
「小規模宅地等の特例」|空き家の実家で使える条件
実家の土地は、条件を満たせば相続税の計算に使う評価額を最大80%減らせる特例があります。ただし、空き家になった実家では「誰が相続するか」「いつまで持っておくか」で使えるかどうかが分かれます。この記事では、その見分け方と、売却を急ぐ前に知っておきたい注意点をまとめます。
※法令等は国税庁の「令和8年4月1日現在」の内容に基づいています。個別の事情は税理士にご確認ください。
実家の土地の評価額が下がる仕組み
「小規模宅地等の特例」は、亡くなった方が住んでいた家の土地について、330㎡までの部分の評価額を80%減らす制度です(国税庁の説明では「特定居住用宅地等」と呼ばれます)。
計算例
330㎡以内で評価額3,000万円の土地なら、特例を使うと評価額は600万円で計算します。相続税がかかるかどうかの目安になる基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。評価額が下がると、この基礎控除の範囲に収まる可能性が高まります。
誰が相続すると使えるのか
| 土地を相続する人 | 主な条件 | 空き家の実家では |
|---|---|---|
| 配偶者 | 取得者ごとの要件なし | 使える |
| 同居していた子など | 申告期限まで、その家に住み続け、土地も持ち続ける | 相続後に空き家にすると使えない |
| 別に暮らしていた子など(いわゆる「家なき子」) | 下のチェックリストの条件をすべて満たす | 使える可能性がある |
親が老人ホームなどに入っていた場合も、要介護・要支援の認定などを受けて入居し、空いた実家を貸したり他の人が住んだりしていなければ、親の住まいとして扱われます(国税庁)。
別居の子が使えるかのチェックリスト
- ☐ 亡くなった親に配偶者がいない
- ☐ 親と同居していた相続人がいない
- ☐ 相続開始前3年以内に、自分・配偶者・3親等内の親族などが所有する家に住んでいない
- ☐ 今住んでいる家を、過去に所有したことがない
- ☐ 相続した土地を、申告期限まで持ち続ける
一番つまずきやすいのは、自分や親族の持ち家に住んでいた場合です。第三者が所有する賃貸住まいなら対象になる余地がありますが、今住んでいる家を過去に所有したことがある場合や、3年以内に自分・配偶者・3親等内の親族などが所有する家に住んでいた場合は使えません。持ち家を売った後でも、この履歴は消えません。
申告までの4ステップ
親の住まいか確認
自分の住まいと3年以内の居住歴を確認
申告期限まで持つ
申告書に適用を書いて提出
売却を急ぐ前に知っておきたいこと
期限は「亡くなったことを知った日の翌日から10か月」です。特例を使うなら、その期限まで土地を持ち続ける必要があるため、早く売ると使えません。売るのは申告期限の後です。
また、特例を使う場合は、相続税がゼロになるときでも申告書を出して適用を受ける旨を書く必要があります。相続人が複数いるときは、特例を適用する土地について全員の同意が要り、原則として申告期限までに遺産分割を済ませていることが求められます。分け方がまとまらないときは、遺産分割協議がまとまらない時、調停・審判への進み方を先にご覧ください。
売った後の税金は別の話です。譲渡所得の特例は空き家「3000万円特別控除」とは?条件を解説で、売却の翌年に届く請求は「相続した実家を売った翌年」税金と国保料の落とし穴で説明しています。申告のスケジュールは「準確定申告」「相続税申告」はいつまで?期限を一覧整理が参考になります。
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よくある質問
Q. 実家が空き家のままでも、この特例は使えますか?
A. 親が住んでいた(または老人ホームに入る直前まで住んでいた)家なら、相続人が配偶者や、条件を満たす別居の子であれば使える可能性があります。
Q. 持ち家を売ってから相続すれば使えますか?
A. 今住んでいる家を過去に所有したことがある場合や、3年以内に自分・3親等内の親族などの持ち家に住んでいた場合は使えません。売却しても履歴は消えません。
Q. 相続税がかからなそうなら、申告しなくていいですか?
A. 特例を使うには申告書の提出が必要なので、税額がゼロでも申告します。手続きの詳細は、税務署や税理士にご確認ください。
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