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「店の火災保険」閉店日でなく引き渡し日で解約する理由

閉店

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

閉店するとき、店の火災保険はいつ解約する?

「店を閉めるのだから、保険ももう要らないよね。早く解約して払うお金を減らしたい」。そう考える店主さんは多いはずです。結論から言うと、店の火災保険(店舗総合保険など)は、閉店日ではなく、物件を貸主(大家さん)に返す「引き渡し日」を基準に解約日を決めます。営業をやめたあとも、鍵を返すまでは店の中で火事や水漏れが起こりうるからです。

まず確認:保険は「いつでも」解約できる。だから急がなくていい

保険契約者は、いつでも損害保険契約を解除(解約)できます(出典:保険法第27条|e-Gov法令検索)。つまり、解約日は自分で選べます。急いで切る必要はありません。

では、なぜ引き渡し日まで残すのでしょうか。理由は2つあります。

  • 借りている店は、返すまで丁寧に守る責任があります。民法は、物を引き渡すまでは「善良な管理者の注意」で保存するよう定めています(出典:民法第400条|e-Gov法令検索)。
  • 借りたあとに生じた傷みは、通常の使い方による傷みなどを除いて、返すときに直す責任があります(出典:民法第621条|e-Gov法令検索)。

たとえば、原状回復工事(借りる前の状態に戻す工事)の最中に、溶接の火花や水道の配管ミスで火災・水漏れが起きたらどうでしょう。店の中の設備も、貸主の建物も、下の階のお店も傷みます。そのとき保険を切っていると、賠償を自分のお金で払うことになりかねません。

閉店日・引き渡し日を決めるときの案内

大安・一粒万倍日・天赦日などは、月別カレンダーで確認できます。

▶ 縁起のいい日カレンダー(月別)

※縁起は気持ちの問題です。日程は、解約予告期間・家賃の発生日・原状回復の工期を優先して決めてください。

引き渡し日は、貸主への解約予告期間を先に確認してから決めます(飲食店の「解約予告期間」トラブルと対処法)。

解約までの流れ

①
解約予告期間を確認し
引き渡し日を決める
→
②
保険証券で
補償の中身を確認
→
③
契約書の
保険条項を確認
→
④
引き渡し日に合わせて
保険会社へ連絡
→
⑤
返れい金と
解約の書面を受け取る

② 保険証券で見るところ

保険証券(保険の内容が書かれた書類)で、次の3つを確認します。補償の範囲は商品や保険会社で違うため、必ず自分の証券で見てください。

  • 借家人賠償責任(借りている建物に与えた損害を貸主へ賠償する補償)が付いているか
  • 誰の持ち物を対象にしているか(建物・設備・什器・商品など)
  • 保険料の払い方(長期の一括払いか、月払いか)

③ 賃貸借契約書も開く

賃貸借契約書に、保険に入る義務や、解約するときに貸主へ知らせる決まりがある場合があります。内容は契約ごとに違うため、解約の前に条文を読みます。

引き渡しの形で、解約日の目安が変わる

閉店の形 解約日の目安 気をつけること
解約して原状回復し、鍵を返す 引き渡し日(鍵を返す日)以降 工事中の火災・水漏れに備え、工事業者の保険も確認
居抜きで次の借主に譲る 引き渡し日以降。譲渡日の前後は契約で決める 設備の持ち主が移る日と、保険の切り替え日を合わせる
閉店後も設備を残し、しばらく賃料を払う 賃料が発生する間は残すかを検討 契約期間中は責任が続くため、貸主に相談

居抜き(設備を残したまま次の借主に譲ること)の場合、買い手は新しく自分の保険に入ります。ただし、設備の持ち主が移る日に火災が起きたとき、誰の保険で対応するかが曖昧になりがちです。造作譲渡契約書に引き渡し日を書き、その日まで売り手の保険を残す形が安全です(居抜き「造作譲渡契約書」で損しない7つの確認項目)。

解約すると、お金は戻る?

保険料を長期でまとめて払っている場合、保険期間の未経過分に応じて「解約返れい金」が戻ることがあります。ただし、金額の出し方や戻らない場合は、商品と保険会社ごとの約款で決まっています。月払いなら、戻らないことも多いです。ここでは金額の目安は書かず、必ず保険会社や代理店に「引き渡し日で解約したら、いくら戻るか」を計算書で確認してください。

保険の解約は、自動では行われません。賃貸借契約を終えても、保険は店主さん本人が連絡しない限り続き、保険料が引き落とされます。ほかの契約の止め方は、「閉店後も引き落とし?」飲食店の解約忘れ5つと順番も参考にしてください。

保険の解約前チェックリスト

  • ☐ 貸主への解約予告期間を確認し、引き渡し日を決めた
  • ☐ 保険証券で、借家人賠償責任の有無と補償対象を確認した
  • ☐ 賃貸借契約書で、保険の加入義務・解約の連絡の決まりを確認した
  • ☐ 原状回復工事の業者が、工事中の事故に備える保険に入っているか聞いた
  • ☐ 居抜きの場合、引き渡し日と保険の切り替え日を契約書に書いた
  • ☐ 解約返れい金の金額を、保険会社に計算書で確認した
  • ☐ 解約日を保険会社に伝え、解約の書面をもらった

引き渡し日が決まったら、立会いでもめないための準備も進めましょう(「退去の立会い」飲食店が敷金でもめない7項目)。

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大阪で新しい出店先をお探しの飲食店様、計画的な移転・閉店・居抜き売却をご検討中の飲食店様、どちらのご相談も株式会社不動産スペースへお気軽にお問い合わせください。引き渡し日の決め方や居抜き売却の進め方も、一緒に整理します。

TEL:06-6195-8209

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よくある質問

Q. 閉店したら、火災保険はすぐ解約しないとお金がもったいない?
A. 営業をやめても、鍵を返すまでは店を守る責任が続きます。引き渡し日を基準にしましょう。解約はいつでもでき、保険料は引き渡し日までの分と考えます。

Q. 店の火災保険を解約し忘れて、閉店後も保険料が引き落とされていました。どうすれば?
A. 保険会社や代理店へ連絡して、解約日と返れい金の扱いを確認します。さかのぼって解約できるかは、約款と保険会社の判断で変わります。

Q. 居抜きで店を譲るとき、保険は買い手に引き継げる?
A. 保険は、買い手が自分で新しく入るのが基本です。引き継げるかは保険会社により異なります。売り手の保険を引き渡し日まで残す形が安全です。

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参考

閉店の全体像/次に読む

保険の解約は、閉店準備の中の1項目です。全体の流れと、ほかに必要な手続き・費用は、こちらにまとめています。

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