人注意点
菩提寺や仏具店に引き取りを頼む供養までまとめて任せたい費用は寺・店で違うため、見積もりを取る
自治体の粗大ごみに出す費用を抑えたい事前の申込が必要。供養は別に頼む
不用品回収・遺品整理業者他の家財も一緒に片づけたい供養の有無を事前に確認する

大阪市の粗大ごみに出す場合

大阪市の手数料一覧では、仏壇は「家具・寝具類」に載っていて1点1,000円です(一覧は2026年10月29日更新)。収集には事前の申込が必要で、インターネット・電話などで受け付けています。

位牌や神棚は、この一覧には載っていません。出し方は、申込の窓口で聞いてください。

実家じまいのチェックリスト(仏壇編)

  • ☐ 仏壇を引き継ぐ人(祭祀承継者)を家族で決めた
  • ☐ 菩提寺があるか確認し、閉眼供養の相談をした
  • ☐ 位牌・遺影・過去帳(先祖の名を記した帳面)の行き先を決めた
  • ☐ 仏壇の中から通帳・印鑑・遺言書などが出ないか確認した
  • ☐ 処分方法を選び、見積もりや申込を済ませた

仏壇の引き出しや裏から、通帳や書類が出てくることもあります。処分の前に、中を必ず確認してください(確認箇所は実家じまいはいつから?「生前整理」やることチェックリストもあわせてご覧ください)。家全体の片づけは、「遺品整理」の進め方と業者選び・費用相場は?で整理しています。

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よくある質問

Q. 仏壇を長男が引き継がなくてはいけませんか?
A. いいえ。決まりは「指定・慣習・家庭裁判所」の順で、長男と決まっているわけではありません(民法897条)。

Q. 親が亡くなったばかりなのに、実家の仏壇だけ先に処分してもいいの?
A. 法律上の期限はありません。気持ちの整理や親族の考えもあるので、急がず家族で話してから決めましょう。

Q. 仏壇を粗大ごみに出しても、罰は当たりませんか?
A. 法律上は問題ありません。気持ちの面が気になるなら、閉眼供養をしてから出すと安心です。宗派の考え方はお寺に確認を。

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